また、風紀委員です。もう勘弁してください
「この世の終わりだ……」
「どうしたの良平君? 昼休みに何かあったの?」
5限目の後の小休憩時、鷹志が死にかけの俺を気遣って声を掛けてくれる。
何かあったと言われると朝からハプニング続きだ。ホント充実している……。
「櫻子と昼飯を食べることが出来なかった……」
「また駄目だったんだね……」
まあ、第一にショックなのはそれだ。妹と昼飯を食えない……ただ辛い。
ドンマイ! 明日があるよ! と励ましてくれるが俺の気分は晴れることはない、なぜならば昼休みに俺の身に降りかかった厄災はそれだけではないからだ。
「あぁ…またしても謎の勢力、もとい風紀委員に阻止されてしまった」
「朝に言っていた風紀委員の人だね、昼休みにも来たの?」
「ああ、待ち伏せされていた」
一体どうして俺が廊下にいることが分かったのだろう。
情報が筒抜けなのか? まあ、単なる偶然だろうが……
「朝の呼び出しと言い、本当にツイてないね?」
「あぁ……、本当にツイてない……」
どうせ放課後もあの風紀委員はやってくるのだろう。
そうなるとどうなる? 妹と帰れなくなる、最悪だ。
……平穏な日常をください。できれば妹付きで。
6限目を告げるチャイムが鳴る。
さて、この授業中対策を考えなければ……
そして放課後がやって来る。
◇◇◇
「……風紀委員室に来なさい/////」
「何で顔を赤くしているんですか……」
6限目全ての時間を費やして考えた、全力でダッシュして校門から少し離れたところで妹待ち伏せしよう作戦は、風紀委員沢城による教室の前での待ち伏せによって、敢え無く失敗に終わった。
それにしても、この人はなぜ顔を赤くしているのだろう? 風邪でも引いているのだろうか? だとしたら早くお家に帰ってゆっくり安静してもらいたいのだが、そうすれば櫻子と帰れる。
「体調悪いなら帰った方がいいんじゃ……」
「いいから来いっ!!」
腕を取られ無理やり連れて行かれる。やめて欲しい、クラスの数名が勘違いするようにこちらを見てるではないか。って鷹志、お前もなのか? 見てないで助けてくれー。
「そんなに掴まなくてもちゃんと行きますよ」
「嘘つけ! 昼は走って逃げたではないか!」
「……/////」
昼休みの出来事を思い出したのだろう。なるほどそういうことか。
つまり、男に余り免疫がない。これは逃げる口実を作るチャンスだ!
「なぁ…雪菜?]
「―――っ!!?/////」
滅茶苦茶驚いて顔を赤くしている。
反応を見るに名前もどうやら間違ってなかったようだ。
うろ覚えだったから多少不安だったが万事休す。
「なっ、なぜ私を名前で呼ぶ!!/////」
「見逃してくれ、雪菜」
「だからー!/////」
チョロいチョロい、名前を呼んだだけで顔真っ赤にして震えている。
口調も荒々しくなってるし動揺がすごい。
よーし、このまま勢いで黙らせてしまおう。
「雪菜、頼む!」
「名前で呼ぶんじゃない!!/////」
顔面にグーパンが飛んできた。
躱す? とんでもない、躱せない。
「何も殴らなくてもいいだろ!!」
「お前が私の名前を呼ぶからだ!!」
名前を呼ぶだけで殴られるとか堪ったもんじゃない。
結構痛いじゃないか! まあ、いつぞやのナンパ野郎と比べると大分マシだが。
「じゃあ、呼ばない代わりに俺を帰してくれ」
「なぜそうなる!」
交渉決裂か、ならばこっちは新たな手を打つしかないな
さて、どうしようか。
「仕方ない、こうなれば耳元で連呼するしかないか……」
「やめんか!」
再びグーパンが放たれる。一度見ている! 今度こそは―――
躱せなかった。やっぱり痛い。これ以上食らい続けたら俺の身が持たん。
それに俺の顔の方が赤くなっている。もちろん殴られてだが。
「殴ったね! 二度もぶった!」
「殴って何が悪い!!!」
奇跡的にかみ合った!! ポーズをしてくれれば完璧だったが……
この後の台詞は決まっている! 我ながら完璧の流れだ!
「誰が二度と風紀委員室なんかに行くもんか!」
「つべこべ言わずに来い!!」
おかしい……、てっきり勝手にしろ! と言われると思っていたのに首根っこを掴まれて連れてかれる。そもそも一回も行ったことは事は無いんですがそこへのツッコミはなしですか、はい。
こんなの前にもあったなー。そうか桜さんの時か! 懐かしい、あの時のように泣いたら助けに来ないかなー。
「うわ~ん、助けてよ~親父衛門~」
「みっともなく騒がないでください!」
助けは来なかった。当たり前か、ここ学校だしな。
そんなやり取りをしていると、とうとう風紀委員室の前まで着いてしまう。
「ようこそ風紀委員室へ新谷君! 歓迎しますよ、うふふ」
顔がとても歓迎しているようには思えない、物凄い不気味な笑いだ。
「それでは……更生を開始します!」
俺はこれからどうなってしまうのでしょうか……。




