シルバースライム、ゴールデンスライム、いただきます
その後、他色のスライムを食べまくった。
『――グルメリストにグリーンスライムが追加されました。初喫食ボーナス、MP+5、精神力+5加算されます』
グリーンはちょっぴり苦い味がした。
『――グルメリストにピンクスライムが追加されました。初喫食ボーナス、MP+5、精神力+5加算されます』
ピンクはほんのりと甘い。
『――グルメリストにイエロースライムが追加されました。初喫食ボーナス、MP+5、精神力+5加算されます』
イエローはすっぱい味がした。
「さて……ここからかな」
武宮の言葉に、五十嵐がこくりと頷いた。
「うん。湧いてくれるといいんだけど」
様々な色のスライムを倒していく。倒しまくるのが出現する条件だ。しかしシルバースライムも、ゴールデンスライムも出現率は低い。
スライム自体は武宮、五十嵐共にワンパンのため、苦戦することはないが、単純作業は中々に疲れる。
途中、昼休憩を入れた。木に背を預け座る。
「おいで、すーくん」
ポンポン、と五十嵐が自身の太腿を軽く叩く。
青のショートパンツに包まれた太腿は、ムッチリと肉厚だ。とても柔らかそうである。
「シルバーもゴールデンも湧かないな……」
アイテムボックスから取り出した水を飲む。
森にはスライム以外のモンスターもいるのだが、シルバー、ゴールデンはスライム以外を狩ってしまうと出現しなくなると言われている。
スライムを狩り続けたパーティーの近くに現れる……というレアモンスターならしい。
「むうううっ。私はすーくんがどうして性欲沸かないのかが不思議」
五十嵐の頬がむく~と膨れている。
「桃は魅力的な女の子だよ」
「そうじゃなくて。携帯の履歴も、PCの履歴も、エッチなの検索してないんだもん。ちゃんと興味あるんだよね?」
(どうせ見るだろうと思って、対策してるんだよ……)
五十嵐にエロいものを見ているとバレれば、それはそれで面倒事になる予感がしていた。
休憩が終わり、再びスライムを狩り続ける作業へ戻る。
1時間が経過。お互い、脳死状態となっていたところへ、唐突にそれが現れた。
「あっ! すーくん、シルバースライム!」
銀色のスライムが、ぼよん、ぼよん、と武宮達めがけ突進してくる。
まるで数多もの同胞を倒してきた仇を、とろうとしているかのようだ。
「おぉ、来たか。うりゃ」
ぶんっ! と斧で一閃。
シルバースライムは一撃でやられた。
レアなだけで、ステータスは他のスライムとほぼ変わらない、ザコモンスターなのだ。
そして倒れたシルバースライムを、五十嵐がナイフで切る。
シルバースライムの味は、なにもしなかった。
『――グルメリストにシルバースライムが追加されました。初喫食ボーナス、HP+5、MP+5、攻撃力+5、防御力+5、俊敏+5、魔力+5、精神力+5加算されます』
「おお。+5は変わらないけど、全ステータスに+5された」
武宮のテンションが上がる。が、五十嵐がやや微妙そうな表情を浮かべた。
「だけど……その上がり幅なら、レアモンスターは優先順位下かも。これだけ時間かかって+5なら、適正場所でレベル上げた方が、強くなるには早い気がする」
「まあ、たしかに。ゴールデンスライムは諦めるか」
「え、でも、ゴールデンスライムの方がレアだし。シルバーと違って、なにか良いことあるかも!」
「……あるといいな」
そうして、再びスライム狩りが始まる。レベルは上がらない。楽な狩りは何回繰り返しても、レベルアップはしないと言われている。
スキルは行動で、スキルレベルが上がったり、閃いて覚えることは稀にあるのだが、格下との戦闘はそういったこともない。こういった戦闘は、本来であれば戦力アップにはあまり繋がらないのだ。
やがて、日が落ち始める。
「このままだと時間制限が来ちゃうね……」
五十嵐がため息をつく。
