コウセイ!School beat
こんにちは!麦畑だよー٩( ᐛ )و
高校生のギャグ系書きたいなーって思って書いただけなんだけど、あわよくば人気が出てくれないかなーって思ってます。
ー僕は、見てはいけないものを見てしまった。
遡ること数時間前、僕は学校での日常を満喫していた。彼女はいないけれど、恋をしている相手ならいる。真咲ちゃんって言うらしいんだけど、とっても可愛いんだ。今年、初めて同じクラスになって、そこで見かけて一目惚れしてしまった。高めのポニーテールに藍色のリボンを着けている子なんだけど、肌は透き通る程に白くて、足は細くスラっとしている。瞳は深い黒色で引き込まれるような感じ。僕はついつい目で追ってしまう。あれ。真咲ちゃん、今日はなんだか疲れてるみたい。それはそうだよね。今日は金曜だし。僕だって疲れてるさ。僕の体力は人並みくらいだし、こんなもんだよね。もっと僕に体力があれば良かったのに。だって、金曜も元気だったら、週末は遊んで過ごせるじゃないか。そしたら、あの子を誘うぐらいの勇気もさ…。まあ、誘ったところで、断られるんだろうけど。あんなに可愛いんだから、モテるに決まってる。現に、男子達の間ではそこそこ有名みたいだし。だとしたら、僕に勝ち目はない。自分で言うのは悲しいけれど、僕には長所らしい長所がない。全てが平均なのだ。あ。真咲ちゃんがため息をついている。本当に疲れてるんだな。こんなこと、今までなかったのに。
しまったーーーっ!大事な教材を教室に忘れてきちゃったみたいだ。僕は、怒られることを覚悟で教室に戻ることにした。普段なら怒られることはないのだが、今日は違う。…今日は、金曜日なのだ。何故、金曜日だと怒られるのか。それは、この学校独自のルールによるものだ。
【金曜日は、放課後学校に残ってはならない】
…おかしな決まりだ。しかも、この校則、ここ数年で立てられたルールなのだ。もちろん、反発した生徒もいたさ。だが、教師陣から返ってきた答えは「わからない」の一点張りだった。先生も分からないって、どうなってるんだか。それとも、言えない理由でもあるのだろうか。ただ、金曜日の放課後活動を休めるっていうのを喜んだ生徒の方が多かったから、この反発話はお蔵入りになった。
さてと、話を戻そう。僕は、今日までに必ずやらなければならない教材を教室に置いてきてしまった。本来、取りに戻ったら忘れた以上に怒られるのだが、それでもいい。課題を終わらせられるのなら、僕はどんなに怒られてもいいんだ。固い決意が別の決意に変わったのは、自分の教室の前に着いた時だった。ー真咲ちゃんが、そこそこの堅いの良い男子生徒達に囲まれていたのだ。
「おい、女。金曜日の放課後まで残ってるなんて、悪い子だなぁ?」
いかにも、ヤンキー…いや、半グレな感じの男だ。アイツは、刈谷だっけ。確か、結構有名な奴だったな…不良の中で。言ってなかった気がするんだけど、僕の高校は、偏差値も丁度真ん中なんだ。だから、ちょっと不良も混ざっている。普通、偏差値が真ん中ら辺の学校に不良は居ない気がするのだが、何故かいるのだ。何故かを考えるのは、もう辞めた。考えるだけ無駄ってやつだ。
「す、すみません。どうしても話したいことがあるって言われたものですから。金曜日でいいの?って聞いたんですけど、『それでも』って。」
どうしても話したいこと?それって、まさか…告白?それも、金曜日の放課後に??真咲ちゃん、この学校にそこまでする奴はいないと思うよ。
「あー。それ、あれだわー。俺らの子分。」
刈谷の右隣にいた奴が、ニヤニヤしながら言う。
「えっ?」
あの野郎。つまり、真咲ちゃんは罠に嵌められたってことか。真咲ちゃんは全体的に人気があったから、不良の中でも評判が良かったのかもしれない。なら、この状況って…かなりまずくないか?
「可愛い子分が、俺らの役に立ちたいって言うもんだからさー。真咲ちゃんをここに呼んでもらうことにしたんだ。」
嘘だ。絶対に脅したんだろう。現に、今日真咲ちゃんに声をかけていた生徒は、気が弱そうな男子生徒だけだった。
「だから、あの人は、泣きそうな顔でお願いしてきたのですね…。」
やっぱり。
「それでさぁ。真咲ちゃん。もちろん、俺らと遊んでくれるってことだよねぇ?」
遊ぶ。その言葉に、僕は悪寒を感じた。
「あ、遊ぶって…何で、ですか…?」
察しがついてしまったのだろう。真咲ちゃんも、ぶるぶると震えている。
「決まってるだろう?男と女が遊ぶ遊びっていうのはよぅ。」
…アイツらに、勝つためにはどうすれば良い?力だと、敵いそうにない。なら、正攻法では無理だ。…彼女さえ逃すことが出来れば、僕の勝ちだ。ただ、無闇に飛び込んで、状況が悪化するのはまずい。考えろ。彼女を救うにはー。
そんなことを考えている間にも、不良共は真咲ちゃんに近づいていく。真咲ちゃんは、恐怖からか、一切動けなくなっていた。…もう、限界だ。大した策は練ってないが、割り込むしかない。でないと、真咲ちゃんが危ない。僕は、扉に手を掛けたー。
しかし。次の瞬間。真咲ちゃんに最も近かった不良が、足から崩れ落ちた。
「え、あ?」
何が起こったのか、分からなかった。しかし、それは不良達も同じようだ。
「…!おい、お前、何をした!?」
刈谷が、真咲ちゃんに向かって怒鳴る。…真咲ちゃんに?
