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魔眼の転生者 〜忌避された者たちは、かけらの希望を渇望する〜  作者: Ruqu Shimosaka
第三章 ヴィント州

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第90話 海底を隆起させる

 友好的な魔物の話も興味深いが、今は産卵場所である湾をどうするかだ。

 どのように湾の地形を変えるかは理解できている。


「それでは、実際に試してみますか」

「お願いいたします」

「はい、といっても先ほどのダイアウルフと戦ったため魔力を結構消費しているため、どの程度変えられるかはわかりませんが」

「何日か泊まり込もうと思っております」


 確かに野宿する準備は万端。


「ダイアウルフを倒せたため、泊まる期間は最大まで伸ばしてもいいかもしれません」

「縄張りに他の魔物が入り込まないのでしたか」

「はい。海の中以外であれば、この周辺もダイアウルフの縄張りに含まれているかと」


 安全を確保できているのは大きいな。


「なんにせよ、一度試してみましょう」

「そうですな」


 オレはヴェリとどのように魔法を使うか話し合う。

 地形を変えようなどと思ったことはないため、どのように魔法を使えば効率がいいのか想像もできない。


「ゲオルク、ピクシーだった時もそんなことはやったことがないから、そもそも地形を変えるって思いつかないよ」

「やったことがあると言われたら、そっちの方が驚きだぞ」


 地形を変えていたと返されたら、魔物だった前世はどんな生き方をしていたのかと聞き返していたところだ。

 地形を変える方法を思いついたままに話していく。


「流れ出たら意味がないから土や砂はやめた方が良いだろう。大きな石を降らせるか、下から盛り上げるか」

「何もないところから石を作るのは魔力の消費が増えるよ」

「となると、石を降らせるなら、どこからか持ってくる必要があるか……」


 持ってくるのは重量があるため大変、それに重さで足元が崩れる可能性がある。それに、ホルスト卿は以前に同じような失敗している。同じことをしても意味はない。


「下から盛り上げるのが無難そうか」

「そうだね」


 他に効率がいい方法を思いついたら別の方法を取れば良さそうだ。


「二人同時に魔法を使うか、一人ずつ使った方がいいか、どちらがいいと思う?」

「どちらでもあまり変わらないと思うけど、何時間もかかるわけでもなさそう。一人ずつやった方がいいと思うよ」

「わかった。オレから試しても?」

「うん」


 魔法を発動させるため魔力を動かす。魔力を動かしたところで、シーサーペントの幼魚が逃げていくのが一瞬見えた。浮いてはいなかったが、珊瑚の下に隠れていたようだ。


 縦横十メートル範囲の地面が隆起し、山ができるような想像を思い浮かべる。

 堤防の横幅を何メートルにするか迷ったが、あまりに狭いと水圧に耐えられないだろうと十メートルの厚みにした。水圧を考えるともっと厚くした方が良さそうだが、海から切り取った後にシーサーペントを駆除して、反対側からコンクリートで厚みをつければ問題ないだろう。


『隆起せよ』


 地形を変える大規模な魔法ではあるが、なるべく効率よく魔力が使えるように、速度を優先しないで徐々に隆起させる。もっとも、速度が上がると効率が悪くなるかはわからないが、魔法は想像力が重要なので無駄になっている魔力が減っていると思いたいところ。

 それと急激に魔力を使うと気分が悪くなるという事情もある。


 五分、十分と魔法を使っていると、上がっているか上がっていないかわからない程度の隆起だが、珊瑚が海面から顔を出し始める。

 三十分程度で魔力は空になってしまう。


「魔力を使った後なのに、想像以上に隆起したな」


 正確なところはわからないが、二メートルから三メートルは隆起したのではないだろうか。縦横十メートル指定したこともあって、一メートルも隆起すれば十分だと思っていた。


「本当だね。ゲオルク、魔力増えてるんじゃ?」

「そういえば転写眼を使うと魔力が増えるんだったか。鑑定眼を転写して魔力が増えていたか」

「魔力が増えてもあまり実感ないよね」

「そうだな」


 オレに続いてヴェリが魔法を使うと、オレの半分程度である一メートルほどまで隆起する。

 ヴェリはダイアウルフとの戦いで大規模に魔法を使っていたため、魔力が随分と減った状態。今日は魔力の少なさから、あまり隆起しないかと思っていた。しかし、魔法の練度の差なのか想像以上に隆起している。


