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半径1メートルだけの最強。  作者: さよなきどり
第三節 〜サガンの街〜
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037 いいぜ、好きだぜそういうの。

本人は至極冷静のつもりですが 、2 です


ご笑覧いただければ幸いです。


「一緒にはいけないと言った場合、私を如何しますか」

 と、サチ。



「ハムくんは私の事情を何も知らず、聞かずに躊躇なく助けてくれた。そうゆう事」


「困りましたね。そういう事だそうです、姉様。如何(いかが)しますか。“(うつり)”を控え、焦る気持ちはわかりますが、性急すぎますよ。


 ハム殿は決して牢固な方ではありません。真摯に事情を話せば無碍にはしないと思います。

 ちなみに最初にハム殿に恐怖して害そうと“特異化”してしまった私は逆に殺されかけました。が、それをハナ様の取りなしで一命を助けられ、今、此処(ここ)にいます。

 ちなみに、私の“特異化”はその時が最後です。森の中の走破では一度も()けていません。その必要が無かったからです。その意味がわかりますか?」


 なにここでイイ人押ししてんの? なに狙い? さっきから『(自称)お姉さんなギル長なオバサン』にナゾナゾな問い掛けをしているけれど、嫌ですよ、俺は。


「姉様、姉様が私達に目をつけたのは、駅前広場でハナ様が放った、今までに見た事のない程の命中精度と威力を示したあの魔法と、それを顕在させたであろう“魔法の杖(マジック・ロッド)”の存在ですよね?

 それを見てしまったが為にあの時、思わず声を掛けてしまった。

 そして今は例えどんな手を使ってでも必ずや手に入れようと罠を張って待っていた。違いますか?


 あの高い命中精度と威力はハナ様の卓抜した魔法力と研鑽あっての事ですが、ご想像の通りこの、特殊な魔法の杖(マジック・ロッド)あっての御業です。

 ちなみに、あの時ご覧になった魔法などは最低威力です。本来、用いる最大威力は、比べられるものではありません。


 元々あった既存の杖を独特の形に作り直し、幾つもの新しい魔法(機能)を付け加えたのはハム殿です。それらを私の目の前で僅かな時間で次々と実装させていきました。


 この意味が解りますか姉様。ハム殿はそのアレな見た目からは想像できませんが、見粉うことなく新魔法開発研究者であり、それを付与する技術を持つ“表象印契”の覚醒持ちです。

 姉様、姉様の望み通り、ハム殿なら懸案の“尊遺物(レリクト)”も修復出来るやもしれませんよ。そしてハナ様は待ち望んだ遠距離攻撃特化型です」


 アレって何だよサチ、アレって。確かにアレかも知れないけどさ。アレだな、初見で殺しかけた事をまだ根に持ってるんだな。まあ、一メートル射程(ルール)が無ければマジ殺してたけどさ。イイじゃん。まだ、死んでないんだし。


 それに新しい魔法って、そもそも古い魔法すらも知らないからだし、杖だって大きすぎたからただ折って削って照準と無詠唱化の為のトリガーを取り付けただけだ。


 あとは“椎の実”型の鉛弾丸を直接具現化する魔法陣を刻んでハナの負担を軽減させた事とか、直進性を上げる為にジャイロ効果を生む旋回弾(ライフル)にして、弾速を射程三千メートル(対戦車ライフル)級に向上させて、弾速の空気抵抗で潰れないように大型口径弾のフルメタル化する各種魔法陣をちょこっと。

 最後に最強最悪(オーバーキル)すぎて現代では使用禁止(非合法)で無慈悲なホローポイント化させたり。


それだけだよ……これって新しい? 既存技術だよね。著作権侵害だよね。


 とにかくハードルを上げないで。

 まあ、駅前広場でハナが使用したのは只の脅しだったので流石にダウングレードしてたし、鬼畜仕様はバレてないはず。でもココはサチに乗っかって“そやで”って顔をする。ん? 何の話だっけ? まあいいや。だから

「そやで」



 と、そこで。

 ドアから兵士の一人が駆け込んできて開口一番。

「領主が住民の街からの退去避難を認めない旨を布令しました。領兵団は先回りして既に城門を閉ざしており、退去を望む住民に抜き身の剣を振り回し、自分の街は自分らで守れと追い返しています」


「やてくれる。“容姿だけの無能ゲス男爵”が、何もわかっていない。今の時期に退避を始める住民は非戦闘員で毎度の事だろうが。残ったら残ったでただの足手まといだというのに。……いや、“容姿だけの無能ゲス"が、囮か、人身御供に使う気か。“無能ゲス”ならやりかねんか」


 なんか知らんけど、最初に“男爵”が抜けて“容姿だけ”が抜けて、“無能ゲス”に成り下がった事から『(自称)お姉さんなギル長なオバサン』は酷くご立腹らしい。“容姿だけ”って装飾句が凄まじいな。


 でもいくらゲスでも人身御供は許せないよね、そういう処だけ知恵が回るんだよな無能って、ご愁傷様です。

 てな訳で話題の中心が対ゲス領主様へと移った事だしココで失礼しちゃいましょう。そっとね。

 僕はハナの手を取り、サチを促しこの場から撤退しようとした。だが、難色を示したのはサチだった。


「ちょっと待ってください」


「待たねーよ」と僕。


「どこに行く」と『|(自称)お姉さんなギル長なオババ』。


「だからさ(いい加減イラッとする)、この街から出ていくんですけど何か?」


 『|(自称)お姉さんなギル長なババぁ』が息を呑むのがわかった。

「今の話を聞いていなかったのか。この街は閉鎖された。何処にも逃げられないぞ。もしも何処かの穴から抜け出せたとしても、お前たちが手配されているのは真実だ。

 手配書に、より細かくお前たちの特徴を書き込んで追い込んでやるぞ。そうなればもうお前たちは何処に行っても居場所はなくなる」


「悪辣だなオバさん。いいぜ、好きだぜそういうの。なら俺らも悪辣になろうかな。改めて皆殺しだ。


 死人に口無しって名言知ってる? 此処(ここ)にいる全て、外にいる奴らも含めて全て殺す。のは大変そうだな。でも、そうだな一週間チョットでこの街は近年稀に見ぬ程の超がつく規模の大規模発生魔物の襲来(スタンピート)に見舞われるから、対応に追われるあんたらを背中から撃ち殺そうかな。その方が確実で楽そうだ。

