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勇者の尻拭いをする者 そして、旅立ち

またしても、ほとんど直してないです!

 勇者の加護が原因で発生したとされる森の異変の中、ヒカリは一人、多くの魔物に囲まれて睨み合いをしていた。

 

 「魔力も少ない、敵は多い。さて、どうしようかな」

 

 既にいくつか案は出来ていた。

 

 「まあ、これが一番かな」

 

 そう言い残すとヒカリは全身ではなく、指先だけに魔力を集中させた。

 

 魔力は基本小さいものなどを発生させるのにはあまり消費されないが、大きなものを発生させると大きく消費する。

 

 それをヒカリは魔力視をもって理解していた。

 

 それで、編み出したのが指先に魔力を集中させる方法だ。

 

 基本、魔法使いは魔力を全身に漂わせるようにして魔法を使う。

 

 そうすることにより、肉体が強化され多少の攻撃にも耐えられるようになるのだが、ヒカリの場合はそれらを無駄な魔力消費と捉えて、指先だけに魔力を込める練習をした。

 

 そして、魔法は魔力の流れ方によって発生する効果が異なる。

 

 それもヒカリは魔力視を持って理解していた。

 

 それにより、魔力の流れはそのままに、だが効果を変えることなく魔法を発生させることに成功していた。

 

 これらのお陰で、ヒカリは魔力消費をかなり抑えることが出来ていた。

 

 それも、今残っている少量の魔力で魔物の群れを全滅出来てしまう程に。

 

 だが数の問題で、これだけ多く……少なく見ても三千はいる敵を撃破するには相当な集中力が必要だった。

 

 この世界では、精神力なるものもありこれを多く消費すると気絶、下手をしたら死。なんてこともあるもので、この数を撃破するには相当な精神力の消費が必要とされていた。

 

 それこそ、気絶するレベルで。

 

 こんな森の中で気絶したら魔物に襲われて命がもつことはない。

 

 魔物は倒してもリスポーンと呼ばれる復活をするからだ。

 

 再復活までに時間はあるが、その間に助けが来るかどうかはもはや賭けだった。

 

 だが、ヒカリは迷うことなく魔法を行使した。

 

 「喰らえ、俺の最大最強の魔法。体内転移氷!」

 

 そう言うと、ヒカリの体の周りに氷の塊がペン一本分サイズのものが無数に浮かび上がった。

 

 それに、ヒカリは転移魔法を込める。

 

 すると氷はどこかへ消えてしまった。

 

 魔法名の通り、敵の体内へ転移したのだ。

 

 直後、魔物の群れは光となって消滅した。

 

 


その一瞬を見届けると、ヒカリは意識を失った。



――


 

 目覚めるとそこは見慣れた天井があった。



 

 自分の家ではないが、何度か見たことのある天井。

 

 『俺は結局生き残れたんですね』

 

 直後、違和感を感じた。

 

 声がどこか反響して聞こえた。

 

 『あ、あれ変だな』

 

 そう思い、ヒカリは自分の手をよく見る。

 

 『と、透明だ。しかも自分の体が下に見える』

 

 待て、待て待て待て待て……待て?

 

 俺、もしかして体から魂だけ抜けてね?

 

 あ、ミカエルが俺の体に抱きついてる。

 

 『そうだな、お前はそっちにいた方がいいだろうな。今そっちへ送り返そう』

 

 脳に直接響くような声が届いた。

 

 『お、お前は誰だ!送り返すってなんだ!?』

 

 『ワシは勇者の加護だ。森の異変もワシの起こした異変だ。送り返すって言うのはお前はまだ死ぬべきでないから魂を体へ戻すという意味だ。これ以上は話さないし、話す気もない。さあ、行けヒカリよ』

 

 『な、ふざけんじゃねぇ!」

 

 気付くと体に戻っていて声が出ていた。

 

 「ふざけてるのはヒカリだ!私を逃がしてお前だけ残るなんてどうかしてる!さっき言ったばかりだろ」

 

 そう、涙を流しながらミカエルは強くヒカリを抱きしめていた。

 

 「あ、今のは夢というかなんというかへの返事で……」

 

 「そんなのは関係ない。ヒカリ、お前は死ぬ寸前だったのだぞ」

 

 「それは……ごめん。ミカエルはもう置いてかない」

 

