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紅蓮の炎  作者: 深水拓海
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第九話 その息子

グレン達はアンリ・ブルーノからサマンサの写真が本物なのかアンリが住む城へと馬車で行った。

「おいこの馬車なんか古くないか?」

ケビンはアンリの所有する馬車に関して疑問を浮かべた。馬車の馬も何故か死人のように精気を感じられず古臭さに正直寒気がした。

「そうですね・・・この馬車には古びた錆臭さもありますからね。」

ルナールの言う通り、その馬車は新しいものにもかかわらず製造年が1910年と描かれている。

それを気にしないふりをした3人は騙されたと思って乗った。

「今ににでも幽霊が出てきそうなくらいに、ほら人魂が!」

ケビンは怯えながらもルナールはそんなことよりサマンサの写真のことで頭がいっぱいであった。

「グレンさん、この写真には違和感しかありません。グレンさんがサマンサさんに出会った時の印象を教えてください。」

ルナールの問いにグレンは答えた。

「わかった・・・あいつは苦労人でいつも悲しげな顔をしていた。それに身なりも貧しくておしゃれに構っている暇はなかったそうな感じがする。私もこの写真には疑いがあるからな。」

サマンサを撮った写真はなぜかしら悲しい出来事がなかったかのように笑顔であった。普通辛い過去などは精神的にキツく克服するのに5年はかかると言っていた。

「おいアンリ、あんたが撮ったというサマンサの写真は偽物でいいんだな。」

ケビンはアンリの出した写真が偽物だと感じアンリを問い詰めた。

「何を言っているですか!サマンサさんの写真は本物だとあれほど言ったのにあなたときたら恩を仇で返す外道ですかあなたは!」

「落ち着いてケビン、あなたが思っているサマンサさんは別人である可能性が高いの・・・あなたは振り込め詐欺に引っかかりやすいお婆さんですか?」

「バカ言うな!姉貴がお前のことを全部知っているわけないだろ!俺は姉貴のことを一番知っているんだ!」

「ほう、あなたはしばらく姉と会っていないから顔も覚えてないのか・・・」

「それは・・・!」

アンリはケビンを説得するも自らの家柄を話した。

「皆さんは驚くかもしれませんけど実は私は青髭公の子孫なのです。」

「まさかあの話ば実話だったのですか!?」

「青髭って何だ?」

「そうですか・・・ケビンはアフリカの出身だからあんまりこういう寓話は知らなかったのですね。」

ケビンはアフリカ出身のためヨーロッパの童謡のことなどさっぱりわからなかった。そしてルナールは青髭という寓話をケビンにわかりやすいように教えた。

「詳しく説明しますと昔青髭という怪しげな金持ちがいましたが彼は6回結婚しているもののその6人の妻は行方知らずになっていたのです。そしてある時七番目の新妻を娶りました。結婚してから青髭が外出したとき決して開けてはいけない小部屋の鍵を渡しました。そして新妻は好奇心故にその小部屋のドアを開けると部屋の中には青髭によって無惨に殺されたのです。そして戻ってきた青髭に殺される処でしたが新妻の兄弟達によって殺されてしまいました。それが青髭の話ですが・・・なぜ今になって青髭の子孫という人が現れたのでしょうか・・・」

ルナールは信じがたいことを受け入れるのに時間がかかったがグレンは真っ向から否定した。

「青髭は元々童謡の中のフィクション、そんなのを語ってもてはやされたいという奴はザラにいる。」

「グレンさんの言う通り、この話にはバレバレな嘘が蔓延っている。いくらアンリさんとはいえこの状況では流石に言い訳できない。」

しかしルナールの思惑通りにアンリはグレンの意見を言い返した。

「何をおっしゃっていますか!あれはフィクションではなくノンフィクション、その事件があまりにも残酷すぎたため事実ではなく空想の話として伏せられていたのです。実は先ほどの話には続きがありましてなんと新妻の腹の中には青髭との子供がいたのです。」

