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穴を掘る
穴を掘っている。もうずっと。
支給されたスコップは、頑丈で柄が長くて使い勝手が良い。掘り出した土を勢いよく地上に放り上げながら、俺自身はどんどん深みへ潜ってゆく。
ようやく俺の身長分くらいは掘ったろう。昼頃に、握り飯と茶が吊るされて降りてきた。
あとどの位か大声で尋ねると、円形の青空から顔を見せず「まだまだ」と返ってきた。俺は俺の罪の深さを思う。
再び掘りつつ己の来し方を振り返った。涙の代わり、汗が土に染む。
「そこまで」と声がしたのは夜更けで、事前に申請していた私物が降りてきた。雑誌、親からの手紙、妻子の写真。俺はそれらを見つめた。
横たわり、最後の朝日と土が降ってくるのを待つ。
お題「穴」