 「ミカエルなんて中途半端じゃなくてミカって呼んでくれ。親しい人は皆こう呼ぶ」

 

 「分かったよミカ……」

 

 こうして、ヒカリの壮絶な冒険は幕を開けたのだった。




 次の日。


 ヒカリは回復しきっていて、予定通り旅に出ることになった。

 

 一つ挙げるとすれば、その旅には予定にないミカの同行も含まれていたことか。

 

 「じゃあ、後は森と村を頼んだぞ。レフト三兄弟」

 

 「私からも頼む、レニー、フレディ、トーマス。村を、森を頼んだ」

 

 「了解しました。お二人共仲良くね」

 

 「あっしも、了解っすね。お二人共喧嘩なんてダメっすよ」

 

 「当然だ、森も村も私達に任せておけ。二人は喧嘩なんぞしないで済みそうだな」

 

 この三兄弟とも、なんだかんだ言って出会ってから五年も経つんだな。

 

 そう思うと何だか……目から溢れて……

 

 「くっ、本当にみんな今までありがとうな。涙なんて流すの何年ぶりだよ……」

 

 「ヒカリ……泣くな。私まで涙出てきたじゃないか……みんな、本当にありがとう」

 

 レフト三兄弟は、泣いてるふたりを見て思った。

 

 この二人程お似合いのカップルはいないな、と。

 

 「待って、待ってヒカリー!」

 

 とそこから横槍が入る。

 

 声が飛んできた方向を見ると、そこには妹のユノがいた。

 

 こちらに走ってきて目の前で止まるとゼェゼェ言いながら呼吸していた。

 

 ユノは俺とは違い、綺麗な金色の目と髪を持っていて、背丈はミカと変わらないくらいだろうか。

 

 そして、大事なのはミカよりも大きなあの双丘だろう。

 

 まだ十歳だと言うのにあの丘のサイズ……丘だけにおかしい。

 

 まあ、それは置いておこう。

 

 そう思いヒカリは息の整ったユノに話しかける。

 

 「で、なんですかい?ユノ」

 

 「わ、私も旅に連れて行ってください」

 

 頭を下げながら頼んでくるユノは見ていて残念だった。

 

 ただひたすらに残念だった。

 

 「ダメだな、ユノは連れていけない」

 

 「ヒカリ、私は別に連れて行ってもいいと思うぞ?」

 

 「ミカエルさんも……ヒカリと一緒に旅するの?」

 

 ユノは聞いてきた。

 

 あ、ユノに言い忘れてた。

 

 「ヒカリはミカエルさんと付き合う事になったんですよ」

 

 「そうっすよ、ヒカリは昨日男になったっす」

 

 「まあ、昨日のあれは見事だったな」

 

 「へ、なんの……ハナシ?」

 

 そう辛うじて返事をしたユノの目には、光が一切灯っていなかった。

 

 「オニイサマ?アニィー?アニサマ?オニーチャン?ヒ、ヵァ……リ?」

 

 「い、妹よ?ど、どうしたんだ?」

 

 するとユノはいきなり上を見上げて『ぎいぃぃぃやゃぁぁぁああああああ』と叫び、その後地面に頭を打ち付けた。

 

 「有り得ない、あってはならない、そんなはずがない、ヒカリが、ヒカリがあああぁぁ!おにいぃぃぃちゃんがああああぁぁぁいぃぃやああぁぁぁだあぁぁぁ」

 

 ユ、ユノが頭をやられてしまった……

 

 「ユノ……私達と一緒に旅をしよう。ヒカリについてはその時に話し合おう」

 

 「みぃがぁえぇるぅざああぁぁんーーーヒカリをわたしたくないよおぉぉぉ!」

 

 「分かった、分かったから!ユノも一緒でいいからさ!と・に・か・く!落ち着け!」

 

 「わがっだ、だげど!ヒカリも勝手な行動しないで!」

 

 「ユノにだけは言われたくないよ。母さんに言ってこい、あと三時間待つからまたここに来いよ」

 

 「うん、うん!分かった急いで支度してくるね」

 

 さっきまでの姿は嵐のように消え去りいつものユノに戻っていた。

 

 意外にも母さんは簡単にユノの旅への同行を許してくれた。


 


 そうして俺たち三人の旅が始まった。


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