第一話 ~Youはどうして異世界へ?~
「佐藤創真 死刑 DEATH」
王様が叫んだ。
「WHY!? え?なんで?」
俺は何が、起きてるかも、理解できなかった。
手錠もついてて、何もできなかった。
「ちょっと待ってください!誤解なんです!」
叫ぶぐらいしか、俺にはできなかった。
お前の言うことなど信用できるか!
そう言わんばかりに王様は怖い顔で俺を睨みつけながら大声で怒った。
「黙れ!おまえはいろんな罪を犯したじゃないか!!大魔王"佐藤"!!」
「・・・・んっ!?」
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あれは、彼女と付き合い始めて、丁度一か月になる日のことだった。
あの日は全てが順調で、俺はケーキ屋でサプライズ用に頼んでおいたケーキを受け取ると、彼女のいる自宅へと戻ったんだ。
家が燃えていた。
俺は、燃え盛る炎の中に飛び込んだ。
迫りくる炎がこの身を焦がし、立ち上る煙が呼吸を遮る。
遠のく意識の中で、彼女との思い出がよみがえる。
「彼女はおれの、人生のすべてだ…」
彼女を守れるなら俺は死んだってかまわない!
ガラガラガラッ
「俺のMy Honeyーッ!!!(限定フィギュア)」
強化ガラスで守られた傷一つない彼女を見て、俺は心から安堵する。
両手いっぱいにフィギュアコレクションを抱えて、
窓から脱出しようとするが、そんな俺に炎を纏った大木が襲い掛かる。
「ぐ、ぐわああああぁぁ…っ」
俺の、限定フィギュア(定価二万三千円)…
ドッゴォォォン…
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ピヨピヨ ピヨピヨ
小鳥が鳴く音がして、俺は目を覚めた。
「うーん、もう朝かぁ。」
もう少し寝たいなー 二度寝するのもありか…も?
「!?」
俺はベットから飛び起きた。
「え!?待てよ!?俺何で生きてるの!?」
確か、俺は彼女を助けるために・・・。
ん?彼女?俺って彼女言ったけ?
いや、多分居たと思うんだけどなー。
ぼんやりと頭の整理をしつつ、ふと横に手をやると、
ぽよん~ Soft!
お湯を入れた水風船のようにあたたかくて柔らかい感触があった。
「What?」
そこには女の子が寝ていた。
そこには、女の子が、俺の、横で、寝てた!!!!!!
「えええええええええええ!?」
え?これ誰?はぁ!?
俺はベットからすごい速度で起き上がった。
でも、待てよ。こいつよく見たら、めちゃくちゃ美少女!?
まるで、モデル?いやアイドル並みにかわいい!
何よりも!顔、体、胸、胸! 全部最高にCUTE!!
で?何で美少女が、俺のベットにいるの?
彼女は俺と一緒で、金髪?!、やばっ、ものすごくかわいい。
肌も真っ白で、服は肌の色みたいで、白くて、ドレスみたいな寝衣を着てる。
とにかく!雪、いや、漂白剤みたいに白い!!
ウァッツ!?てか待てよ!
これ俺のベットじゃないし、俺の部屋でもない!!
何かすごくおしゃれというか、あれだ。
どっかの王族?みたいな、とにかく豪華な部屋。
俺は頭の後ろで腕を組み、そのままもう一度ベッドに横になる。
「いいよなー、キレイだなー。俺にもこんな生活が送れたらなー…」
無理だよなー、俺には縁のない世界だし…。
「……じゃなくてっ!」
呑気に寝転がってる場合じゃねー!
俺は再び跳ね起きた。
何が起きてるんだ??
そもそも何で俺はここいるんだ!?
俺があーだこーだ言いながら、頭を抱えていると、
「うーん、おとうさまぁ…ステーキまだですかぁ…」
よくわからない寝言と共に美少女が目を覚ました。
「ステーキぃ!?」
oh my god!
