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100万人目で抜けるつもりだった聖剣の100万人目だった勇者  作者: 霖霧 露
第一章~勇者(?)の受難、それと女難~
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プロローグ かくして、少年は勇者となった

 魔術があって、魔物が居て。魔術師が居て、魔王が存在する世界。


 そんな世界に、ラビリンシアという王国がある。

 約1000年前に勃発した魔王と人類の全面戦争、その最前線で活躍した勇者アルトによって建国された国。魔王領土と人類領土の境界線に建つ、人類の防波堤である。


 魔王から平和を勝ち取ったその王国では建国の日を記念した祭り、建国記念祭を催している。

 そして、新たなる勇者を擁立するため、選定の儀式も行っていた。


 選定の儀式、聖剣抜剣の試練。ラビリンシアを建国した勇者アルトが使っていたとされる聖剣エクスカリバー、それを台座から抜けるか試す。

 建国記念祭には一大イベントとして、身分問わず誰でも挑戦できる。

 しかし、未だに聖剣エクスカリバーを抜いた者は居なかった。


 聖剣エクスカリバーは絶大な力を秘め、故に使い手を剣自体が選ぶと言う。

 長きに渡り抜剣されていないのがその証拠であった。


 そして、来たる1000回目の建国記念祭。アルト歴1021年のその日、事件が起こった。


「我ら、魔王様の名の下に。魔王様の怨敵に断罪を、驕れる人類に誅罰を」


 記念祭で溢れかえる人々の中に紛れ込んだ魔王軍が、ラビリンシアの王都に牙を剥く。

 目的は聖剣エクスカリバーの奪取。そして、勇者アルトの血縁であるラビリンシア王族の殲滅。


 魔王軍の急襲に、近衛兵と衛兵、名うての冒険者が王都と人々を守るべく立ち上がる。

 しかし、紛れ込んだ魔王軍は紛れ込むための少数ながらも精鋭。その歩みを留める事はできず、選定の儀式場まで迫った。


 そして、聖剣エクスカリバーが突き立てられた台座の目前。最早聖剣奪取は防げまいとする瀬戸際。魔王軍の目の前で一人の少年が、聖剣の柄を掴み取る。


「聖剣よ!エクスカリバーよ!俺に、力を!!」


 聖剣エクスカリバーは少年の意思に呼応し、眩い光を刀身から放つ。

 聖剣が使い手を選んだのだ。


 この瞬間、新たなる勇者が生まれた。

 しがない農家の生まれだった少年テノールはこの時、聖剣エクスカリバーの使い手たる勇者テノールへと生まれ変わったのだ。


「魔王軍よ、俺はお前たちの悪逆を許さない!人類の安寧を脅かすお前たちに、俺は聖なる剣を振るおう!」


 勇者の快進撃が始まる。

 剣を握った経験などないはずの少年が、まるで激闘を乗り越えてきたかのような剣裁きで魔王軍を倒していく。


 その勇者に魔王軍は気圧され、近衛兵たちは鼓舞されていく。

 形成は逆転した。


「ルーフェ王女!バーニン国王!ご無事ですか!」


 寄せ来る魔王軍を薙ぎ倒し、勇者テノールは玉座まで辿り着く。

 ラビリンシアの王女と国王は勇者の手によって危機を脱した。


 思わぬ痛手に魔王軍は撤退を選択する。

 結果、魔王軍が王都へ攻め入る窮状となったのに反し、その被害は非常に小さく収められた。


 これが勇者テノールの英雄譚、その1ページである。


「イーストイナッカノ農村のテノール、いや、勇者テノールよ。貴公に感謝を。貴公はまごう事なき勇者だ、救国の英雄だ。貴公の勇気に褒賞を、そして勇者の箔を正式に贈与しよう」


「ありがたき幸せ」


 勇者テノールは救国の英雄とバーニン国王に賞され、公式に勇者と認められた。

 ほんの数日前まで農民だった少年を、民衆も勇者として褒め称え、彼に津波のような賛辞を贈る。


 だが、勇者テノールは国王からの褒賞や民衆からの賛辞では満足しない。

 彼は、真に勇者だったのだ。


 勇者テノールは王都を救ったのに飽き足らず、各地を回って忍び寄る魔の手から民衆を守る。

 魔族や魔物、魔に連なる者の悪行には剣を振るい、悪しき思想を持つ人々の悪徳には弁舌を振るう。


 聖なる剣を持つに相応しい正義の執行者。

 それが勇者テノールだった。


 この物語は勇者テノールの英雄譚。彼の活躍を綴るモノである。












「ふざけるなぁ!!勇者なんざやってられるかぁ!!」

 「なろう」での投稿は一応初めてではないですが、真面目な投稿を意気込んでいるのは初めてなので初投稿です。

 1話2000字前後で毎日更新を目指しておりますので、どうか暖かい目でお付き合いください。

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