第十一話 肉を裂く
とあるニュースが世間に広がり激震が走った。
「グレンさん大変です!」
ルナールが息を荒げてケビンとルナールに報告した。
「どうしたルナール?急に息を荒げて、お前らしくないぞ。」
ケビンとルナールは普段通りであったがショッキングなニュースを目の当たりにしたせいで心の整理がつかずに常時パニック状態であった。
「これを見てください!」
ルナールが新聞を広げると2人も驚愕する内容であった。
「やはりここまで被害を出したかシャイターンよ・・・。」
「こんなことをするのはあいつらしかいない!」
それは羊を飼っている老夫婦が羊達もろとも殺されてしまった。目撃者によると人の顔をした不気味な怪鳥に襲われたと聞いた。
それはフランスのとある田舎村でのこと、ある羊飼いの老夫婦がいつものように羊たちの世話をしていた。
「おじいさんいつもお疲れ様。」
「ありがとう、でも仕事をしなきゃ羊たちがいつ迷子になってしまうかと思うと緊張ないとわかるわけにはいかないからな。」
老夫婦はいつも通りに羊たちの世話に明け暮れていたが・・・
メェーーーー! 突然金切り声のような羊の鳴き声が聞こえた。
「おじいさんこれは一体!?」
「ああ、一度様子を見てくるからお前はここにいなさい。」
困惑する妻に夫はただ1人で鳴き声が聞こえた方向へ車に乗って向かった。
だがしばらくして夫はとうとう帰ってこなかった。
「おかしいわね。私が様子を見て確かめておかないと。」
そして妻は心配になり夫が向かった方向へと行くとそこには異様なほどに凄惨な現場を目の当たりにしてしまった。
「ああ神よ!これは一体何事でしょうか!?」
妻が見たのは無惨にも殺されてしまった羊達でありそしてそこには残忍な殺され方をされた夫が百舌鳥のはやにえのように蚊に突き抜かれて上半身しかない顔面が剥ぎ取られたかの無惨な姿で発見された。
「あなたっ!」
妻は叫んでいた。しかしその声があいつを呼ぶ合図だとは知らずに・・・
「あなた・・・!!なんてことなの・・・!」
妻は受け入れられない状況に泣き続けるしかなかった。
「あなたはともかく私たちの可愛い羊たちまでもこんな無惨な殺され方をされるなんて・・・」
妻は何もできないでいたが・・・そこに奴が。
ドスッ!ドスッ!
「この肉・・・美味い・・・」
大きな体で羊を喰らう人面の気味の悪い鳥が妻の目の前にいた。
「あ・・・・あ・・・!?」
妻は涙を流すも恐怖で立ち上がることができなかった。
そして人面鳥はギギャーと鳴きながら妻目掛けて走りそして骨をバリバリボリボリ砕きながら食い殺してしまった。
このニュースはフランス中に駆け回りそして世間に多大な衝撃を与えた。
「これはシャイターンの仕業でありませんね。」
「ああ・・・あいつらが仕向けたのかもしれない。」
2人はこのことはシャイターンの仕業だと見抜いた。
「グレンさんは動きますよね。こんな大惨劇を引き起こした奴をみすみす見逃すなんてことは決してないと私は思います。」
そしてグレンもこのことに関して怒りを感じた。
「悪魔たちに人権などない。」 続く




