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書いたものは読まれないと上手くはならんと思う~テンプレに手を出す理由

作者: 公社

 元々何かを書くこと、物語を作ることが比較的得意なほうだった私。


 ここで言う得意とは、人を感動させたり熱狂させるような文章が書けるという意味ではなく、頭で考えたこと、伝えようとしていることを文字ベースで書き起こせるという意味です。


 小学生のときの国語の授業だったかと記憶していますが、自分たちでシナリオを作って、先生がその中から何作か選んだものをみんなで投票して、選ばれた作品をクラスのみんなで演じるという課題がありました。そのとき、私が書いたシナリオが採用されました。


 ぶっちゃけると内容は青色ネコ型ロボットのオマージュという名のパクリ。舞台設定とか登場人物とかを1から組み立てつつ、大筋はタイムマシンに乗って過去に行って云々という話であり、みんなからは「ドラ〇もんじゃねーか」とツッコまれましたが、話自体は先生曰く起承転結がちゃんと書けていて内容もしっかりしているとは評されました。




 さて、それから中学高校大学、そして就職と時は経ち、すっかり文筆活動などとは無縁の生活を送っていた私が小説家になろうというサイトに出会ったのは今から数年前のこと。なろうを出発点として書籍化、アニメ化された作品が世に多く出てきた頃に遡ります。


 まあ羨ましかったね。昔は書籍化なんてなんかの文芸賞を取るとか、出版社に持ち込みして採用でもされない限り叶わぬ話だったのに、このサイトに投稿して人気が出れば、出版社の人のほうから覗きに来てくれるし、賞レースも数多く用意されている。いい時代になったもんだと思ったよ。


 で、どんな作品があるのかとサイトを開いたのが始まりなんだけど驚いたね。多くの人が毎日のように作品を投稿していることに。


 中には無名の新人の作品でも面白いと感じる(後に書籍化されたので面白いのは必然だったのかも)ものもある一方、何冊も書籍化している作家さんの作品でも「なんだこれ?」みたいなものも少なからずあり(決してその作家さんをディスる意図はありません。私の好みに合わなかっただけですから)、これなら自分が書いてもそれなりにポイント入ったりするかも? なんて軽い気持ちでユーザー登録して投稿し始めたわけです。


 決して書籍化でウハウハとか考えたわけじゃありません。仕事でも文章を作成することは多々ありましたが、それは特定の誰かに向けて書いた報告書とか企画書、稟議であり、読み手の嗜好を十分に考慮した作り方なんで、不特定多数に見てもらうために自分の言葉と嗜好で物語を書くなんて、小学校の時のそれを除けば実質初めてなわけです。単純に自分の文章力でどれだけのものが書けるか、それを試したかったというところでしょうか。




 そして最初に投稿した作品は、異世界恋愛ざまあっぽい何か。


 そうとしか言いようが無いです。単純に文章を書いてみたいと思っただけで、世界観とか舞台設定なんてものを大仰に構想して作ったわけではなく、その頃人気だった他人様の作品を読み耽りつつ、こんな感じかなあと試行錯誤で世に送り出した初作品。


 結果、日間の100位にも入らず沈んでいったよ(笑)


 今読み返すと、まあまあ酷いね。自分で書いたはずなのに何言ってるか分からない。これでよく物語を作るのは得意とか言えたもんですわってくらい。作品に愛着はありますが、登場させたキャラが不憫ってくらい作品として未熟だったかなと思います。




 えーと、そこの貴方。作者マイページから作品一覧に移らないように。「押すなよ、絶対に押すなよ」という意味で言っているわけではなく、本気で言ってます(大真面目)。




 まあこんなもんかなと思う反面、投稿した後からちょいちょい「ここをこうしたほうが良かったかな」なんて部分が見え始めたので、続けざまにその続編的な作品を出しましたが、またしても撃沈。


 そりゃ最初のが評価されてないんだから、続編を誰が読むっちゅう話です。しかもこれもまた今読み返すと余計に酷い。一作目がダメだったからと作風をこねくり回したような感じ。


