ユニークスキル「トレースアーツ」
ツインコカトリス撃破により、武宮がレベルアップした。システム音がアナウンスをしていく。
『――レベルが6へアップしました。HP+50、MP+1、攻撃力+16、防御力+10、俊敏+5、魔力+1、精神力+8』
同時に、五十嵐の方もレベルアップする。
『――レベルが6へアップしました。HP+61、MP+11、攻撃力+15、防御力+15、俊敏+13、魔力+16、精神力+14』
『――回復魔法のスキルLVが2へ上がりました』
お互いの目の前に広がるメッセージを見て、確認してみた。
今回、まともに回復魔法を発動出来なかったが、レベルアップでスキルレベルが上がることもある。
毎回そうなのだが、武宮は微妙に落ち込んだ。
「やっぱり桃のステータス、伸びがいいな……しかもどんどん伸び幅も良くなっている気がする。スキルレベルも上昇か」
「でも、もうすーくんの方が強くなっちゃったけどね~。あっ、ツインコカトリス食べないとね」
「……なぁ、今夜、ツインコカトリスがいいな~。鶏肉料理!」
「ふふふ、そうだね。普通のコカトリスとの違いも知りたいもんね」
「そう、そう!」
「それなら、ツインコカトリスは帰ってからのお楽しみにしよっか」
「楽しみだ……ツインコカトリスのが、美味いらしいぞ! 高級肉みたいな味するんだろうな~。やべ~。ああもう、腹減って来た。もう口の中鶏肉モードだ。しかも桃が調理するんだ。絶対美味い!!!」
「ふふふ、相変わらず食いしん坊さんだね~」
「まぁな。腹いっぱい食べるために、冒険者になったわけだし!」
2人は全冒険者共有スキルである、転移魔法を発動させる。ディレイ60秒で発動するこの魔法は、周囲の安全を確認してからでないと、扱えない。
そしてこの場所で転移して元の世界へ戻れば、次回からはまたこの場所からスタート出来る。
フィールドの冒険はそのような仕組みで、繰り返されているのだ。
☆
「すーくん、ごはんできたよ~」
「待ってました!」
手を洗い、食卓へ。
テーブルの上には、鶏肉のソテーとホカホカの白米が用意されていた。皿の上にこんがり焼けたツインコカトリスの肉は、どことなく金色にツヤツヤと輝いている。そして同じ皿にレタス、プチトマトが添えられ、彩りも良い。
「おお~。ツインコカトリスの肉って、火を通すとこんな綺麗な色になるのか」
「ね~。コカトリスとは違うんだね」
「ううっ! 美味そう! 普通の食材とは違う色ってのが、これぞ異世界料理! 桃、いつもありがとう!」
「ふふふ、もう、すーくんったら……」
2人で手を合わせ、「いただきます」と言い食事を始める。武宮はさっそく、鶏肉のソテーから食べ始めた。
パリッとした触感と共に、プリプリとした触感。たっぷりの肉汁には旨味が凝縮されており、噛めば噛むほど美味しさが増していく。白米がよく進んだ。
「もぐもぐ。めっちゃ美味いぞ、桃」
「うん! でも、あれだね。レアモンスターっていうだけで、まさかあんなに強くなるなんて……今度から、ああいうのに挑戦する時は、ちゃんと協会のデータベースで調べてからにしないとね」
「そうだな……結構、危なかった。状況が変わったのも、俊敏を直前で上げて、意表ついて初撃を入れられたからで、最初からあの状態だったら、厳しかったかもしれない。でも……」
「でも?」
「こんなに美味いなら、挑戦はしたくなるなぁ」
「ふふふ、危ない冒険の果てのご褒美だからこそ、より美味しく感じるのかもね」
「おおー。かもな。まあでも、俺も気をつける。過度の無茶は禁物だよな」
そんな会話をしながら、楽しい食事を終える。
「食器、片付けようか?」
「うんうん、いいよ。そんなことより、すーくんはステータス、確認した方がいいよ」
「わかった」
桃が食器を片づけていると、システム音が告げた。
『――グルメリストにツインコカトリスが追加されました。初喫食ボーナス、俊敏+15、魔力+15加算されます。さらにスキルポイントが1加算されます』
「お、スキルポイント1か。ステータスも伸びた」
「スキル、なに上げるの?」
食器を洗いながら、桃が問いかけてくる。うーん、と考えた。
「将来的なことを考えると、移動スキルはほしいよな」
「定番は騎乗か、召喚魔術辺りかな」
騎乗スキルは移動専用の召喚獣を召喚し、フィールドを素早く移動することが出来るようになるスキルだ。
召喚魔術も、大きなモンスターを召喚出来るようになれば、移動用としても扱える。
「でも、まだいいんじゃない? 私達、まだレベル6だよ?」
フィールドには他に4つの大陸もあり、小さな島なども含めれば多くの狩りスポットがある。
さらにフィールド内には「ダンジョン」もあり、狩りをする場所は多数存在しているのだ。
しかし武宮達のレベルは、あまり高い方ではない。冒険者としても、まだ駆け出しだ。
先輩の冒険者達は50や90、100以上のレベルを持つ冒険者など、まだまだ先は長い。
今狩っているのは初心者向けのエリアで、戦っていないモンスターや行っていない場所はある。
それに俊敏のステータス補正もあり、移動速度自体は早い。
まだ大きな移動や、他の大陸への移動が要求されていないため、すぐに移動スキルがほしいというわけではなかった。
「それよりも、すーくんの身を守るスキル取得の方が優先順位は上だよ。今日の戦いも、状態異常耐性なしだったら、毒状態で戦闘することになってたよ」
「たしかに」
「スーパーアーマーは、タンク職定番だから、取ってみたらどう?」
「スーパーアーマー?」
「一定量までHPのダメージを肩代わりしてくれる、バリアを体に纏ってくれるの。これがあれば、被ダメもある程度までは怖くないよ」
「うむ……」
「さらにスキルレベルが4になると、一度の発動で広い範囲の味方全員にバリアを張れるから、パーティー全体の耐久力が上がるんだよ」
しばらく考えこんだ後、こくりと頷いた。
「わかった。じゃあ、スーパーアーマー取ってみるか。移動手段は、また次の機会に考える」
「うん」
スキルポイントを使いきり、スーパーアーマーをLV1にする。
スキル:スーパーアーマー LV1
消費MP40。対象者の体に、ダメージを肩代わりするバリアを形成。バリアの強度は最大HPの20%。クールタイムは60秒。このスキルの効果は重複しない。
「あれ? 待った」
「どうしたの?」
「……スキルポイント振ったら、新しい通知が来た」
システム音が、新たなユニークスキルの開放を告げる。
『ユニークスキル、「トレースアーツ EX」が解放されました。最大5つまで、グルメリストに記載されたモンスターの技をコピーすることが出来ます。なお、スロットから外した技の再習得にはもう一度、そのモンスターを食する必要があります』
『ツインコカトリスの「ポイズンブレス」がスロットに追加されました』
武宮 昴 18歳 男
レベル6
HP 320(+35)
MP 7(+35)
攻撃力 101(+130)
防御力 70(+20)
俊敏 30(+140)
魔力 7(+25)
精神力 44(+45)
スキル 斧術LV1 状態異常耐性LV1 スーパーアーマーLV1 トレースアーツEX
五十嵐 桃 18歳 女
レベル6
HP 361
MP 91
攻撃力 92
防御力 90
俊敏 74
魔力 97
精神力 84
スキル 剣術LV1 回復魔法LV2 探知能力LV1 気配遮断LV3 攻撃魔法LV1 愛の手料理EX




