迷宮 初戦闘
遺跡の入り口まで歩いていくと回りから変な者を見る目で見られた。
そりゃそうだろ、周りの冒険者?が大剣や頑丈な鎧を装備している中、私は装備は学生服でその上から革装備を身に付け、武器は腰に差した短刀一本、それ意外持ち込んでるアイテムなしと見られてるんだから。
他のクラスメイト達は、派手な鎧やローブを着ていたけど私の場合、今は邪魔でしかない。私の戦闘スタイルは、短刀の場合は超近距離戦闘なんだから。
それに鎧を着けたら重くて素早く動けないし、ローブは別に着けてもいいんだけどあまりいい効果の付いたローブじゃなかったから止めて、申し訳程度の肘、膝、胴の革装備で落ち着いた。まあ、グローブを装備した場合オールラウンダーで使い方次第で防具になるから今は要らない。
そんな事を考えながら遺跡の中に入り、階段を降りる。
迷宮は松明とかの光源無しでも大丈夫らしい。何故なら迷宮の壁は、少し発光しており別に視界が真っ暗になることが無いからだ。それに松明とかの火を点けると、油の臭いや火が燃える音等で魔物達が集まってくるら危険なんだそうだ。それでも、もし光源が欲しい場合は高いお金を払って数時間しか使えない道具を買うか、光魔法を使える奴に頼むといいらしい。
迷宮は10層毎にフロアボスがいて、そのボスを倒すとアイテムやお金が入った宝箱が出てくるそうだ。別にボスを倒さなくてもフロア中に宝箱が置いてあるのだが、決まって罠付きで解除、施錠するスキルが必要だから確実にアイテムやお金を手に入れたいのなら、ボスを倒してたら出てくる宝箱は罠は絶対に付いてないからそれでアイテムを狙う人が多いそうだ。
「結構人多いですね」
迷宮では、基本一階層からの攻略になるので必然的に人が多くなる。まあ、クラスメイトの中に特異スキルで転移があったから例外とはああ言うのだろう。
この人達は真っ直ぐ行った先にある二階層の階段を目指している様なので、私は左にあった通路に行き道から外れる。
「あれがゴブリンなのかな」
その通路を進んだ先に少しひらけた部屋に着いたので、部屋の外から中の様子を見る。そこで、棍棒を持った緑色の肌をした生物が佇んでいるのが見えた。
取り敢えず、鑑定、
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【名前】未設定
【分類】ゴブリン
【討伐ランク】F
【スキル】
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あれ、表示が少し違うし具体的な数値が書いてないや。
【討伐ランク】
討伐対象のランクを表示する。
Gランク 子供でも討伐出来る。
Fランク 大人が一人か、低級冒険者一人で討伐出来る。
Eランク 低級冒険者が数人で討伐出来る。
Dランク 中級冒険者一人で討伐出来る。
Cランク 中級冒険者が数人で討伐出来る。
Bランク 上級冒険者一人で討伐出来る。
Aランク 上級冒険者数人で討伐出来る。
Sランク 最上位冒険者一人で討伐出来る。
SSランク 最上位冒険者数人で討伐出来る。
SSSランク 国中の冒険者を集める事で討伐出来るか出来ないか。
Zランク 国の壊滅を意味する。
そこまで確認すると短刀を抜き、ゆっくりと部屋の中に入る。ゴブリンが侵入者に気づいたのか、棍棒を振り上げようとするが私は部屋に入った瞬間ゴブリンの懐に突っ込み、そのままゴブリンの首を短刀で切り上げる。
どさっ、という音と共にゴブリンが後ろに倒れ、切り裂いた首から紫色の血が流れ出す。
――レベルが上がりました――
と言う音が脳内で流れたのでステータスを確認すると体力と魔力が二百、それ以外が百あがっていた。
「意外と弱い、ゴブリン相手なら一対多でも大丈夫そうかな。でも、血の色が紫色ってどんな成分が入っているんですか」
感想を述べると短刀を鞘にしまい。倒れたゴブリンを観察する。
しばらく経つとゴブリンから霧が出てきて霧が収まるとゴブリンの居た場所にビー玉位の大きさの石と、ゴブリンの持っていた木の棍棒が落ちていた。
それに近づき石を広い上げる。
「これがドロップアイテム、解体が必要ないって便利ですね。」
外に居る魔物だと倒した時に解体しないといけないが迷宮の魔物だと倒したら数分後、自動的に魔物が霧に包まれ、返金出来るものを落とすそうだ。
今回はゴブリンと使い道がないから素材が落ちなかったがこれが狼、熊等の場合毛皮や肉、牙などが落ちるらしい。
私は落ちたアイテムをリングに回収して、元来た通路を戻り二階層へ行く、
この迷宮は一階から五層まで階段への道が一本道からの枝分かれで真っ直ぐ進むと合流するようになっていて、六から二十層まではちょっとした迷宮になっているが城の書庫にあった地図を見て記録しているので迷う事はない。
恐らくダグラスは私の事を婆さんに聞いていたので迷宮の地図を広げた事を覚えていたのだろう。だから迷う事はない、余計に兵士をつけてあいつの邪魔をするべきではないと思ったのだろう。
通路まで戻ると、クラスのグループが何個か通って要るのが見えたが此方の事は見えていないのか気にせず進んでいる。取り敢えず二階層に降りるが、階段までは真っ直ぐ進むだけだ。
どうしようかな、二日間って言っていたけどこのまま進むと地図を記録しているので1日も掛からずにつきそうだから階層毎の全部の部屋でも巡ろうかな、戦闘にも慣れとかないといけないし。
取り敢えず二日間の予定を決めると、魔物が居る部屋を順々に巡っていく。途中、宝箱などがあったが施錠スキルがないので全部無視する。
なんやかんやで1日の終わる頃に10層に行く階段の前に、フロアボスがいる扉の前にある部屋についた。階段付近は魔物が襲って来ないのだが、ボスの部屋の前は一種の休憩所見たいな場所で冒険者やクラスのグループがここで寝る準備をしている。
クラスメイト達は疲れて座り込んだりしていて気付いてないが、兵士達は私に気付き流石だなとでも言いたげな視線を向けられる。
何か私しましたっけ?
