第六話 ~俺の魔王がこんなにかっこいいわけがない~
なにこれ 何だよこの状況!?
ラスボスがいきなりRPGの最初の町に来た感覚だよ!
しかも本物のドラゴンだよ!!これよくゲームで見たやつ!!
すげーー!! でも怖えー!!そして触りてぇー!!
「あのー 大魔王さん」
「ん?なんだい勇者くん」
「ドラゴン触ってもいいですか? ドキドキ」
「あはは!うん、いいよ。好きなだけ触っても」
「YAY やったぜ!」
俺はドキドキワクワクしながらドラゴンを触った
「でも、噛むから気をつけてね~」
「え?」
ドラゴンは俺の手を噛みちぎった
まるで壊れたTOYだぜ..
「痛たたたた!!!」
「あははは!キミ、面白いね~!」
「わかる!ふふっ、ダーリンって本当に面白い人!」
床を転げまわる俺の姿がよっぽどツボにはいったのか
二人ともめっちゃ笑ってた。
Fu〇k!ちくしょう!他人事だと思って大笑いしやがって!
「貴様…大魔王サトウソウマがなぜここにいる!?」
俺がバカな事をやってる間に王様が大魔王に話しかけた。
あの強そうで自信に溢れた姿から想像出来ないくらいに
王様は顔を引き攣らせながら震えていた。
「ごめんね?キミにはまったく興味ないんだ。
僕はそこの勇者様に用があるんだよね~」
そう言いながら大魔王は俺の方を向いてニコっと笑いながらで手を振ってきた。
こいつ…すげー爽やかBOYだな!
俺程じゃないけど結構イケメンじゃん!
「あ... こんにちはです...」
俺はまだ腕の痛みであまりいい挨拶ができなかった
「あははは!”こんにちは”か~、久しぶりだな~その挨拶聞いたの!
じゃあ、ボクも…こんにちは~!」
ニコニコと嬉しそうに、懐かしそうに挨拶を返してくる大魔王。
うん!おれ、こいつの事好き!
あれーちょっと恥ずかしくなってきたわ
えっと、髪の毛大丈夫かな?
腕が無い意外におかしなところないよね?
「ダーリン...?」
「....」
「ダーリン!!」
「ん?あ、ごめん。どうしたの?」
乙女スイッチが入ってぼーっとしてた俺は、
ヴァンタの大声でようやく話しかけられている事に気が付いた。
「私ダーリンとなら、なんでもしてあげるよ...」
「はぁ!?いきなり何言ってるんだよお前は?」
「だ か ら なんでも、してあげるって言ってるの、なんでも」
「え?マジで?なんでも?」
「なんでも」
え、マジでなんでもしていいの!?
REALLY!? マジで!?大人の階段登っちゃうの俺!?
「やめた方がいいと思うよ?そんな貧相で小さな女の子。病気持ってそうだし」
「はぁ?」
「キミにはもっと大人で色気がある女の子いや、女性の方がいいと思うなーボクは」
「ちょっと…魔王だか大魔王だか知らないけどさ、いまダーリンと話してるの、わ た し なんだけど?」
えっ...?なにこれ、怖っ!!!
「おっと、それはごめんよ。キミの事、てっきり勇者くんに纏わりつくハエか何かだと思ってたよ~、いやーごめんごめん!」
「…はぁ?」
「…あぁ?」
間にいる俺を無視してバチバチと睨み合う二人
あまりの圧力に俺は何も言うことが出来なかった。
「貴様ら…いつまで下らん茶番をやっているつもりだッ!!」
広間に響き渡るウォーリアーの怒声に驚いた俺は声のする方へ振り向いた。
「大魔王サトウソウマ!貴様、これだけの被害を出しておきながら生きて帰れると
思ってはいないだろうな…!」
「やめんかウォーリアー、お主の叶う相手ではない…!」
今にも斬って掛からんとするウォーリアーを王様が必死に止める。
「うるさいな~、ちょっと静かにしてくれないかなぁ」
大魔王の顔は変わらずの笑顔のまま。
だけど、どこか、何か怖い。かっこいいけど!!
