いえ、迷子です。コンビニはカオス弁当
放課後、一緒に下校することになったんが……
「どこまで着いてくるんですか……」
「違う! 私もこっちなんだ!」
俺はてっきり校門で別れると思っていたのだが……。
このままでは家まで着いてしまう、どうしよう自宅まで知られてしまったら、朝から付きまとわれかねない。ここは敢えて遠回りして巻いてしまおう!
「俺、こっちなんで!」
「奇遇だな、私もこっちだ」
なんだと……! こいつ、まさか俺を逃がさないつもりなのか。
だが、そうはいかないぜ! 俺は逃げきってみせる!
俺は適当な細い獣道へと足を踏み入れる。
「…………………」
「…………………」
だから! なんで一緒なんですか! 獣道に何の御用が!!
ちなみに俺はない! 巻くためだもの!
「なあ、付いてこなくてもいいんだぞ?」
「いや、私もこっちなんだ」
そんな訳あるかー! この先もうあばら家しかないぞ!
これでは俺があばら家に住んでいるみたいではないか!
「私はここだ。それじゃまた明日」
「ああ、また明日」
思わずまた明日と言ってしまったが明日もあるのだろうか?
そんなことはどうでもいい! 雪菜はあばら家に住んでんの!
疑っていると家の中に入っていく。 ホントなんだ…。
「……帰ろう」
俺は来た道を引き返し、自宅へ戻る。
「……あれ? ここどこ」
帰る頃には街灯が物凄く眩しかった。
◇◇◇
自宅
「ただいま……」
迷ってしまったせいで大分遅くなってしまった。
慣れないことをするもんじゃないな……。
今度は慎重にやらないと。
……なんで次がある前提で考えてんだ?
「おっ、帰って来たか良平」
「親父いたのか」
普段仕事場に籠っている親父が珍しく家にいる。
ちなみに桜さんも割かし付きっ切りなので、家には櫻子と二人になることが多い。
「って、ことは桜さんも」
「うふふ、居るわよ~」
気配を消さないでいただきたい、思わずサイレントキルされると思ったぜ。
「あれ? 櫻子は? いつもはリビングに居るのに」
「自分の部屋だろ、二人きりだったし気を使ってくれたんだろう」
「なるほど」
確かにこの二人と同じ部屋は気まずい、俺も部屋へ戻ろう。
「なんだ良平、飯は食わないのか?」
「ああ、そうだった」
そういえば飯を食べていない。仕方ない、なにか作るか。
冷蔵庫を漁ってみるが何も入っていない。
仕方ないコンビニに何か買いにいくか
「親父、コンビニ行ってくる」
「ああ、だったらついでにタバコ買ってきてくれ」
「未成年に買わせんな」
親父を無視して家を出る。
「イッシャセー」
「さて、何にしようか」
適当に棚をぶらつく。
新商品と目立ったポップが興味をそそるが、いまいちピンとこない。
「決まらないし適当でいいか」
目の前にあった弁当を適当にとる。
焼きマシュマロ弁当……奇抜過ぎるだろ、やっぱり戻そうかな。
「それ、おすすめですよ」
「え?」
見知らぬお姉さんに声を掛けられる。
焼きマシュマロ弁当がおすすめ? 何を言っているのだろうか?
思いながら最近の自分は異性に対して耐性が大分ついたなと実感する。
「でも、ご飯には向いていないかなー」
「は、はあ~」
こっちの方がいいよと、マグロカツ弁当を渡される。
こっちも奇抜だ。マグロカツなんて初めて見たぞ。
「あ、あの……」
俺が困惑していると「いいから、いいから!」と、言って店を出て行ってしまう。
「アッガトゴザシター」
他に食べたいものも無いしな……。仕方ない。
「……これにするか」
「アガッドゴザイシター」
◇◇◇
「ただいま」
「お、タバコは買ってきてくれたかー」
「買う訳ないだろ! ってか買えんわ!」
家に帰ると親父が一人でリビングで待っていた。
本当に買ってくるとでも思っていたのだろうか。
まあ、親父は無視して取り敢えず弁当を温めよう。
電子レンジの前に立っていると親父が思い出したように「そういえば~!」と叫ぶ。
「なんだよ親父?」
「来週の土日なー、仕事仲間の子供を預かることになったんだわ」
「良平、お前暇だよな? 代わりに面倒みてくれ」
なんで俺が! つーか、花の高校生の土日が暇なわけないだろう!
具体的に何をしているかと言われると、櫻子と過ごすのだが。
「なんで俺が!! 親父が引き受けたんだろ!!?」
「特別ボーナスを出す。2万だ」
「お引き受けします。親父様」
「素直でよろしい」
じゃあ、頼むぞ! と言うと興味をなくしたようにテレビに視線が戻る。
チーン!
「どれどれ」
食べてみたら割と美味しかった。




