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魔眼の転生者 〜忌避された者たちは、かけらの希望を渇望する〜  作者: Ruqu Shimosaka
第三章 ヴィント州

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第82話 ココナッツ

 話しながらも、地図を頼りに街道を移動していく。

 街道の両脇には草原が広がり、まばらに木が生えている。砂漠や荒野というほどには荒れ果ててはいないが、森と呼ぶには木がまばらすぎる。

 ヴァイスベルゲン王国とは大きく違う。


「海岸に近い場所だけ植生が違うな」

「森の中を通ってきましたが、この一帯だけは草原ですね」


 通ってきた森は南国の森といった感じで鬱蒼としており、湿度が高かった。

 今も遠目に山がちな地形に森があるのが目視できる。森を通っていた時には気づかなかったが山だったようだ。しかし、ヴァイスベルゲン王国の山と比べると、随分と低い。


「草原の範囲であれば開拓するのは楽そうだな」


 皆、オレに同意するように頷いている。

 草原は畑を作るのに木を掘り返すことを考えると楽だが、問題は作物が育つかどうか。今からそれを調べにいく。


 地図に書かれている開拓予定地は思ったより近かった。

 街が帝都のように大きくなった場合畑が飲み込まれるかもしれないが、何十年、何百年先を想定しても仕方がない。

 候補地の近くには木が多い茂っている。なぜ木が多い場所を選んだのかと近づくと、木の奥から水が流れるような音が聞こえてくる。木の隙間から奥を覗くと、水が流れる川がある。

