表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

7/9

ツインコカトリス

 コカトリスは鶏をそのままポニーぐらいまで大きくしたような見た目のモンスターで、巣に産み落とされた卵は、卵料理として大人気だ。コカトリス本体の肉も、現実の鶏肉と似た良好なもので、中々の値段で取引される。

 レベル帯的にも、今の武宮達で問題なく倒せる上、レベルアップも狙える。

 ただし、それなりに危険性もあり、コカトリスが吐くブレスには毒効果が付与される。

 五十嵐の回復魔法には毒を治せるものがあるものの、やはり食らうと厄介なものであることには変わりがない。

 レアモンスター、ツインコカトリスはそんなコカトリスを狩り続けると出てくる……とされる、特殊なモンスターだ。名前の通りで、首が2本あるのが特徴である。そのため、毒を吐く息ももれなく2倍の量と効果範囲だ。

 コカトリスよりも良質な肉や羽毛が採取出来るらしく、さらに取引価格は上がる。


「いた……よし、いくか」

「うん。頑張ろうね、すーくん」


 遭遇したのは、コカトリス2体。翼を広げ、素早い動きで突進してきた。

 毒を食らわないように、出来るだけ正面へ回らないようにして、動きつつ攻撃を加える。コカトリスは大きく息を吸わないと毒の息を吐かないので、ポジションを移動させながら攻撃すれば、安全に対応出来るモンスターだ。

 1体1体を心掛けつつ、2体を撃破。

 アイテムボックスへコカトリスの死体を収納し、次なる獲物を探した。

 安全のため、3体以上の時はスルーする。

 もっとも、武宮は前のスキルポイントで状態異常耐性を獲得したので、もしかするとコカトリスの毒を食らうことはないかもしれないが、複数体いっぺんに倒すメリットはそれほど多くないと判断し、念のため回避する。

 そしてゴールデンスライムの時とは違い、夕方頃。少し早めに、その時が訪れた。


「コケ~~~~ッ!!!」


 近くに、2本の頭を生やしたツインコカトリスが発生。盛り上がった岩陰に隠れながら、様子を伺った。


「とりあえず、周囲に他のモンスターはなし……」

「すーくん。私が気配遮断で先手をとってくるね」

「わかった。でも、無理はするなよ」

「あ……じゃあ、頑張ってのチューをください……ちゅ~~」

「いってらっしゃい」

「もうっ! いってきますっっっ!!!」


 ぷんすか怒りながら、気配遮断をしてツインコカトリスへ近づく。

 背後をとり、その背中を剣で切る。

 しかしステータスが高いため、ツインコカトリスが怒った声を上げながらも、すぐさま背後を振り返り、その鋭い嘴を前へ突き出した。

 五十嵐は後ろへ素早く跳躍し、攻撃を回避。

 武宮も岩陰から飛び出した。

 と、ここでツインコカトリスは武宮の方へと飛び掛かっていく。間合いが詰まり、ツインコカトリスが素早く嘴を振り下ろす。斧の斧刃部分で、攻撃を受け止めた。しかしその間にもう一つの首は息吸い込み、毒の吐息が武宮へ降りかかる。


「すーくん!」


 五十嵐が切りかかると、ツインコカトリスは素早い動きで後ろへ跳躍。

 かなり俊敏な動きだ。五十嵐、武宮よりも俊敏の数値が高いことがわかる速さである。


「大丈夫だ。状態異常耐性スキルのおかげか、なにも感じなかった。そんなことよりも――」


 ツインコカトリスが前へ飛び出す。五十嵐と武宮はそれぞれ逆方向に跳躍し、回避した。


「これは格上かもしれない……! 桃、俺がなんとか食い止めるから、攻撃魔法を使うんだ!」

「うん!」


 五十嵐が距離をとって魔法を詠唱しようとする。だが、ツインコカトリスは目ざとくそちらの方へ移動し、五十嵐を攻撃した。剣でなんとか物理攻撃をガードするも、武宮同様、もう1つの首から放たれた毒の吐息を浴びてしまう。


「ううっ!」

「こっちだ!」


 追いついた武宮が斧を振るう。ツインコカトリスはそれを回避し、距離をとった。武宮がツインコカトリスの元へと突っ込む。だが、素早い動きから放たれた前蹴りが、武宮の腹へと食い込む。


「ぐふっ!?」


 ずざざざ、と地面を転がり回る。

 ツインコカトリスは詠唱中の五十嵐へと突撃。解毒するための術がキャンセルされ、五十嵐もまた足によって蹴り飛ばされた。


「動きに追いつけない……!」


 その後も何度か攻防を繰り返したが、根本的なステータス差を感じる。

 結構、ダメージも受けてしまった。

 特に毒を付与された五十嵐がまずい。


 武宮 HP 160/285 五十嵐 HP 140/300


 だが、今の武宮はステータスポイントのおかげで、攻撃力は高い状態。

 なんとか当てられる状態へ持っていければ、突破口はある気がした。


「そうだ……! まだ、ステータスポイントを振っていない」


 メニューを開き、今日獲得した100ポイントを「俊敏」へ全て振る。


「いくぞっ!」


 先ほどとは全く違う、五十嵐をも上回る素早い動き。

 意表を突かれたツインコカトリスは、間合いを詰めて来た武宮の一撃を、もろに浴びた。


「クケェ!?」


 ざしゅっ、と重い一撃がツインコカトリスの胸元を襲う。

 怯んだところへ、さらに振り上げた斧で一閃した。

 ツインコカトリスが悲鳴を上げ、後ろへふらつく。


「まだだ!!!」


 逃しはしない。さらに前へと出て、もう一撃、斧を振り降ろした。

 今度の攻撃はツインコカトリスにとって致命傷となり、大ダメージの痛みに長い2つの首を上へ向けた後、ばたん、とその体を地面へ倒した。


「やった、やったぁ! 私のすーくんは、やっぱりすごぉい!!!」

「おわっ!?」


 いきなり抱きついてきた五十嵐に、武宮は顔を赤くした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