多分、クラスでの評価です。新学期スタート
「兄さん! 起きてください! 遅刻しますよ」
「奇跡だ・・・。朝から妹に起こしてもらえるなんて」
「言ってる場合ですか!? 早く着替えてください!!」
「いや~ん、エッチ!」
「どの口が言ってるんですかっ!!」
「着替えたら下に降りてきてください!」
そう言って部屋を出て行ってしまう。
「櫻子は可愛いな~」
◇◇◇
どうも、最近顔が緩みっぱなしの新谷 良平です。
最近、妹が積極的に世話を焼いてくれます。幸せです。
幸せといえば今日から新学期が始まります。つまり妹と通学できます。
学年が違うことが唯一残念ですが、そこは諦めるしかありません。
「さて、着替え終わったし行くか!」
軽くスキップしながら妹の待つリビングへ向かう
「おっ待ったせー! 櫻子~」
「遅すぎです! 罰として朝食抜きです!」
「んな馬鹿なっ!」
残念ながら時計を見ると本当に時間がなさそうだ
楽しみにしていたんだが妹を待たせるわけにはいけない
「仕方ない・・・行くか!」
「はい、行きましょう!」
妹の隣を歩いて登校する。
・・・悪くない! むしろ良い!! 最高だ!!
こんな幸せを享受しているのは、世界でも俺だけだろう!
しかもそれが毎日だろ? つまりエブリデイ幸せ!
「あぁ~幸せだ~」
「朝から気持ち悪いですね・・・」
◇◇◇
「妹のいない教室に何の意味があるだろうか・・・?」
窓の外を眺めながら呟く、本当に何の意味があるのだろうか?
教壇で新しい担任が新学期の説明うんぬんを話しているが全く頭に入ってこない
虚しい。妹がいないだけでこうまでも違うのか・・・
傍から見たら意味ありげに空を眺める痛い奴にでも映っているだろうか
いや、映ってるに違いない。だって俺、廊下越しに空を見てるし。
そんなことを思っていると前の席から声を掛けられる。
「良平君、廊下に何かあるの?」
こいつは赤城 鷹志。小学校からの腐れ縁で去年も同じクラスだった。
昔、男女とからかわれているのを助けてから、なぜか懐かれている。
今年も同じクラスか・・・悪くない。
せっかくだ、こいつで妹のいない鬱憤を晴らそう。
「なぁ・・・どうして空は青いんだろうな・・・」
「ちょっと待ってて」
そういうとスマホで検索し始めてくれる。相変わらず良い奴だ。
「えーっと、太陽光? プラズマ? よくわからないや」
「もういいありがとう十分だ」
「そう? ならいいんだけど」
「ところで、春休み中何してたの? 連絡しても返信ないし心配したよ」
「マジか!」
スマホを見て確認する。未読が8件・・・・全然気づかなかった
「本当だ・・・、すまん。ちょっと色々あってな」
「色々?」
「親父が再婚したり? 妹が出来たり? 入院したり?」
「すごい・・・てんこ盛りだね」
「まぁな!」
「羨ましいなー、俺はずっと暇をしてたよ」
「そいつはすまない。また誘ってくれ・・・と思ったが誘わんでくれ」
「えっ・・・なんで?」
少し悲し気な顔で尋ねてくる。
やめろ、そんな顔をされると少し罪悪感が湧くじゃないか
「悪いな、妹との時間を減らしたくないんだ」
「妹との時間?」
「そういえばさっき、妹が出来たって言ってたね。どんな子?」
「天使だ!」
「え?」
「この灰色の世界に突如現れた光! そう希望! 俺の生きる意味であり人生と言っても過言ではない。妹が出来てから毎日が幸せで眩しいんだ! 凄いぞー、妹は凄い! もうあれだな、居るだけで癒しスポットだな! 何か出ている! 具体的に言うといい匂いが出ているのだがなんというこうry」
「そ、そうなんだすごいね。ははは・・」
おっと、俺としたことが長々と話してしまったようだ。
若干、引かれていないだろうか? まあ、笑ってるし大丈夫だろう。
とりあえず席に着こう。・・・ん? 席に着く?
周りを見渡す。クラス全員の視線を釘付けではないか・・・どゆこと?
「良平君! ともかく座った方がいいよ 先生も見てるし!」
俺としたことが妹愛が強すぎて、立ち上がって熱弁していたらしい。
「・・・・・・」
少し恥ずかしかったので無言で座った。
「良平君がどんなでも僕はずっと友達だよ」
「鷹志・・・お前いい奴すぎんだろ」
「えへへ」
俺はいい友達を持ったぜ! ありがとう世界! ありがとう妹!
◇◇◇
朝のHRも終わり、体育館で全校集会。
えっ? つまり妹と会える! やったぜ!
「さーて、櫻子はどこかなー」
体育館でも1年生の集まりの方へ特攻する。
ついでなので、鷹志のやつも無理やり連れてきた。
「良平君~戻ろうよ・・・そろそろ始まるよ」
「大丈夫、大丈夫。多分・・・な」
「大丈夫じゃないよ~、明らかに1年生から怪訝な目をされてるよ~」
鷹志め! 怖気づいたか! だが、怪訝な目で見られているのも事実。
仕方ない・・・戻るか。そう諦めようとした矢先、聞こえてくるではないか妹の声が!
「何をしてるんですか兄さん」
「櫻子に会いたくて来ちゃった♡」
「帰ってください。お願いします。知り合いと思われたくないです。」
「そんな馬鹿な・・・! だが、お願いされた以上は引かざる負えない」
妹にお願いされたら基本的に何でも言う事を聞く。
それが俺の妹道だー! 仕方ない潔く帰るか……
「彼女が良平君の妹さん?」
「そうだ、自慢の妹ことマイエンジェル櫻子だ!」
「へぇ~! 可愛い妹さんだね!」
「そうだろ! そうだろ! 鷹志、お前中々見る目があるな!」
「そうかな~、えへへ」
鷹志の奴、中々話がわかりそうだ。教室でもなんやかんや聞いてくれていたし、これは妹トーク、略して妹ークが出来る日も近いのではないだろうか・・・。
いや近い! 近日中に開催しよう!
「また、兄さんがアホな事を言ってます・・・」
「そういえば兄さん、そちらの先輩は誰ですか?」
「ああ、こいつは」
「初めまして、友達の赤城 鷹志です。よろしくね櫻子ちゃん」
あれ? 今さりげなく名前で呼ばなかったか?
「兄さんって友達いたんですね! 驚きました・・・」
「そこ驚くところ!?」
「春休みの間、友達と遊びに行くとか無かったじゃないですか」
「それに兄さん変人ですし、とても友達がいるようには見えません・・・」
「妹の衝撃カミングアウト!! 兄ちゃんショック!!」
「確かに、良平君は変なところはあるけど優しくていい人だよ!」
透かさず鷹志がフォローしてくれる。ホントいい奴だ。涙が出てくるぜ!
けど、変の部分は否定しないのね・・・
「こんな兄ですが、末永くお願いします」
「い、いえ、こちらこそお願いします!」
二人そろって深々と頭を下げて言われると冗談味を感じないのだが?
冗談だよね? 冗談に違いない! そう思っておこう。そうしよう!
「良平君、そろそろ戻ろう? もう始まりそうだよ」
「ああ、そうだな。 戻るか」
「じゃあね、櫻子ちゃん。 また話そうね」
「はい。また」
「あれ? 俺より仲良くなってないか?」
なんとなく悔しいので、集会の間、妹の顔だけを見続けてたけど仕方ないよね♡