訓練
出入口にたどり着くとクラスメイトのほとんどが、集まっていた。クラスメイトが選んだ武器を見てみると、ナイフを沢山ぶら下げた奴に、自分の身の丈より長い大剣を背負っている奴がいたり、盾を2つ両手でもっている奴もいたりしたが、中には太刀を二振り腰に差している奴もいた。
バカなのか、これなら別に偽装した自分の職業を怪しまれないようにグローブを隠す必要もなかったな
と、若干呆れていた。
ダグラスは私を見て、
「アイツは大丈夫そうだな」
と呟いていた。
ダグラスは堅物かと思っていたが、今の勇者達を見て敬語を使うのが馬鹿らしくなったのだろう。
多分だけど、訓練を始めたら武器を選び直す事が目に見えてるのかもしれない。肝心の勇者の武器を見てみたら金で装飾された、良くわからない武器を1本を背負っていた。
気になったのであの武器に鑑定をしてみたら、柄にもなく思わず吹き出しそうになった。
彼は、武器を選ぶ気があったのかと思った。
何故なら鑑定で見てみたら、
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聖剣エクスカリバー(観賞用エクスカリバー)
制作者 佐久間 昴
制作日 756年3月5日
種類 片手剣
ランク 伝説級 (稀少)
二代目勇者が作った最高傑作の、聖剣エクスカリバー。
(二代目勇者がとある貴族にその時の気分とネタで作った、観賞用エクスカリバー)
効果は魔力を込め、『天を切り裂き我が剣の糧となれ』と呟きながら敵を切り裂くと絶大な威力をもたらす。
(魔力を込め技名を呟くと剣が発光するだけの武器、この剣の効果を知っていたら周りから絶大な笑をもたらす。)
(この剣には偽装がほどこしてあり特異スキルの鑑定じゃなければ偽装を破れない。切れ味はミスリルより上なので大抵のものは切れます。)
※偽装されている情報は()に書きます。
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とある貴族って書いてあるのにここにあるって事は恐らくその貴族の家にあったその武器を鑑定して、王族が押収したってことだろう。鑑定なしでも、あれだけ金で装飾してあったら誰でも気づくでしょ。
何より、外で使ってたら目立って目立って仕方がない。いや、目立ちたいだけなのか?
そう言えば昨日、食堂であのあと北山が話掛けてきて、話し合いの時の事を教えてくれた。
その時の神谷君の意見は、
「この世界の人達が困ってるんだ、助けられる力が有るんだから皆で協力して魔王と魔人種を倒そう」
って言う意見だったそうだ。
この話を聞いて馬鹿なのかと思った。何時から困った人が世界中の人達になったのか、力はあるが人を殺す覚悟もないし、何より彼の言っている事は力の有る無し以前に、
「この世界の人達が困ってるんだ、その人達の為に困らせている人達を殺そうよ」
っていているようなものだ。
まあ、そのあと国王との会話を元に今の意見に落ち着いたそうですが。
予想ですが、恐らく彼の考えは、
「僕は勇者なんだ、だから強大な魔王を討ち滅ぼすための力が僕にはある」
とゲーム的思考にあるように思えた。
向こうではそこまで正義感の塊じゃなかったが、この世界にきてから自分が職業をみて勇者だと思いこみ始めたように行動し出してる。王様との会話の時はそこまででしゃばって来なかったが、話し合いの時からでしゃばるようになったようだ。
まあ、この調子じゃあ彼はこの世界の傀儡になるだろう。
「それでは、皆様武器を選んだようなので、訓練場に参ります。」
ダグラスが勇者達が武器を選び終わったのを確認し、訓練場に案内する。
移動中クラスメイト達は、重たい武器を必死にもって行こうとして、カチャカチャ煩かったがそれ以外何事もなく訓練場にたどり着いた。
訓練場は、サッカーコート3つ分位を半分に分け、片方を騎士の格好をしているが、的に向かって火や水、風や土、雷や氷と色鮮やかな物を当てていた。
もう片方は、騎士の格好で剣や槍等で二人組を何個も作って模擬戦をしていた。
「さてお前らには、取り敢えず1日中素振りをしてもらう。」
ダグラスの言葉遣いが急に変わったが今日予定を話す。
「ふ、普通は型とかを教えるんじゃないんですか?」
神谷が急に言葉遣いの変わったダグラスに驚きながら聞くが、
「馬鹿言え、ろくに武器を扱えないのに型を教えてなんになるだからちゃんとした訓練は明日からださあ、散れ。」
クラスメイト達は不満げな顔をしながら訓練場に散って行く。
私は、クラスメイト達から結構離れた場所に行き短刀を抜く。
そこから取り敢えず剣道みたく面に胴、等と振っていき短刀を逆手に持ち、相手の首を切り裂く動作をしてみる。
そこで、
ーーーースキル 短刀術Lv1を獲得しましたーーーー
と機械がかった女性の声がした。
何事だと思いステータスを見てみる。
すると、スキルの部分に短刀術が増えていた。
詳細を見てみると、
【短刀術】
短刀を握り振るう事で獲得できる。
Lvがが上がれば上がるほど技を覚える事ができる。
Lvが上げるにはそれ相応の努力で上げる事ができる。
Lv1 切りつけ
Lv2 ---
Lv3 ---
...
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と書かれていた。
試しに、短刀を握り直し振りながら切りつけと念じるとビュンと音がして、風が切れたような気がした。それに振るときに、足、身体の動かしかた、短刀の握りかたが分かった。
これがスキルの恩恵かと実感した。
でも向こうの世界の武術家からしたら、たまったもんじゃないな。
そこから、短刀の振り方を身体に覚え込ませる様にしばらく振るっていると気付いたら夕方になっていた。 あれ、集中しすぎた?はあ、昔からの悪い癖だなと思い他のクラスメイト達の方を向いてみると。
ほとんど帰っていたり、兵士たちに教わっている者もいた。私も短刀を鞘にしまい帰ろうとしていると、
「おう、お前も訓練を切り上げるのか。」
ダグラスが話掛けてきた。
「はい、もう夕方なので。」
それを聞いてダグラスは私を見ながら考える素振りををみせ
「お前明日はしっかりと休め。」
「は?」
「お前だけだぞ、昼飯を食わずにそんなに熱心に訓練してたの。他の奴らには俺から言っておく。」
そりゃあ、早く自分の身を守れる様にならないとこの世界何があるか分からないからねぇ。
ダグラスは私が明日も来ようとしてるとでも思ったのか、
「ともかく明日は休めそんなんじゃあ直ぐに身体壊すぞ。」
「はぁ、分かりました」
まあいいか、明日は書庫で情報集めだ。
そこから私は部屋に戻り、シャワーを浴び汗を流してから食堂に向かう。食堂に向かう途中ステータスを見てみると短刀術がLv4になっていた。