 地図を確認すると、街に水を供給している川とは別の川のようだ。


「水を好きに使えるのか」


 木が生えているということは洪水もあまり起きないのだろう。


「ゲオルク」


 モニカがオレの名前を呼ぶので何かと振り向くと、モニカが抱えるような大きさの何かを持っていた。

 近づいて確認すると、ヤシの実のように思える。

 顔が引き攣る。


「モニカ、絶対に爆発させるような変更はしないでくれ」

「うん」


 鑑定眼を使ってヤシの実を確認すると、ココナッツに似た種類のようだ。

 ココナッツはそれ自体が種子と言える。

 小さな種子でも弾丸を飛ばすような威力が出るのに、ヤシの実のような大きな種子が爆発を起こせば無事では済まない。

 モニカが軽率なことをするとは思えないが、破壊力を考えると怖すぎる。


 モニカの生命眼を使って爆発させないのであれば、ココナッツは油を絞れるため有用。

 周囲を見回してみると、ココナッツがいくつも実ったヤシの木が生えている。周囲の中では大きい木のためすぐに分かった。

 近づけそうなので木の近くまで移動する。


「モニカが持っているのは、このヤシの木の実だ」

「おー」


 ヤシの実であるココナッツは今も結実している。

 かなり大きな木のため取るのが難しい。


「取れそうにないな」

「魔法で取ればいいよ」


 ヴェリがそんなことを言いながらココナッツを魔法で収穫してくれる。

 ココナッツを手に取ったヴェリは不思議そうな表情を受けべている。


「これどうするの?」

「中身を食べたり、乾燥させて油を絞ったりできる」

「意外に便利だね」

「ああ。使い道があるから、木を切らないようにしないとな」


 木材としても使えるだろうが、詳しくは知らない。

 ヤシの木に鑑定眼を使ってみると、パームシュガーが作れると出た。砂糖を作れるのか。砂糖の作り方は花がついている枝を切って、樹液を採取するようだ。

 花……つまりココナッツが実っている位置。


「砂糖が作れるらしいが、花が咲いている枝を切るらしい」

「花」


 皆がヤシの木を見上げる。


「考えておく」


 モニカは諦める気はないようだ。

 鑑定眼は効率まではわからない。樹液を採取するには木の上に登らないと難しいだろう、怪我しない程度に頑張ってくれるといいのだが。


「他にも何か使えそうな果実がないか探してみないか?」

「うん」


 畑が作れるかみにきたのだが、目的が変わり始めている。

 オレの鑑定眼でわかる範囲ならば調べられるため、探索するのが楽しい。


 調べていくと、ヤシの木の見た目に近い木を見つける。

 ココナッツを取れないかとみていたのだが、どうも違う果実のようだ。果実のようなものが実っているようなので、魔法で採取してみる。

 鑑定眼を使うと、ナツメヤシつまりデーツだと分かった。


「デーツか」

「私の知っているデーツと違いますね」

「アンナはデーツを知っているのか?」

「ヴァイスベルゲン王国にも少量ですが入ってきていました」

「だったら干されて乾燥させたものでは?」

「そうかもしれません」


 デーツも取れるだけ取っておく。

 さて次を探そうと周囲を見回すと、近くにバナナが実っていた。これまた採取してしまっておく。

 少し探すだけで食べられそうなものが大量にある。

 他にも見つけたものを採取する。


「鑑定眼で調べられたものは食べても問題ないとは思うが、帰ってから食べているか聞いてみよう」

「そうですね」


 食べ物には毒があることも考えられる、用心しておくに越したことはない。

 同意したということは、アンナも同様の考えを持っているのだろう。


「モニカ、本来の目的に戻ろうか」

「ん」


 土が畑に向いているかを調べていく。

 川の近くを離れ、草原を適当に掘り返すと黒々とした土が出てくる。どのような土かと心配していたが、想像以上に良質そうな土だ。


「モニカ、農地を作るのに向いていそうだが、どうだ?」

「うん、向いてる」


 モニカは土を手に取りながら頷いた。

 何ヶ所か掘り返して同じような土が出てくるかを確認する。

 川の水を行き渡らせられそうな距離を移動しながら掘り返すと、どこを掘り返しても似たような土が出てくる。


「ヴァイスベルゲン王国にいた時より大きな農地を作れそうだな」

「果樹園も作る」

「食べて美味しい果実を植えてもいいな」


 どれを植えればいいか迷うほどには色々とある。

 川から水を引いて灌漑すれば農地はとても大きくなるだろう。小麦や果樹園のためであれば、用水路を作るだけの価値がある。

 限られた場所をなんとか開拓していたヴァイスベルゲン王国で暮らしていた時とは、全く違う光景となりそうだ。


「問題があるとすれば魔物だが……」

「ゲオルク、ココナッツで武器を作る」

「確かにどんな魔物でも倒せそうだけど……とんでもないものができそうだな……」


 ココナッツで弾丸を発射させたら、それはもう銃ではなくて、大砲。

 相当な強度のある砲身を作る必要がありそう。ココナッツを一度爆発させて威力を確認したいが、適当に爆発させてしまうと大変なことになる。


「モニカ、とりあえず爆発させても問題ない状況を考えよう」

「ん」


 同意からして、流石のモニカもすぐに実験する気はなかったようだ。

 候補地を回って同じように農地に適した場所だと確認すると、最初に確認した場所と同じように農地に適した環境だと分かった。




 エンデハーフェンに戻って、ホルスト卿に採取してきた果実が食べられるか分かる人を紹介してもらう。

 紹介してもらった人に確認すると、大半のものは食べられると言う。

 食べられると教わったものを皆で試食することに。


「デーツは干したものとは違いますが、美味しいです。バナナは種が気になります」

「種子が気になるのは原種のせいか?」


 もともとバナナの種子は大きかったと聞いたことがある。


「モニカ、種子を減らせると思うか?」

「生命眼で調整を繰り返せばできる、と思う」

「時間はかかりそうだが、できそうか」


 バナナは木と呼ばれたりもするが、実は草だったはず。

 木に比べたら世代が変わるのは早そうだ。


「ココナッツを開けるか」


 ホスルト卿に紹介してもらった人から開け方を教わって、なんとか開ける。

 種子として未成熟な青いものは中に入っている水が多く、茶色のものは中の可食部が多いらしい。

 開けて飲んだり食べたりすると、すごい美味しいわけではないが、不味くはない。単体で食べるより加工したほうがいいかもしれない。

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