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シャルロットは束縛したい

お・ま・た・へ♪



マホイップ色違い、ゲットぉ♪


やっぱベリーだよね☆


私は常に優秀でなければなりませんでした。


それが我が上流貴族の、両親から求められてきたこと。


全てに一番でなければ、両親や兄弟姉妹は認めてくれなかった……。


物心付いた時には、勉学や武術・魔法をそれぞれ担当する家庭教師によって厳しく教えられてきました。何事も出来るのが当たり前。出来ないのは一族の恥、異常だと思われるのが普通でした。


両親にとって、私は単なる政治等の道具でしか考えていません。


隣国の貴族へ嫁ぐか、他の貴族や王族の側室等になるだろうと、ただ私にとって無意味で無価値な人生を送るのだろうと思っていました。家庭教師からの厳しい指導と言う名の罵声や体罰も普通にあります。しかし、成果を出せばそれも必然的に無くなっていく。それでも求められるのは更に上でした。


私はヴァーリ学園で、最優秀成績者として入学し二年になった瞬間に私はその学園の生徒会長を務める事となりました。歴代最高の生徒と回りに言われ、両親からの期待を背負い私は私を殺して生きてきたのです。


趣味とか、そういうのはありません。


必要ないからです。


そんな暇があれば常に優秀であるように何かしら努力すべきなのだから……。


自由そうで自由ではない、自分の意思のないこの人生について誰かに悩みとして相談したとしても結局は貴族として生を受けたのだから仕方がない。それが宿命だから、そんな悩み贅沢すぎるとまで言われてしまう。


確かに、そうなのかもしれません。


私は世間知らずの我が儘な子供なのでしょう……。


けれど、最初からそう決めつけられて私は辛かった。


何時も、何時も───。


私は学園の人が寄り付かない自然に溢れた庭のベンチで、自由に伸び伸びと羽ばたく小鳥達を眺めながら、羨ましいと感じていました。自由は何も良いことだけではないのは理解しています。自由になれば、その責任は全て己自身で解決していかなければならない、と。貴族という名によって守られている私達にとっては恐ろしいものなのかもしれない。けれど、私はとても、今蒼く澄み渡った空に飛び立つ小鳥達が酷く輝いて見えていました。


今の私の景色は灰色そのもの。


両親にとって道具であり、世継ぎを残す為の母体でしかない……。


そんな人生で、終わってしまうのかとそう思っていた矢先に後ろから声を掛けられたのです。



───大丈夫、ですか?



ハッと驚いて振り替えると狐の獣人が困惑している様子でした。彼の服装がこの学園の制服だと理解して何かを言おうとする前に、私にハンカチを手渡してくれました。



───なに、を。


───えっと……よくわからないけど、よかったら相談乗りますよ?



まずは涙を拭いて、と彼が言ってくれたお陰で漸く自分が涙を溢していた事に気付きました。私よりも背の低い、少し頼りなさそうな彼だったけど私にとっては十分です。そして彼は私の横へ座りました。


涙を拭いて、改めて彼の顔を見て私の中に眠る何かが、ドキリっと反応したのです。


太陽の光に反射して輝く耳と尻尾と同じ金髪の髪に端麗で愛らしい少女の様な顔つき。身体の線も細く華奢で、下手すれば私よりもウエストが細いと思ってしまう程に綺麗な括れ。そしてお尻の部分も少し女の子らしい、というか無性にその尻尾もそうですがそのお尻はぷりっとこぶり。肌も綺麗で真珠のように色白ですべすべした潤っていました。しかも爪も手入れをしているのか細く光沢のある綺麗さがあります。


男性用の制服を着ていても、単に男装した麗人にしか見えない彼に私は───一目惚れをしてしまったのです。


まるで今まで悩んでいたことを全て忘れてしまう程に、一目合った時から夢中になっていました。



───あなたは?


───今年の春に入学した一年の、九十九篝です。シャルロット生徒会長、ですよね?



やはり、私の事を知っていました。


生徒会長として新一年生の入学式で、前で話していましたからね。


ですが、やはりこのドキドキは収まる気配はありませんでした。そして私は出会って早々に九十九君のピコピコ動く耳とゆらゆらと揺らめく尻尾に目を奪われてしまったのです。流石に気付いたのか、彼は私の目の前に自分の尻尾をふわり、と動かしたのです。



───触り、ます?


───……いいの?


───シャルロット生徒会長が良ければ……。



私は彼の尻尾を両手でもふもふ、と恐る恐る触れていくと思った以上の触り心地に夢中になるのは仕方がなかったんです……。まるで私は癒しを求めていたのか、彼の尻尾を身体全体で抱き締めていました。もう、これは魔性のやつです。離したくありません。


思う存分、尻尾をもふもふさせていると九十九君は非常に恥ずかしそうにもじもじとしていました。顔も真っ赤で、少し涙目にもなっています。私はやってしまった、と後悔してしまうのですが、彼自身が恥ずかしそうに言うのです。



───ご、ごめんなさい……その、胸が……。



私がもふもふしているのは九十九君の尻尾。ならば当然感覚もあります。そしてその時の私は自分の胸に九十九君の尻尾を抱き締めていました。



───ごめんなさいっ!?