「やはりヴェリの方が魔法の腕は随分と上だな」

「前世の分を含めれば、使っている期間が違うからね」

「それもそうか」

「同じ魔法を毎日使っていればもっと効率よくできるよ」


 湾の幅が狭いとはいえ、キロ単位はどうみてもあるからな。数日で終わるような工事ではない。とんでもない日数を必要としそうだが、仕方がないか。


 改めて隆起させた場所に問題がないかを確認する。

 今立っている辺りは表面に表れている部分は岩のようだが、地層によっては崩れやすい場合や、砂状の場合もあるだろう。特に珊瑚が積もっている部分は崩れやすそうだ。

 隆起させた場所の先端は白っぽいが、下は黒っぽい岩の質感であるため、硬そうに見えるが……。


「ホルスト卿、随分と硬い地盤に見えますが、どう思います?」

「はい。問題なさそうです」


 地盤が問題ない。あとは工事をこのままするめるかだ。


「ということは、このまま計画を進めますか?」

「はい。進めましょう」


 ホルスト卿は嬉しそうに頷いた。この湾に来てからため息をついたり、苦々しい表情を浮かべていたホルスト卿が悩みが解決したというような表情。


「二年は最低でもかかると想定していましたが、一年ほどで完成しそうですね」

「どうでしょうか?」


 魔力が減った状態で縦横十メートル範囲をオレとヴェリの二人で、三メートルほど上昇させている。満潮時にどの程度まで海面が高くなるかはわからないが、草がまだらに生えた今いる崖が十メートル程度といったところ。二回から三回で同じ場所まで押し上げられるだろう。

 慣れれば十メートル範囲を二回、つまり二日で行けそうではある。

 十メートル範囲を二日の作業と仮定して、対岸までを仮で二キロつまり二千メートルだと計算すると……。


「対岸までの距離を多めに見積もって、四百日くらいですか?」

「雨季を休みに入れると、その程度でしょうか」

「雨季もありましたね。雨の中作業はできませんか」

「はい、危険すぎます」


 しかし、四百日か……。


「ホルスト卿、四百日を野宿は……」

「もちろん、住めるように住居を作りますとも」

「ああ、それはそうですよね」

「元々、港を作ろうと思っていた場所ですから、ある程度調査はされています。警戒のため海からは少し距離を取り、二百人ほどが滞在できる小さな村程度には開拓する予定です」


 早速、建物を建てる範囲を決めることに。

 建物を建てる区画や、農地を作るための区画を決め、印のために杭を打ち込んでいく。

 見通しが立ったことで、一休みすることに。


「ホルスト卿、ところで二百人も必要ですか?」

「ここは魔物が出ますからな。ダイアウルフが出たことを考えるともっと人数を送り込みたいのですが……」

「忘れていました」


 今はいいが別の魔物が流入してくるか。

 帝国に来てから今まで魔物に出会っていないため、魔物がいると意識が薄かったが、帝国も普通に魔物がいるのだったな。

 というか魔力を使い切った状態だとオレとヴェリが戦力にならないのか……。


「魔法が使えない状態でダイアウルフに出会いたくはありませんね……」

「ダイアウルフが再び出る可能性は低いと思いますが、建物を堅牢な作りにいたしましょう」

「魔力が回復するまで籠城できるほどの建物が欲しいです」


 ホルスト卿と話し合い、エンデハーフェンのような窓の大きい建物ではなく、窓の小さい要塞のような建物を作ることに。

 どのような建物を作るか決まったところで、早速作業に取り掛かる。

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