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この作品には 〔ガールズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

詩❲恋愛❳

薄紅色した白磁の指に

作者: 日浦海里

陽に照らされて

清流の水面のように

流れる黒髪が風に揺れる


白磁のような肌は

陶器みたいに冷たく見えて

触れるとほんのり

色味と温もりを帯びる


細く長い指先は

いくつか赤い筋が入って痛々しい


どうしてそのままにするのかと訊ねたら

どうせまたすぐ傷つくからと

屈託のない笑みを浮かべた


せめてと軟膏を塗る


「役得だね」とあなたが笑う


「そのままにしなきゃ

 こんな優しさに触れることもない」


そう言って

指先を絡めると

そのまま手のひらを合わせるようにして

ぎゅっと握りしめられる


紅花で染め上げたような

薄紅色の指先


けれど

指先から流れてくる温もりは

わたしの胸を柘榴のように紅く染める


「いっぱいついちゃったね」


いたずらが成功した子供のように

屈託のない笑みを浮かべるあなた


「薬は貴重なのですから

 無駄遣いしないでください」


返すわたしは薬の蓋を閉めるけれど

指先の温もりを拭い去ることが出来ない


そうやって

目に見えない傷まで癒やすから

癒せない傷跡がついていくのです


いつになれば

この想いを返せるのでしょうね


返すべき恩も、想いも

ただ募るばかりです

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― 新着の感想 ―
[良い点]  しっとりとした情感を覚えます。  手のひらから温もりが伝い、気持ちも流れてくるような。  >わたしの胸を柘榴のように紅く染める  透明感もある、紅に染まった心の様子が思い浮かぶようで…
[良い点] ぐお… 胸が苦しい…(//∇//) 誰か、私の心にも栄養剤を… [一言] キュン死です。
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