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魔法の、次
たまには遠回りしてみましょう。いつも本題から切り出すのも、芸がないですから。
世界に溢れている魔法を、私は信じていたかったのです。刻々と色を変える空、暗闇を払う星々の光。朝に開き夜に閉じる花、地中から湧き出る清廉な水。それらには美しい妖精が棲み、人の手は決して届かないのだと。
その魔法を華麗に解いたのが、あなた。
天体の運行、生物の規則性、大地の断面、そして人の心の神秘を、私に教えたのは、あなた。
あなたは赤い炎で闇を照らし、そこに息づいていた幽かな夢を払い、私を、白い光の下へと連れ出したのです。まばゆく、すべてを等しく照らし出す光の中では、曖昧さは存在を許されません。これまで抱いていた夢は、すべて否定されました。
しかし、私は今や、それに満足してしまったのです。
もう決して薄暗がりへ戻ることのできない私たちは、ねえ、許されますか。