フィールドには8時間までしかいられない。時間が来ると強制的に転移魔法が発動し、元の世界へ戻されてしまう。そして入場制限もあり、ゲートは1日1回しかフィールドへは入れてくれない。
仕事と考えると定時帰りが約束されていて、ホワイト企業である。
だが、ガンガンレベルを上げたいと考える冒険者にとっては、億劫な制限に感じるのかもしれない。
「それにもう、飽きたよ……」
五十嵐の弱音が増えていく。
しかしここまで来て切り上げるのはなんだか悔しい気がして、お互いに辞めよう、とは言い出さなかった。
「すーくん、愛しているゲームしよっか」
「意味がわからないんだが」
「私がすーくん愛しているって言ったら、それに続いて?」
「嫌です」
「すーくん、愛している」
「……」
「すーくん!!!」
「うわぁっ、あぶねぇ!?」
剣を振り回されて、戦慄した武宮が避ける。
「どうして愛してるって言ってくれないの!? 私のこと、好きじゃないの!」
「スライム狩りでヒスるな! す、好きだよ、愛している!」
「本当に?」
「あ、ああ。おも……じゃなくて、一途で、可愛いし、す、スタイルも良くて、冒険者としても強いし、料理は上手だし、最高だ!」
「もう、スタイルが良いなんて! いやらしいところ見て、言っているでしょ♥ 私がHカップだからって、いやん、いやん♥」
なんて、五十嵐が嬉しそうにくねくねしていた時であった。
ぼよん、ぼよんっ!!! と、怒った雰囲気の金色のスライムが突進してくる。
「っ!? 来た!!!」
「やったね、すーくん!」
「うりゃっ!」
感極まった武宮が、またも一撃でゴールデンスライムを仕留める。
べた~~~~、とゴールデンスライムがぐったりした。
五十嵐がナイフを取り出し、ゴールデンスライムを切る。
「召し上がれ!」
「ああ……もぐもぐ」
シルバー同様、味が全くしなかった。
『――グルメリストにゴールデンスライムが追加されました。初喫食ボーナス、HP+5、MP+5、攻撃力+5、防御力+5,俊敏+5、魔力+5、精神力+5加算されます。さらにスキルポイントが1加算されます』
「スキルポイント?」
聞いたことがない単語に首を傾げる。
戦闘行動か、レベルアップによって取得・上昇するスキルレベル。ポイント制ではないはずだが、このユニークスキルに関しては違うようだ。
メニューを操作する。
「うおっ」
ずらり、とスキルが一覧で表示されていた。剣術、弓術、格闘術などの武器スキルから、魔力探知、気配遮断、回復魔法、攻撃魔法、果ては調合や鍛冶などの生産スキルまで、多種多様に用意されている。
協会が発表している、ユニークやレアではないスキル……基礎スキルの大体が、そこに表示されていた。
メニューを覗き見した五十嵐が、おお、と声を上げた。
「好きなのとれるのは便利でいいね~」
「……1振ると、1レベルアップって感じみたいだな。うーん。俺達でほしいのって、あるか?」
「今のステータス的には、すーくんは典型的な前衛タイプだから、守りのスキルが良いと思う」
「守りか……」
「地味だけど、状態異常耐性はどう?」
「桃の回復魔法で治せるだろ?」
「そうしたらその間、HPの回復が出来なくなっちゃうもん。厄介な状態異常になる確率は、減らせた方が便利だよ」
「んー。まぁ、わかった。じゃあ、状態異常耐性をレベル1にしてみるか」
スキルレベルの上限は、最大で10だ。
「うん。すーくん、レベル上がってないのに、今日だけでかなりステータス上がったね。主に攻撃力」
「ああ……けど」
ぐ~、とお腹が鳴った。
「帰って、桃のごはんが食べたい」
ふふふ、と五十嵐は笑った。
「うん! じゃあ、帰ろうか。お腹いっぱい食べようね~」
武宮 昴 18歳 男
レベル5
HP 270(+15)
MP 6(+35)
攻撃力 85(+110)
防御力 60(+20)
俊敏 25(+15)
魔力 6(+10)
精神力 36(+45)
スキル 斧術LV1 状態異常耐性LV1




