表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

6/9

草原へ

 アイテムボックスの制限内で、スライムの死体を協会へと売却した。スライムは食材、調合スキルが作る薬の材料になる。

 ゴールデンスライムが2万円、シルバースライムが3000円。他のスライム達が500円と儲けは控えめであった。あれだけ苦労したゴールデンスライムとシルバースライムがこんなにも安い。やはり、レアといえど所詮は序盤のザコモンスターなのだ。

 夕食を食べ終え、部屋のソファに座りつつ、武宮はカップに入ったバニラアイスをモゴモゴ食べていた。テレビをぼんやりと見る五十嵐の横顔を見て、ふとあることを口にする。


「なぁ。桃のステータス、見せてくれ」

「ん? うん」


 五十嵐 桃 18歳 女


 レベル5

 HP 300

 MP 80

 攻撃力 77

 防御力 75

 俊敏 61

 魔力 81

 精神力 70


 スキル 剣術LV1 回復魔法LV1 察知能力LV1 気配遮断LV3 攻撃魔法LV1 愛の手料理EX


(やっぱり、桃は強いなぁ)


 ハイレベルなオールラウンダーで、武宮のステータスをほとんどの項目で抜いている。

 協会でステータスを提示する時も、五十嵐のステータス値はよく褒められる。それほど数字の伸びが良いのだ。

 スキルも豊富だ。前衛も後衛もこなせる。おまけに周囲の状況を瞬時に把握出来る察知能力に、不意打ちなどに活用出来る気配遮断がある。


「あれ。気配遮断、レベル上がった? 前、2だったよね」

「うん」(すーくんが昨日、寄り道した時に。こっそり見てたんだよ……)


 もちろん、フィールド外のスキルの無断使用は犯罪である。恋するちょっとヤンデレな乙女は暴走するもののようだ。


「そっか。んー、まだ桃には追いつけないか」

「でも、明日には最低でもさらに100もステータスアップだよね? しかもまだ食べていないモンスターいっぱいだし、私なんてすぐ追い抜けちゃうよ」


 よし、と武宮は声を上げた。


「明日は、森を抜けて草原で狩りしよう。レベルも上げつつ、新しいモンスターを食べてやる」

「うん、賛成! いっぱい狩って、お腹いっぱいにごはん食べようね」





 翌日。再び協会へと向かって、ゲートを潜り抜けた。

 ゲートが転送する場所は一定の場所ではなく、最後に帰還した場所へ自動的に送られる。

 なので、2人は昨日の森へと再び現れた。

 ステータスの恩恵ゴリ押しでハイスピードに走り、森を抜ける。


「おっ。さっそく、ゴブリンがいるな」


 丘の上。無防備に日向ぼっこをしているゴブリンが4体いた。

 やや数は多いが、ゴブリンはレベル4以上はあれば無難に狩れる敵だ。


「ゴブリンも4色くらいいるよね」


 五十嵐の言葉に、武宮はこくりと頷く。

 今、視界に映るゴブリンは緑色だが、他に赤、青、紫と4種類だ。


「よし。やるか」

「……ねぇ。ゴブリン、食べるの?」

「え? ああ、もちろんだ。ゴブリンは見かけのわりに、結構重い攻撃してくるし、攻撃力あがるかもな!」

「そ、そっか。まぁ、いいけど……」


 異世界料理は当初、見た目のエグさなどから、人類にはあまりウケが良くなかったが、フィールドへの扉「ゲート」が現れてから50年以上が経過している。

 現在の人類は、モンスター料理が一般的な食事として広く普及している。

 しかしそれでも、食べるのに抵抗のあるモンスターというのがいる。

 五十嵐としてはゴブリンがそれに該当するのだが、どうも武宮は気にしないようだ。


「よし。いくぞ!」


 武宮が2体、五十嵐が2体ゴブリンを相手するように、前へと出る。

 ゴブリンは小柄で、彼らの足腰程度の背丈しかない。だが、右手に持っている棍棒は中々に強力。動きも小回りが利くため、油断は出来ない相手だ。

 しかし……。


「ぐきゃぁ!?」

「あれ」


 武宮の斧で、ゴブリンは一撃で沈んだ。

 2体ともその調子だったので、拍子抜けである。


(そうか。桃のユニークスキルで、攻撃力上げまくったから……)


 五十嵐の方は攻撃魔法「ファイアボール」を駆使しつつ、ゴブリンを華麗に倒していた。


「早いね、すーくん」

「ああ。やっぱ、攻撃力を上げて正解だ。一撃必殺で爽快」

「う、うん……すーくんって、ロマン砲とか、そういうの好きだもんね……」


 五十嵐は左手で小さなファイアボールを形成し、1体のゴブリンの体を焼く。焼けたお腹の肉をナイフで切り取り、濃い緑色となったゴブリンの肉、武宮へ渡す。


「ど、どうぞ……」

「??? なんで、嫌そうなんだ。いただきます」


 モグモグ。

 ぐにゅっとした、けれど歯ごたえのある、たくさん噛んだガムみたいな食感であった。味付けはしていなので、ほとんど味はしない。

 ごくん。


『――グルメリストにグリーンゴブリンが追加されました。初喫食ボーナス、HP+5、攻撃力+5加算されます』


「よし! これでさらに攻撃力が上がったぞ!」

「よ、よかったね……」(まずそう……)


 そしてその調子で続けて、ゴブリンを狩り続けた。


『――グルメリストにレッドゴブリンが追加されました。初喫食ボーナス、HP+5、攻撃力+5加算されます』

『――グルメリストにブルーゴブリンが追加されました。初喫食ボーナス、HP+5、攻撃力+5加算されます』

『――グルメリストにパープルゴブリンが追加されました。初喫食ボーナス、HP+5、攻撃力+5加算されます』


「あっ、ワイルドポニーがいる。可愛い~」


 ゴブリンをむしゃむしゃしていると、五十嵐がワイルドポニーを見つける。草原で草を食べている所であった。

 茶褐色の毛並み。成人女性の胸元ぐらいの、小柄な大きさの馬だ。見た目は可愛いが、その早い足で人間を積極的に襲う、凶悪な性格のモンスターである。

 案の定、ワイルドポニーはこちらへ近づくと、怒った様子でこちらへ突進してきた。

 武宮と五十嵐が、横へ跳躍して突進を回避。

 すれ違いざまに、武宮が斧を一閃した。


「ヒィィ!?」


 高い悲鳴を上げ、これまた一撃で沈む。

 見た目は可愛らしいポニーのため、愛着があるのか五十嵐が「ごめんね~」と言いながら焼いた馬肉をさっと作り、武宮へ与えた。


『――グルメリストにワイルドポニーが追加されました。初喫食ボーナス、俊敏+10加算されます』

『――本日5食目の、料理ボーナスを獲得しました。ステータスポイントが+20加算されます』


「よし。ステータスポイントも100貰えたし、あとはレベル上げかな」


 武宮の言葉に、五十嵐がこくり頷いた。


「すーくん。ツインコカトリス、狙ってみる?」

「ツインコカトリス?」

「この辺りに出る、レアモンスター。コカトリス倒し続けると、出るんだって。ちょっと強いみたいだけど、ゴールデンスライムみたいに、スキルポイント貰えるかも」

「わかった。じゃあ、狙ってみるか」


 次なる目標はコカトリス狩りからの、ツインコカトリスだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