「ボクはただ勇者くんと話たいだけなんだよ、邪魔しないでくれる?」
「散々城を滅茶苦茶にしておいて何が話しだ!貴様の都合など私の知った事ではな
い!!」
「参ったなぁ、正直な事言うとボクって…」
大魔王は心底面倒くさそうに息を吐くと苦笑いをしながら呟いた
「雑魚には興味ないんだよね」
「貴様ぁああああああああぁぁ!!!」
ブンッ
カッ!
BOOOOOOOOOM!!
「かっ!?ッハァ…ぁっ!!」
ズルズルズルッ
ドサッ…
一瞬の出来事だった。
ウォーリアーが怒りのままに大魔王を剣で斬りつけようとした瞬間、
大魔王は纏わりつくハエを祓う様に腕を振るうと、
ウォーリアーはまるで番犬に殴られたカートゥーンキャットのように
城壁へ吹き飛び派手な爆発音を立ててめり込んだ。
身体中の骨が折れるような音が聞こえた、ような気がした。
時間にして1秒も経たなかった。WOW、やばい。
「言ったよね?キミ達には興味がないって。ボクは「勇者」に会いに来たんだよ」
部屋の空気が凍った。
「ウォーリアー!?」
慌ててウォーリアーのほうに向かう王様。
「大丈夫かウォーリアー!しっかりいたせ!」
「............」
ウォーリアーはピクリとも動かなかった。
俺はあまり、いやマジでウォーリアーの事は好きじゃなかったけど、
それでも、あんな姿をみたら、あまり気分が良くない shit
「そう睨まないでよ、ボクは何も戦争を仕掛けに来たわけじゃないんだ。
まぁ戦”争”になんてなる筈がないんだけどさ」
「キサマ…!!」
大切な臣下を傷つけられて恐怖を忘れ怒りのままに大魔王を睨みつける王様。
「まぁまぁそう怒らずに…ほら王様!見てみて~この紋章」
大魔王は手袋を外すと手の甲には、
俺のお尻についてる紋章と同じ模様があった。
あれ?ってか何でお尻じゃなくて、あいつは手にあるんだ???
そもそも!俺は何でお尻なんだよ!俺も手の甲が良かったよ!?
「この紋章はね?異世界から転生した人にだけ現れる特別な紋章なんだ」
「これはね、呪いなんだ」
「この紋章を持つ人間は決して死なない、老いない。例え首を落とされようが火で全身を
焼かれようが絶対に死ぬ事は無いし、もちろん寿命なんて物も存在しない」
「でもね?そんな無敵の超人でも一つだけ弱点があるんだ」
「”紋章を持つ者を殺せるのは同じ紋章を持つ者だけ”」
「って言うことは....!?」
「そう!」
大魔王はステージ劇みたいに手を大きく広げながら大声で言った。
「彼は大魔王であるボク、”サトウソウマ”を殺せる唯一無二の存在。そう、まさに世界を救う救世主”大勇者サトウソウマ”なのさ!」
「「「な、なんだってぇー!!?」」」
ガタガタガタッ!!
ざわざわざわ…
え、無敵?不老不死??
そ、そんなわけないよね?
俺は何処にでもいる高身長でイケメンの一般的な男の子だぜ?
そんなファンタジーでエキセントリックな身体になった覚えは…
10階建ての城の窓から飛び降りても平気
触ったら死ぬヴァンタに触れる
燃やされても痛かったけどピンピンしてた
ウォーリアーにたたきつけられた時も普通に立ち上がる
額に破片がぶつかって血が噴き出してもすぐ止まる
あれ?よーく考えて見ると俺って…
マジで不老不死じゃん!!!!!
というかあれ!?よく見たら俺の右手治ってる!?
絶対さっきドラゴンに食べられた…よな?なんで?
「ほらね~言った通りでしょ?」
「なんとゆうことだ…信じられん、これは悪夢か…」
膝から崩れ落ちる王様
「そうか、魔王が来た理由は…なるほど、
…きっと勇者を殺しに来たんだな…やった…」
ボソッっと呟く死にかけのウォーリアー
おい、おまえさっきまで死にかけだったじゃねぇか!
何でそんなに元気なんだよ!
そんなに俺を殺したいの!?
「もうおしまいじゃ、唯一の希望も魔王の手によって消され…」
「じゃ、そんな感じで僕は帰るね!勇者くんにも会えたし」
「「「え!?帰るの!!??」」」
「貴様…勇者を殺しに来たのではないのか…!?」
予想が外れて驚く王様。
「殺す?…まさか」
ふと、大魔王と俺の目が合った。
時間にして数秒だったと思う
「この世の誰よりも強くなったら…いつか、ボクを殺しにきてね?