「嘘だろ!?あの話に出ていた新妻は変な親父と子作りしていたのかよ!」

ケビンは背筋がゾクッとした。たとえ金持ちとはいえ見た目も中身もクズの男との合間に子供が出てたなんてケビンは気分悪くなりフラフラとなった。

「なんだか頭がおかしくなりそうだ・・・。」

「大丈夫ですかケビン!」

ルナールの支えもあってケビンは大事に至った。

「しかしこのことは伏せられたまま長い年月がつき私の代となってこの話が実話だといたことが判明しました。」

嘘にも程があるこの話にルナールは問い詰めた。

「それで、そのことについて罪悪感というのはあるでしょうか?」

ルナールはアンリに冷たく質問した。

「はい、このことは我が一族の恥辱。人前に現れても良くないことですので私は慈善活動を通り越して先祖が犯した罪を償えればと思ったのです。」

その償いや慈善活動チャリティーに関してグレンは厳しい意見をした。

「お前の先祖のことなどどうでもいい・・・だがお前が罪滅ぼしに慈善活動をするとなるとどうしても腹が立って仕方かがない。所詮保身の為の言い訳にしか聞こえない・・・自分が裕福であるが故に貧しい人間に金を与えるのはその貧しい人間を甘やかしているだけで成長するチャンスを無駄にしている。自分の手で切り開く道を他人任せに良かれと思ってやるのは阿呆らしいにも外道。」

グレンの厳しい意見にルナールも賛同した。

「確かにあなたの話にはうやむやなこともあり話すだけで辻褄が合わない点が多すぎる。あなたは一体何者でしょうか!」

ルナールは慈善家に悪い人はいないとテレビを見て思っていたのであったが彼は別。こんな嘘くさい奴が事前活動だなんてあり得ないのである。

「私はあなたをまだ信用しておりません。本当の慈善家なら誰かの為に尽くすのがベストなのにあなたは昔話をエグい展開にしたアホだらのすけとうだらですよ!もはやスカトロの具現化とかでもおかしくありません!」

グレンは呆れていた。

「まったく、お前はしばらく口を慎んだほうがいい。後々面倒なことになるからな。アンリ・ブルーノ!よく聞け!慈善活動は悪人の保身の道具なんだぞ。名誉のために貧しい人を肥やそうとしているがそんなのはまったくの嘘その国のお偉さんを肥やしているのに変わりはない。自己満足の他に何がある!?結局その国はどんどん貧しくなるばかりで悪影響しかない!まるで乞食のような金をくれとねだる救いようのない他人任せの屑野郎に成り下がる。ダメな国にしているのだお前らは無自覚にもその貧しい国の成長を妨げているんだ。逆効果にもいい加減にしろってな!」

グレンは声を荒げながらもアンリを一喝した。

「グレンさんの気持ちはオレもその意見に賛成だ。俺たちが貧しいがために金持ちが寄付金でなんとかしようというのは俺達をバカにして野蛮で可哀想な獣人を手厚く保護しようという魂胆はまったく同情できねぇ・・・偽善家というのは所詮保身が為のおままごとだった姉貴は言っていた・・・姉貴は寄付金に群がる愚民のようにはなりたくないと自分の力でフランスに行った、それで・・・」

ケビンが言葉に詰まるときアンリの住む古びた城についた。

「つきましたよ皆さんここで改めて私が嘘をまったく言っていないという証拠を見せてやりましょう。」

3人は馬車から降りてすぐにルナールはアンリに気が付かれないままにその写真を模写した完璧な絵をサマンサの写真と入れ替えた。

「これであの男にバレずに済むはず。」

そしてアンリと3人は古びた城へ向かうもその城は今にも崩れそうな城で何やら罠が仕掛けられていそうな怪しげな城であった。そして3人はテーブルに座った。

「さて皆さん好きな席に座って私がこの写真が本物であるか説明するためにお茶を用意しますからね。」

そして怪しげにアンリがお茶の準備をするとケビンとルナールは気づかれないようにひっそりと見つからない所へ行きグレンは手話で合図した。

「私たちはサマンサさんの写真を調べるために人気のない所で調べたいです。」

グレンはルナール達作戦に応じた。

「そうか・・・後は頼んだぞ。」

そしてルナールはケビンを連れて地下へ繋がる小部屋の扉前に写真を調べた。

「ケビンも疑いがあるサマンサさんは一体どんな人だったのかもう一度この写真を見て確認しないと。」

ルナールは改めて最近サマンサが撮られた写真を調べると・・・

「この姉貴には右頬にほくろがある・・・姉貴にはほくろはなかった・・・あったのは昔の古傷あった場所にほくろがあるなんて。」

ケビンはもう一度サマンサを思い出しこの写真がフェイクであることを確信した。彼は驚きを隠せなかったがルナールはこれは悪意を持って取られた写真とだと確信する。

「この写真のサマンサさん昔ケビンと大喧嘩して心身ともに疲れ果てているのにこの笑顔でいられるなんてあり得ない。心の傷は相当深いほど克服するのにとても時間がかかるもの。ケビン、お姉さんに何か気掛かりはある?」

