身体は一日にしてならず
熱さのあまり赤ダンを手放した挙句、無理だと弱音を吐くアイナにメフレックスが近づいた。
「…あなたはまだ何もわかっていない…。」
メフレックスはアイナに淡々と伝えた。
「…うちが何をわかってないって…?」
アイナは自分が何がわからないのか気になった。
「赤ダンで鍛錬して熱く感じるのは…、疲れと連動しているからなの。」
メフレックスは熱さの原因をアイナに語った。
「疲れと連動…?」
「ええ。人は身体を動かすと微弱のBEを発するの。激しくまたは長く身体を動かすとBEの発生量が大きくなっていくの。これが疲労のメカニズムよ。疲労によって発生したBEと赤ダンに含まれる赤のEL粒子、そう、火属性のEL粒子が反応して熱を発するの。今、あなたが強い熱を感じたのは反動をつけたからよ。次は反動をつけずにやってご覧なさい。」
メフレックスはアイナに疲労のメカニズムに熱の原因を詳しく話した上で反動をつけずに先程の動作をするよう促した。
「…うん…。(また熱くならないかな…)」
アイナはもう一度赤ダンを手にして、半信半疑でやってみる事にした。
「!…あれ…、前ほど熱くない…!」
アイナは前に比べて熱くない事に驚いた。
「動作を等速でするとBEの発生量を最小限に抑えられるの。後はエイミーがしている感じでこれを左右交互に10回1セット繰り返すといいわ。」
メフレックスは赤ダンを使った鍛錬のコツをアイナに教えた。
「うん。(これなら初めてのうちでも出来そうだね。)」
アイナはメフレックスの指示通りに動作を完了した。
「何だ…、身体があったまってる…。それも疲れ以上に…。」
アイナは自分の疲れ以上に体感温度が上昇している事に驚いた。
「わたし達は今のような事を繰り返して身体を鍛えているの。『身体は一日にしてならず』とは良く言ったものよ。」
「うん。」
メフレックスはアイナに自分達がどのようにして身体を鍛えているのか語った。
「さあ、また1セットやるわよ。」
「うん。」
「はい。」
暫くしてメフレックスはアイナとエイミーに1セット促した。
「ありがとうございました!」
「今日もありがとうございました。」
「ふふっ…、今日はご苦労様。また身体を鍛えにいらっしゃい。それでは、あなた達に火の加護を。」
整理運動を最後にアイナの初回の鍛錬は終わった。アイナとエイミーは更衣室に向かった。
「なあ、エイミー、一つ気になった事があんだけど…。」
「何?」
「あんた、何で身体鍛えんだ?まさかうちみたいにダイエット…、じゃないよな!?」
アイナはエイミーに何故身体を鍛えるのか尋ねた。また、その上で筋肉への異常ともとれる関心の強さからダイエットが目的ではないと踏んだ。
「!!…わたしは…」
彼女の問いにエイミーはどう答えるのだろうか?