期待してるよ、大勇者”サトウソウマ”くん?」
「ゴクリ」
笑顔だった。
出会ってからずっと変わらないニコニコとした愛嬌のある笑顔。
そのピッタリと閉じた瞼から微かに漏れ出す瞳の色は
彼の漆黒の髪と同じくらい真っ黒で、俺はどこか底の見えない井戸を
覗いているような錯覚を感じた。
「それじゃあボクは帰るね、ばいば~い」
大魔王はドラゴンの背に颯爽と跨ると俺達に向かって
にっこりと笑いながら手を振って別れを告げた。
「あ、そうだ。大魔王の僕が来たんだし、なんか大魔王っぽい事しないといけないよね?」
何かを思い出したかのように空中で急旋回する大魔王。
そして両手を上まで上げると上空に光が集まっていって…
ヒュン
ゴゴゴゴゴゴゴゴッ……
BOOOOOOOOOOOOMM!!!!!!!!!!
パラパラパラッ…
大魔王が落とした光の塊は国全体に降り注ぎ
結果、城は元より街のほとんどが粉々に消し飛んだ。
「「「ええええええええええ!?!?!」」」
あれだけ広かった城、いや街全体がほとんど吹っ飛んじゃったよ!?
どんだけ強いんだよこいつ!?
戦闘能力いくつだよ!?やべぇー!!
「う~んと、よし。これぐらいでいいよね?それじゃ、ばいば~い」
大魔王はドラゴンと共にどこか遠い所へ行ってしまった…。
…………………..
…………
……
魔王が去った事により暗黒だった空は晴れ
鳥のせせらぎ聞こえてくる程に明るくなった
へー、今って昼間だったんだ、暗くて良く分からなかったなー。
ボロボロになった城内で俺は魔王が去った空を見上げながら
そんな事を呟いた。
シーーーーーーーン
場違いな発言だってことは俺も分ってる
でも、さっきから誰もしゃべらないんだよ。
俺こういう雰囲気嫌いなんだよ!
誰か喋れよ!めちゃくちゃ気まずいじゃねーか!
「あのー…」
王様が恐る恐る俺に話しかけてくる。
「大魔王、倒しに行ってくれんかのぅ、あー…勇者様?」
ムカ!! ANGRY
「はぁ!?!?何が勇者様だよ!?ふざけるなよ!さっきまで死刑寸前だったじゃねーか!!!」
「仕方ないじゃろう!!キサマがワシの娘の胸を揉むのがいかんのだ!これでおあいこ♡」
「何がおあいこ♡だ、このクソじじい!!死刑になるくらい貴重な胸ってなんだよ!!1もみ=1死刑か?ふざけんな!!」
「一国の王女であるワシのキャワいい、キャワいいマイプリチーガールの胸じゃぞ!?1回、いや2回ほど死んでもまだ足りんわい!!」
[2回も!?」
ちくしょー!最初はカッコイイと思ったのにこんなクソジジイだったのか!!
「ま..まぁお父様。彼はこの世界の最後の希望な訳ですし、もう少し丁重に…」
王様と俺がケンカしているとお姫様間に割って入って仲裁してきた。
「じゃがのぅ....」
「間違えって言ってるし、私も別に気にしていませんから!大丈夫だよ パパ」
「うぅむ…まぁ姫がそういうのであったら…」
…………………….
「なんじゃ…そのぅ…あれじゃ…すまんかったのぅ…」
「あっ!いえいえ、俺も言いすぎました...」
シーーーーーン…
こうして大勇者サトウ”アーサー”ソウマの魔王討伐の旅は始まったのであった!!
「おぉ、やってくれるのか勇者様よ!」
「任せてください、ボクは魔王を倒すためにこの世界に来たのですから(キラキラ」
俺は世界一強がりで根拠がないはったりをした So cool!
「よろしく、お姫様」
手を差し出して握手を求めるヴァンタ
「え?えぇ、よろしくお願いしますわ ヴァンタさん」
「おい!バカやめろ!!王女様灰にするつもりかよ!?」
「チッ」
舌打ちをするヴァンタ




