スライム、いただきます。
ステータス「俊敏」の値の恩恵もあり、武宮達は素早く移動をしていく。
数十分ほどが経過し、中へ入る。
さっそく、赤い色をした「レッドスライム」と、青い色をした「ブルースライム」が現れた。ぽよんぽよん、と跳ねながら森の中をウロウロしている。
この世界は見た目・性能がほぼ同じで、色が違うだけのモンスターというのは、よくある話であった。
「うし。倒すか」
「サクサクっとね」
レッドスライムが武宮、ブルースライムを五十嵐が倒した。斧、剣で振り下ろして1発だ。2人のレベルは5。まだまだ冒険者としてのレベルはかなり下だが、まっさらな初心者ではない。
死んだ2体のスライムが、ぐて~~~、と森の中でくたびれる。
「じゃあ、さっそく」
五十嵐がアイテムボックスからナイフを取り出し、死亡したことによって、ステータスの加護を失い、柔らかくなったレッドスライムの上の部分を切った。
一口サイズの、お刺身みたいな形にして切り取る。
「はい、すーくん。あーん♥」
五十嵐の左手に赤いプルプルしたゼリーが揺れる。
「これって、料理判定になるのか?」
「それも含めて検証、だよ。あーん♥」
右手でゼリーをとろうとすると、回避されて、五十嵐は「はい、あーん♥」と繰り返す。
「見られたら恥ずかしいぞ」
「全世界の女どもに、すーくんは私のモノだよって知らしめることになるから、なにも問題はないよ」
「そもそも狙われていない」
「はい、あーん♥」
こうなると断れなくなる。
武宮は渋々、口を開けた。五十嵐が右手でゼリーを摘まみ、レッドスライムの刺身(?)を、武宮の口の中へと入れる。
ぱちゅ、ぱちゅんっ、と口の中で弾けるような感触。レッドスライムだからか、少しだけ辛かった。ごくん、と飲み込むとシステム音が脳内に響き渡る。
『――本日1食目の、料理ボーナスを獲得しました。ステータスポイントが+20加算されます』
『――グルメリストにレッドスライムが追加されました。初喫食ボーナス、MP+5、精神力+5加算されます』
「お、上がった。切るだけでも料理判定なのか。用意された分だけ食べれば、1食になるのかな。昨日の親子丼も、そんな感じだったよな」
「ブルースライムも召し上がれ~。あーん♥」
「あ、あーん……」(まだやるのか……)
「ふふふ、顔赤くしちゃって、可愛いね」
ぱちゅ、ぱちゅんっ、と口の中で弾けるような感触。ブルースライムだからか、ひんやりとしていて爽やかな味だ。ごくん、と飲み込むとシステム音が脳内に響き渡る。
『――本日2食目の、料理ボーナスを獲得しました。ステータスポイントが+20加算されます』
『――グルメリストにブルースライムが追加されました。初喫食ボーナス、MP+5、精神力+5加算されます』
「コカトリスと上がり方が違くて、ブルースライムと全く同じなのか。グルメリスト……は、これか。うお、なんだこれ」
メニューに追加されていた、グルメリストを押す。いわゆるモンスター図鑑のようで、?????が大量に乱立していた。スクロールすると、レッドスライム、ブルースライム、コカトリスの名前がある。
「桃。もう一回、ブルースライムを俺に食べさせてくれ」
「うん。わかった」
ぱちゅんっ、ぱちゅんっ、と再び1切れだけを食べる。
ちなみに、はい、あーん♥ は継続していた。
『――本日3食目の、料理ボーナスを獲得しました。ステータスポイントが+20加算されます』
「む。やっぱり、名前の通り初喫食ボーナスってのは、1回きりなのか。残念」
「強くなってない?」
「いや。ステータスポイントについては、引き続き加算されている。桃、もう1回ブルースライムを頼む」
「レッドじゃなくていい?」
「あ、じゃあレッド食べてみる」
ピリっとした辛みがほしくなったのだ。
「はい、あーん♥」
「……あーん」
『――本日4食目の、料理ボーナスを獲得しました。ステータスポイントが+20加算されます』
「まだ上がるな」
「どこまでいくんだろうね」
「どこまでもだったら、すごいけどな」
さらにもう一度、繰り返す。
『――本日5食目の、料理ボーナスを獲得しました。ステータスポイントが+20加算されます』
『――本日の料理ボーナスの上限に達しました』
「ステータスポイントについては、ここが限界みたいだな。1回につき20上昇して、上限は5回。合計100だ」
RPGのドーピングは大体上がり幅がしょっぱいが、ユニークスキルだけあって上昇値が高い。しかもこれが毎日なのだから、レベル以外でも、基礎ステータスをどんどん上げることが出来る。
「おお~。じゃあこれからは、1日5回私の異世界料理を食べないとね。ふふふ」
「よし。100は全部攻撃力へ振るか」
「すーくん、迷いないね……耐久にも振った方がいいよ? 前衛タイプなんだから」
「そうか。じゃあ、防御と精神に10振るか。残りの80は攻撃だ」
武宮 昴 18歳 男
レベル5
HP 270(+5)
MP 6(+10)
攻撃力 85(+100)
防御力 60(+10)
俊敏 25(+5)
魔力 6
精神力 36(+20)
まとめると、上昇のルールはこういったところか。
・用意された分を食べるのが1食、という判定
・切っただけでも、桃の手によるものならば、料理判定になる。
・1食につき、料理ボーナスが入る。1日5回。合計100。
・初めて食べたモンスターには「初喫食ボーナス」がつく。モンスターによって上がり方が違う。
「レアモンスターとか、強いモンスターを食べたら、いっぱい上がったりするのだろうか……」
武宮の言葉に、五十嵐が提案した。
「じゃあ検証もかねて、今日は色違いのスライムを狩りまくろっか」
ここの森のスライムはずっと狩り続けると、一定の確率で「シルバースライム」さらに低い確率で「ゴールデンスライム」というのが出てくる。
「そうだな。やってみよう」