何てテキサスっぽい朝ご飯なんだ!?
俺が心の中でよくわからないツッコミをしていると、
布団の中がいつもと違うことに気付いたのか、
美少女は眠そうな目をごしごしとこすりながら俺の方を見てきた。
「……えっ?」
「a・・・どうもぅ。」
そこで俺たちは初めて目が合った。
「きゃああああああああああああああ!」
B級ホラー映画のヒロインのような叫び声が、
俺の鼓膜を打ち抜いた。
「誰なの!?何でわたくしの部屋にいるの!?」
彼女は俺の布団を剝ぎ取るとそのまま部屋の角まで後ずさって、
怒ったウサギのように威嚇してきた。
「知らねーよ!何で俺はここにいるんだよ!!」
鼓膜を打ち抜かれた怒りもあり、俺は彼女に逆切れした。
「はぁ!?私が知りたいわよっ!!」
「じゃあ、お互い様だなっ!」
あ・・でも、これ相手からしたら、
ベットに忍び込んで勝手に寝てた変態だよな?
しかも、いきなり逆ギレ…え?
もしかしたら、俺が・・・悪い?
でも、俺は悪くない!ただ寝てただけだし!!
ちょっと間違えて胸を触っちゃっただけで…うん、その通り!YES!!
自分で自分を必死に納得させていると、
美少女が青ざめた顔でこっちを見ていた。
「もしかして、わたくしを殺しに来た暗殺者!?」
「んぅ!?なわけないだろ!ベットで一緒に寝る暗殺者いるかよ!!」
言われもない疑いをかけられて、俺は怒った。
BaaaaM!!
その時、耳が痛くなるぐらいにうるさい音と共に、扉が開いた。
俺と美少女はケンカしてるのも忘れて扉の方を向くと、
西洋の騎士みたいな恰好をした男たちが、慌てながら部屋へ大量に入ってきた。
「ご無事ですか、お嬢様!!、ぐぇ!?」
「侵入者だ、ぐぉ!?」
「貴様!!お嬢様の部屋で何をして…あぁ!?」
騎士が多すぎたせいで、ドアの入り口にギシギシに詰まって、部屋に入れこれなくなっていた。
「あなた達一人ずつ入りなさいよ!今、私・・あ、じゃなくて。わたくしはピンチなのよ!」
あ、良い。怒ってる顔もめっちゃ可愛いなー
あれ?今チャンスじゃね?
奇跡的にカートゥーンぽぃ?感じになっててラッキーだし!
まずは、逃げよう!!考えるのは後回しだ!!RUN!!
そうやって俺は、どうやって逃げるか考えながら、急いで部屋を見渡した。
あ!あれだ!そうだ、窓だ!
よく映画でよく見る。窓を割って逃げる方法だ!
名案を思い付いたクールな俺は、So Cool!!
何も言わずに、思いっきり窓に飛び蹴りをした!
「あっ!?ちょっと待ちなさいっ!!」
「F〇ck You!!誰が待つかよ!」
Goodbye どこの誰かも知らないお姫様っぽい美少女よ
短い間だったけど、あの柔らかな感触は絶対に忘れないぜ…
「ここ10階よ!?死ぬわよ、あなた!?」
「え・・・?」
ZOOOOOOOOOOOM!!
「NOOOOOOOOO!」
俺はさながらカートゥーンの間抜けなネコのように、
目玉を置き去りにしながら落ちてゆく。
あー、地面って固いんだろうなぁ…。
俺はこのまま地面とキスをすることになるだろう。
きっと潰れたトマトみたいに鮮やかな汁を飛び散らして、
明日には誰かの靴の裏のシミにでもなってるんだろうな。
俺は思った。
どうせ死ぬなら、why?
あの時もっとちゃんと…美少女の胸を触っておくべきだったなー、と。
それだけが、心残りだった。
SHIT、ちくしょう!