「何って…。あまりにも酷い言動だったので、お仕置きしただけなんだけど。」
真咲ちゃん?!
「お仕置きだとぉ?俺らを前に、よくもまあふざけた真似が出来たな??…おい、お前ら!やっちまえ!!」
まずい。ボーッとしてる場合じゃなかった。真咲ちゃんを助けなくては。再び扉に手を掛けた僕が聞いたのは、不良達の悲鳴と鈍い打撃音だった。
「ぐぁぁぁあ!」
「あぶさはむにだぁっ!」
え?何が、どうなってるんだ??頭が混乱してぐちゃぐちゃになっている間に、恐ろしい音は止み、教室は静寂に包まれていた。えっと。あ。真咲ちゃんは無事なのか!?
「大丈夫ですか!?今、教室から悲鳴が…。」
とりあえず扉を勢いよく開けた僕だが、教室がどうなっているのかを見た瞬間、僕はとても後悔することになった。ボコボコにされた不良たち。それと、血まみれになった箒…かな?原型を留めていない気がする棒状の何かを持っている真咲ちゃんがいた。
「真咲…さん?」
僕は、それ以上に言葉を出すことが出来なかった。絶句するのも、無理はないだろう?だって、恐らく初恋である女の子が、不良達を完膚なきまでに打ちのめして平然としているのだから。
「…」
真咲ちゃんも、無言だった。あの暗い瞳で僕を見据える。こ、怖いけど、カッコいい感じもするなー。
「…」
あ、あの。沈黙が長いんですけど。これは、見逃してくれるってことかな??じゃ、じゃあ、僕は、此処から離れてもいいってことだよね??良いんだよね?
「おい。」
とても女の子とは思えないドスの効いた声で彼女は言う。だから、僕は完全に金縛りにかけられてしまった。
「ヒッ!な、何でしょうか。」
必死に絞り出した言葉が、これ。なんて情けない。
「…見たな?」
終わったぁぁぁぁっ!殺される!僕はこれから殺されるんだっ!!好きな子に殺されるのだから、むしろいいんじゃないかって?そんなわけあるか!!僕はまだ生きたいんだあーーーー!…それに、こんな情けない姿で終わりたくない。好きな子を助けもしないで震えて。結局、彼女の手を汚させただけじゃないか。それなのに、彼女を恐れてどうする?何もしなかった人間が、行動した人間を評価するなんて、実に愚かな事じゃないか。僕は、腹を括ることにした。
「…お前。今、何を考えた?」
真咲ちゃんが、無表情のまま、僕に問いかけてきた。ということは、僕はまだ死んでいないってことか。
「そ、その。僕を消したければ、ど、どうぞ。」
「は?」
真咲ちゃんの反応はまともだ。僕だって、こんな返答、馬鹿げてると思う。でも、こうするしか彼女に詫びる方法はない。
「ゆ、許してくれとは言わない。僕は、君を助けに…飛び出せなかったのだから。だから、貴方の…判断に、従う。」
僕は、言葉をつまらせながらも、必死に言葉を紡いだ。真咲ちゃんは、僕の話を静かに聞いていた。
しばらく、静寂が続いた。僕は、また、だんだん怖くなってきたが、頑張って彼女の方を見続けた。
「キーンコーン、カーンコーン…」
意外なことに、沈黙を破ったのは、教室のチャイムだった。最終下校時刻の鐘だ。
「…お前、名前は?」
次に、真咲ちゃんが、口を開いた。戸惑いながらも、僕は口を開く。
「な、名前?…僕はー。」
名乗ろうとした瞬間、僕は体勢を崩してしまった。どうやら、腰を抜かしたらしい。
「い、いてて…」
おまけに、涙まで流してしまった。今日はホント、ついてない日だ。すると、真咲ちゃんはハンカチを取り出し、僕の目を丁寧に拭いてくれた。
「…面白い奴だな。アタシのこの面を見ても、我慢出来るなんて。」
面白い奴?僕にそんな価値はない。だって、ほら。今だって床にへたり込んだまま、動けなくなってるじゃないか。
「なーに気落ちしてんの?アンタは良い奴だね。気に入ったわ。」
気に入られた。よく分からないけれど、好きな子に気に入られた。
「アタシは青海真咲。よろしくね?」
青海さんって言うのか…グループワークで同じになったことなかったから、知らなかったなぁ。
「で。アンタは、アタシのもう一つの面を見てしまったわけだ。」
やっぱ、そうですよね〜。死ぬのは逃れられそうだけど、あの不良にしたお仕置きぐらいはされるかもしれない。しかし、彼女から発された言葉は予想の斜め上言葉だった。
「どーせ見られちゃったわけだし。アンタには、アタシの活動を手伝ってもらうわ。」
「か、活動…?」
へぇ〜。真咲ちゃんって、部活動してたんだ。特にそういう話を聞かないから、帰宅部だと思ってたなぁ。
「そうそう。アタシはこの学校のワルイ奴等を更生させて治安を向上させてるの。」
…はい?
「そんなわけだから。アンタ、私に詫びたいんでしょ?手伝って、くれるよね?」
…これは。僕は、完全にやらかしてしまったのではないだろうか。
その日から、僕の学校生活は地獄になった。
ちゃんちゃん。もし人気が出たら連載化するかもです。巻き込まれた主人公くん、どんまい。