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「闇に潜む殺人鬼」〜都市伝説ネタ6〜「電気を点けていたら」より〜

作者: 雷禅 神衣

美奈が参加している大学のサークル「批評会」の定期総会に出席した帰り

同じサークルに所属する先輩の郁子に誘われ、二人は郁子の家で飲んでいた。

話はサークルの話で大いに盛り上がり、気が付けば深夜零時を回っていた。

それなりに酔いも浸透しており、美奈は家に帰るにした。今駅に行けば終電には十分間に合う。

帰り際、郁子が「付き合ってくれてありがとう」と言っていたセリフが妙に染みた。

彼女のアパートを出てしばらく歩いていると、美奈は郁子の家に携帯電話を忘れてきた事を思い出した。

「ソファの上に置きっぱなしだったわ。戻らなきゃ」

美奈は腕時計を見た。時刻は零時を少々過ぎているが、例え戻っても電車には間に合う時間だ。

それでも万が一のときの事を考え、美奈は足早に郁子のアパートへ戻った。

ドアの前で呼び鈴を鳴らした。ところが中から何の反応も無い。

「あれ・・・もう寝ちゃったのかな」

美奈は再び呼び鈴を鳴らした。だがやはり返事は返ってこない。

どうやら本当に寝てしまったのだろう。郁子もかなり飲んでいたし美奈がアパートを出てすぐに寝てしまっても無理は無い。

深夜と言う事もあり、大声で呼ぶのも躊躇われた。美奈はドアノブを静かに回してみた。

すると鍵は閉められておらず、ドアは難なく開いた。

「無用心だな・・・」

美奈は靴を脱ぎ、部屋の中へ入った。

部屋は電話が消えておりひっそりとしている。やはりもう眠ってしまったのだろう。

それでいて鍵も掛けないとは、あまりにも警戒心が無さ過ぎる。美奈は郁子を起こそうかと思ったがそれも躊躇われた。

かなり酔っていたし、気持ちよく眠っているのをわざわざ起こすのも忍びない。

「先輩、忘れ物を取りに来ました」

美奈がそう断わってソファに置いたままになっていた自分の携帯電話を持った。勿論、郁子からの返事は無いが。

美奈は再び「お邪魔しました」と一言断わり、彼女のアパートを後にした。


翌日、大学へ行くために郁子のアパートの前を通り掛ると、どうした事か大勢の警官とパトカーが集まっている。

「何かあったのかな・・・・」

先輩の住むアパートだけに、美奈は気になった。

しばし考えた後、美奈は黄色いテープの前に立っていた警官に事情を聞いた。

そしてその内容に驚いた。

このアパートの一室で殺人事件が起こり、あの郁子が殺されたというのだ!

彼女の部屋は荒らされており、警察では物取りによる犯行と見ているらしい。

「あの時電気を付けて先輩を起こし、きちんと戸締りをするように注意しておけば

こんな事にならなかったのに・・・・」

美奈は自責の念に捕らわれながら、昨日の出来事をその警官に話した。するとアパートの中から警官ではなく

列記とした刑事が出てきて、美奈に見て欲しいものがあると言った。

美奈は導かれるがまま、郁子の部屋に入って行った。

室内は荒らされ、騒然としている。深い悲しみと後悔が美奈に襲い掛かった。

「部屋の中でこのようなメモを見つけたのですが、これの意味が分からなくて困っているんです。

あなたは昨日の深夜この場所に戻ったそうですが、何か心当たりはありませんか?」

一人の刑事が小さなメモらしきものを美奈に渡した。

メモにはこう書かれていた。


「電気を点けなくて良かったな」


それを見た瞬間、美奈のはゾッとした。

そう。昨日の深夜、美奈が忘れ物を取りに来たときには、既に郁子は殺されており

犯人もまた同じ部屋に潜んでいたのだ。

もし電気を付けていたら美奈も・・・・・。



END

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