 それにあんた達と敵対している住民ゴミ扱いの領主(ゲス)様からなら、あんた達から逃げるよりは簡単そうだ」


「どうしてそれを」


「スタンピートの事? それとも“容姿だけゲス領主様”の事? どっちでもイイんだけど、ただのハッタリだよ」と僕「でも今、真実だと知った。そのリアクション頂きました」


「貴様、私を愚弄するつもりか」


「するよ。思いっきり。当たり前じゃん。

 でもあんた達も大変だね。

 あんた、領主と揉めてんだろ。超特大スタンピートが始まろうってクソヤバくて大変(ビジー)な時に、あり得ないよね。

 それに領主はスタンピートにも領民にも興味ないようだし。この街って花魁蜘蛛(クイーン)から取れる糸の一大生産収集拠点だよね。


 あーなるほどね、概ねこの街の自治権は領主が握ってるが、糸から上がる収益には一切関われなくてヘソを曲げてるって事かな。オレにも一枚噛ませろ。いや、オレに全ての利権を渡せ愚民どもがって事かな。

 ありそー。


 そして蜘蛛の糸の利権は今まで全てギルド(あんた達)が握っていたが、ここ最近は領主に押し込れつつあり、今回のスタンピートで本格的にヤバそうで、すごく焦ってるって認識でオーケー?

 ああ、ゲス男爵だっけ、その領主に住民を人質に取られて本格的に詰まって新たな戦力、俺らのことね。の獲得に失敗しそうでニッチもサッチも行かない現状が、今ココ」


 『|(自称)お姉さんなギル長なオバさん』もサチも呆気にとられたような顔。

 あれ? プロモーションにはまだ足りない? 参ったなー。なら。


 僕はハナに“火縄銃モドキ(V・R)”を手渡す。そして伝令が開け放したままのドアの外、距離にして五百メートル、角度三十度の上空を優雅に滑空中の単体の蜻蛉モドキを示す。

 クソ余裕かましてる。モドキのくせに。


「右から風速三メートル、温度は地表で十五度、上空三十メートルで9度ってとこかな」と僕。


「いつの間に魔法の杖(ロッド)を奪い返した」

と『|(自称)お姉さんなギル長なオバさん』。


僕は口端をシニカルに上げる事で答える。

“左手ヒラヒラ右手で仕事”の魔法(手品)はさっきコピーした。

 でもこれ難し(ムズ)い。常に動いて流動的な実戦で使うのはちょっと無理かな。それにネタを仕込む魔法陣はやっぱり自身の周り一メートル以内しか貼れなくて、部屋全体を誤魔化()すなどの広範囲改変は無理だ。練度的にも。悔しいけど改めて『|(自称)お姉さんなギル長なオバさん』の手際はパねえ。

 まあいい、今はハナの射撃だ。頼むぜ。ここが一番の見せ所だぜ。


 その一、頭を垂直に。

 その二、右脇を占め、右手人差し指をトリガーにそっと添える。

 その三、ストックの頬付けを意識。

 その四、パットプレートを肩に押し付ける。

 その五、左肘は自然体。

 その六、姿勢は必要以上に前屈みにならないように



 距離五百メートルは光学式スコープがない裸眼での標準は厳しいものがある。が、銃口上の照星と後方の照門の間に銃身に沿って幾重の魔法陣が浮かび個々に廻り標的を自動で拡大補正し捉える。

 ハナの視神経と魔的に繋がる。“魔学式スコープ”実装しました。いやー、コレ創るの苦労しました。似非が。


 最大出力は対戦車ライフルを凌駕し、1.5秒のリロードタイムを設ければ五百メートル先の一センチ大の的をも撃ち抜ける程の精度と連射スピードを獲得している。森はあまりにも過酷でした。


 流石に光学スコープもデジタル処理のノウハウも知るはずもなく(大脳皮質アーカイブもなし)、魔法での対処は無理であると悩んでいたが、身近に最高な光学システムがある事に気づいた。人間の眼球だ。どんな工業精密機能(テキニカルファクチャ)でも人の眼に勝るものはない。そして僕は自身の肉体設計図(DNA)なら解析済み。


 だから最初の試作品は“火縄銃モドキ(V/R)”の上に具現化した人の眼球そのままが乗っかってた。それもビーチボール大で。後ろに視神経の長い腺毛がくっついて伸びている。その先端がうねうねとハナの目に物理的にリンクしようと伸びる。

 相当グロでキモかったんだろう、ハナは盛大な悲鳴を上げて手にしていた“火縄銃モドキ(V・R)”を地面に叩きつけた。

 丁度尖った岩があって、眼球が水風船のように弾けた。ベチャって。腺毛がハナに手を伸ばすように空中でうねうねしてた。

 もう一度ハナは悲鳴を上げた。

お読み頂き、誠にありがとうございます。


よろしければ次話もお読み頂ければ幸いです

毎日更新しています。

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