ルナールはケビンにサマンサの特徴を質問した。

「姉貴にしては最近小太りしたなと持ったけど姉貴は贅沢はしない自分に厳しい人だったから高級そうな服や最新型のスマホを持ち歩いてはいなかった。もしかしてこの女は偽物だ!」

「そう、ケビンは知らないけどこれはクライムアクターと言ってテレビとかでドキュメンタリーやテレビの報道やメディアで被害者のふりや街の声を都合のいいように演じてみんなを騙している悪徳な役柄。例えば見た目は同じでも違うニュースとかで偽名を使ってテレビを見ている人を惑わすような人は俳優ではなく詐欺師よ。演技そのものを都合の良い政治的に使う人たちは地獄に行っても鬼達がさぞ迷惑していることでしょう!」

ルナールはクライムアクターに関して激しい嫌悪感を持っていた。それもそのはずルナールは演技に関しては誇りを持っておりその演技を政治的かつ偏向報道のおもちゃに使われることに関して役者としてのプライドが決して許さなかった。

ガタガタっ! 小部屋から急に音が聞こえてそこには・・・

「うっ・・・うう・・・・誰か・・・」

「助けて・・・!!ここから!」

「早く奴から逃げて・・・!」

そこにはなぜかもがき苦しむ女性の呻き声が聞こえていた。「おいこの小部屋に人がいるぞ!」

「私が鍵を持っているので開けます。」

そして二人は恐る恐る小部屋の扉を開けて中を開けた・・

ドン!!

「これって!」

「おいおいなんだこれは!」

2人は悲惨な現場を目の当たりにし言葉を失った。そこにはありとあらゆる拷問器具とそしてその拷問の被害にあった女性たちであった。二人は錯覚した、アンリ・ブルーノは極悪人だということに。

「助けて・・・」

女が拷問器具でもがき苦しんでいる姿に二人は怒りを感じた・・・

「あの野郎は・・・きっとシャイターンの回し者で俺たちをはめるために姉貴を利用したのかこのクズ野郎!」

ケビンは気が狂いそうになるくらいに怒りそしてルナールは・・・

「許せない・・・こんなにも外道だとは思いもよらなかった・・・!!」

「ルナール・・・」

ケビンは怒りに満ちたルナールを見てただ黙っているだけであった。

「ようやくグレンさんの言っていることがわかりました。慈善活動というのはその人の成長を止める為にただ優しく成長と努力の機会を奪う悪質極まりない行為、アンリ・ブルーノによって拷問に痛ぶられ強姦されて殺されてこの女性達は奴の手によってこんな姿になったんだ!あの野郎をぶっ殺してやる!」

堪忍袋の尾が切れたルナールはアンリを殺す覚悟を決めすぐさま拉致された女性たちを助けようとした。

「大丈夫だ!すぐ助けてやるからな!」

ケビンが拉致された女性を助けようとするも・・・

バジッ! 突如蔦のようなものがケビンの手を痛めた。

「痛っ!なんなんだよこれは・・・」

「ケビンくん大丈夫ですか!?」

そこに現れたのは食虫植物悪魔のモガミ。彼はシャイターンのイギリス支部の副支部長で殺戮の限りを尽くす大悪党である。

「そこで何しているんだガキ共・・・この女はアンリの旦那のおもちゃ達だぜ。勝手に触んないでくれよ。」

二人はモガミに目をつけられ大ピンチになっていた。

「なんですかあの怪物は・・・!」ガタガタガタッ・・・!

ルナールはその姿に震えながら怯えた。

「気をつけろよルナール!こいつはイギリス支部副支部長のモガミ、悪魔に魂を売って食虫植物人間となった大悪党だ。こいつにとって人殺しはラジオ体操をするように簡単なものだ・・・!!」

ケビンもルナールも命の危険性がある状況に真剣味となった。

「この野郎・・・!真っ二つにスライスしてやる!」

バチン!

モガミはすぐさま鋭利な蔦で二人を殺そうとするも間一髪のところで二人は別れ別れになったまま別行動をとりそしてケビンはモガミをルナールから離すように拷問器具を投げて対応するも無理があった。

「この野郎!俺はこっちだ!」

ケビンは非力ながらも拷問器具を投げ飛ばしたがモガミには全く無意味であった。

「どうした小僧・・・お前は死ぬことによって姉貴と会えるんだぜ・・・少しは感謝しろ。」

「何を偉そうに!お前らは偽物の写真で俺たちを騙したクズ野郎なんだよ!」

圧倒的な力を持つモガミに苦戦するケビン・・・

「ケビン・・・今助かるから!」

はたして勝機はあるのか? 続く

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