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すっかり寝静まったリリアを見て、彰は懐から小さな箱を取り出した。手のひらに乗る大きさの、小さな黒い箱。
山で蟷螂の死体を埋めているとき、彼の服から見つけたものだ。
「木製…………、じゃねぇな。プラスチックか?」
箱はツヤツヤとした軽い素材。横には、小さなダイヤルとボタンが付いている。彼の持ち物の中で、この箱だけ異質な存在感を放っていた。
試しにボタンを押してみる。しかし、その箱はなんの反応も無い。
どう見ても、この世界のものではない。樹脂をこれだけ正確に成形する技術が、この世界にあるとは思えないのだ。
文明のレベルが明らかに違いすぎる。
誰が作ったのかは分からない。しかし、ただ一つ確かなことがあった。
それは敵は九頭龍ではないということ。彼らの背後に、高い文明を持った存在がいる。
――アキラは死なないで
リリアの言葉が脳裏をよぎった。
「大丈夫。死なねーよ」
言い聞かせるように呟くと、その小さな箱を握りしめた。
第四章おわり。
長かった……