気になったのでクラスメイト達と私の違いを比べてみると、まず魔物の血が付着していないし、そこまで息切れをしてないし服とかが傷付いていないと結構な差があった。
鑑定してみるとLvが2になっているか、変わっていない奴ばっかだった。でもこれは、私が戦闘をしてないとでも思われてもおかしくないのに何故そんな視線を向けるのだろう。
そんな事を考えていると一人の若い兵士が近づいてみた。
「お疲れ様です星野様、」
様?
「何ですか様って」
すると兵士は困った顔をして、
「いや、私が受け持っているグループの勇者様に、俺たちの事を区別したい時は様付けで呼べと勇者様に言われまして、何かご不快でしたでしょうか」
なにやっているんですか、それに代表グループこの事は止めなかったのか。
「いえ、不快では無いですが様付けは止めてください。それで何か用ですか。」
何か、気持ち悪いからやめてほしい。
「分かりました、用と言うほどではないのですが団長に俺の予想道理なら労ってやれと言われまして」
予想道理?
「どんな予想をしたんですかダグラスさんは、」
流石に人の前なのでさん付けする。さん付けにしないと、下手に慕っている奴は文句を言いかねない。
「団長が、星野君がいの一番に迷宮に入ったのを見て、私たちにもし休憩所でアイツがお前たちより後に来たら労ってやれ、と言われましてそれで星野君に話し掛けたのです」
様付け止めろって、言ったらこの人は君付けになるんだな。でも、
「ストーカーですかあの人は」
「そう言ってあげないで下さい、勇者様の中で唯一認めているのは星野君何ですから」
私、あの人に何かしたかな。
「それでは私は休息に入りましたので、」
そして、兵士は自分たちが陣取った場所に戻っていく。
私も、空いてる場所に座り壁にもたれ掛かる。そして今日の成果を確認する。今まで、部屋を巡ってきたがほとんどゴブリンで倒しがいがなかった。だが、Lvが結構上がったしスキルポイントで何個かスキルを覚えた。
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【ステータスオープン】
【名前】星野 凜 【性別】男
【年齢】16【種族】人間種
【職業】傀儡師【Lv】7
【体力】1550/1550(1200up)
【魔力】1700/1700(1200up)
【攻撃力】800 (600up)
【防御力】750 (600up)
【スキル】
調理Lv5 家事Lv3 観察Lv5
短刀術Lv6(2up) 並列思考Lv4(1up)
操糸術Lv1 索敵Lv3(new)
【特異スキル】
情報管理Lv3(2up)
【職業スキル】
傀儡化Lv1
【称号】
異世界人 人嫌い
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ステータスを確認する度に思うのですが私のステータスの上がり幅、可笑しくないですか。
他の勇者達のステータスを確認するが、少なくとも1Lv上がると50位しか上がってない。まあ、固有職業組は確認してないですが、何でこんなに差があるんだろう。
もしかして基本職と固有職は差があるのかな。
一応新しいスキルは、
【索敵】
スキルポイント20を使って獲得したスキル。
Lv×20メートルの生物の有無を確認する。
Lvが上がれば味方か敵かを判別出来る。
使ってみて分かるが魔物が居るか居ないか、待ち伏せているのかが丸見えなので簡単に対処出来たり、逆に奇襲出来たりする。情報管理は魔物の情報を記録した瞬間Lvが3まで一気に上がった。
それで、新しく使える効果が増えたが今は使い道が無かったのでまた別の機会に試す事になった。意外と使えるスキルばかりなので助かっている。
ステータスの確認が終わったので、目を瞑り明日に備えて仮眠を取る。