 ヒーローとヒロインの視点が交互に代わる作品。あのときは面白いと思って書いたけど、今思うと読みづらいわこれ。




 だから、どれどれって作品を覗きにいかないで。




 ここで私、考えました。変にこねくり回すよりも、どテンプレと誹りを受けようが基本に忠実なざまあ作品をまずは書くべきだろうと。テンプレというのは非難されることもあるが、それを面白いと受け入れる人も多数いるからこそテンプレとして成立しているわけで、読まれなければここで投稿する意味もないと考えたわけです。


 そして出した3作目。お昼過ぎに投稿した作品がなんとか翌朝の日間ランキング100位以内に入りました。するとあれよあれよとポイントが積み上げられ、最終的に異世界恋愛の日間4位くらいまで上がった次第です。


 ランキングに入るか否かでここまで違うとは、ランキング恐るべしと感じた一瞬であり、自分の文章力でもそれなりの作品が書ければ評価はされるのだと感じた一瞬でもあります。


 改めてその作品を見ると、端的にざまあを描きたいために結構端折った部分も多く、今ならこう書くのになあと思うところもありますが、当時その書き方をしてランキングに入ったかと問われれば、それは誰にも分からないところなので、兎にも角にもその作品の存在が、私が今でもなろうに投稿している原点とも言えます。


 そこまでしてランキングに入りたいかと批判する方もいるでしょう。だけど私は自分の書いた構成と文章を読んでほしいので、あえてテンプレに手を出したのです。もちろん書くのと考えるのが好きなので、楽しんでやっておりますよ。


 それからはまあ読者受けしそうなざまあ展開に、独自のひねりを入れつつって作品が多いのですが、前作まででブクマしてくれた方や、お気に入りに入れてくれる方が投稿するたびに少しずつ増え、今では余程クソつまらない作品でもない限りは、誰かしらに読んでいただいているようなありがたい状況になってます。




 こうしてなろうに投稿してから1年半。短編中心ではありますが投稿数も20を超えて、誤字報告や感想で無意識に使っていた誤用なんかを指摘されて勉強になったことも多くありました。これは読まれているからこそのフィードバックというかリターンではないかと考えます。


 そしてそれが力となって、さらに投稿を重ねることで自分自身の文章構成力が上がったように感じます。おかげさまで何回か日間でジャンル1位を取った作品もあるので、読める文章が書けているのかなと自賛してみたりする。


 具体的にどこが? って言われると説明するのは難しいんですけど、以前だったら勢い任せで書き上げるところで、こういう表現の仕方もあるんじゃないかとか、こういう言い回しはどうだろうとか、この書き方はミスリードだなとか意識するようになりました。


 さすがにそこからさらに先、大作家への道なんて目指してはいませんが、実は仕事で文書作成するときにも文章構成を考えるクセが役に立っていたりするので、投稿を続けたメリットかもしれません。




 文章を書くってセンスもあるけど、天賦の才の無い者は場数をこなすのが大事だと思う今日この頃。

あくまでも当社比とか、通販サイトによくある「体感には個人差があります」ってレベルの話なので、どこに文章力の上がった痕跡が? っていう感想は勘弁してください。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] テンプレに手を出すのが遅すぎた… [一言] 読み専の人で名作短編を2作品以上も生みだした方がいたが創作を中止されている。 その時はもったいないと思ったけど気持ちが理解できるようになった…
2022/10/25 05:34 退会済み
管理
[良い点] 面白かったです! これは良いエッセイ! [一言] テンプレ→日間4位はすごい。 100位以内に入るのも至難の業の異世界恋愛で偉業です。
[一言] 公社さんが読者の方を増やしてこられた軌跡がよくわかりました。 やっぱり読者の方が多く読んでくれそうな作品を作るというのも大事なのですね。 そして日間ランキング1位すごいですね! 読者の方が増…
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