───い、いえ……楽しんで貰えて、光栄です。



これが、私───シャルロット・レヴィリレールと九十九篝の初めての出会いでした。


あれから私達は毎日出会うようになりました。


あの時の私は、幸せだった……。


まるで自分の世界に光が灯ったかの様に、彼と一緒にいる景色が鮮やかに見えてきたから……。



けれども、私は最低な女。


そんなこと、私自身よく理解しています。


快楽に溺れて、私は愛した彼をこの手で三度も殺したのだから……。


最初は、あの男(・・・)を酷く恨んでいた。あの男(・・・)さえ居なければ篝君と幸せに暮らせていたのだと、本当に思っていました。


しかし、三度目も同じくあの男(・・・)に身体をいとも簡単に許した時には、最も恨んでいたのは私自身でした。三度目に最愛の篝君を殺してから再び時間が戻った後は、私は何度も篝君に許しを乞うように彼に接触しました。けれど、彼は私以外の女と一緒になってしまう……。


けれど、それでいいと思った。


でも、そんなのは耐えられなかった……。


私以外の女と一緒にいるだけで、それだけで心が締め付けられて、涙が止まらなくて……。


篝がいない世界なんて、要らない。


生きる意味がない。


私は何度も己の命を絶ってきた。


彼が死んだ時は、必ず私も自殺した。


それが、私にとって正しいと信じていたから。


周りがそれは間違っていると言った所で、それは周りの考え。私の考えとは違うのだから、口を出さないでほしいです。


ねぇ……篝君。私が愛していたのは、貴方だけなの。そして一番気持ち良かったのも貴方だけなの。あんな男(・・・・)なんて、気持ち良くとも何ともない。ただそう思わせているだけ。


私は、貴方の手を握っていたいの。


貴方に毎日抱き締めてくれるのは、本当に幸せだった……。篝の匂いとその胸に顔を埋めてぎゅーっとするのが、私は大好きなの。


貴方が例え、どんな人になっても構わない。貴方が貴方であればそれだけでいい。善だろうが悪だろうが、どうでも良いんだ。


今すぐに彼と話したい。彼の匂いを嗅ぎたい。彼の身体に触れたい。彼とキスがしたい────。


だから、どうしても───彼を、九十九篝が欲しい。


何時までも、互いの命が尽きるまで───。


共に、生きたい。


共に、笑い合いたい。


共に、死にたい。


それだけ、それだけでいい。


だからこそ、貴方と戦うことは楽しみにしているの。


私は何度もやり直してきた。


何度も、失敗しながらも。


私は、私の中で最強とものとなった。


彼がメイド服で店員をやっているのは彼を独自で探している際に偶々発見しました。その時の彼の姿は、それは可憐でこの世の愛らしさを敷き詰められた宝物そのもの。だからこそ、彼が他の女と話したりするのは不快でしかない……。


彼は私のもの。


その手を離せ。その厭らしい目で彼を見るな。


あぁ憎い……憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い!!!


そしてなりより、そんな奴等に愛想を振り撒く篝が……憎い。


その笑顔は私のもの。


その手は私の。


───わかっています。


彼は私の事など、忘れている……いえ、知らないのです。


もし、彼が私と同じように時間を巻き戻っていて私の事を───全て(・・)知っているのならば、私は……私はどうすればいいかわかりません。


しかし、出会った時には全く反応が無かった───。


彼のとても愛らしくその狐の耳と尻尾をふりふりさせているのは酷く懐かしい。欲望に負けて手を伸ばしてしまいそうになるが、私は我慢した。


そう言えば入学後、彼は早々に問題を起こしています。


それは生徒会長である私にも耳が届いていました。


『俺を殺せる者はいるか』……その絶対強者なる風格は、まさしく己と同等に戦える強者を待ち望む狂戦士の如く。一度その死の戦いに名乗りを上げれば、死は免れない、と。


……聴いていて耳を疑いました。


私が知る九十九篝は目立つのを嫌う心優しき人なのだから……。


確かに彼は前々から強かったです。しかし、一年の最優秀生徒や神童と呼ばれた者達のプライドをへし折る程の事をするなど想像ができません。


けれど、彼がどんな人になってもいい。


彼が求めるのが強者であれば、それを私はやりましょう。


私が、彼を───九十九篝を倒そう。


そして、彼を私のものにするんです!!!


私が勝負に勝った後、彼との婚約を結び実家へ行こう。いえ、その前に篝の両親に挨拶しなければなりません。


九十九篝の両親───それはこの国の王にとってはあまり敵に回したくない存在。それは王族だけではなく貴族達もだろう。特にお義母(かあ)様は特に篝を溺愛しているので、何とか説得しなければならりません。公にはされていないが、九十九篝は私達の貴族よりも更に高貴なる存在。最初は当然私も驚きました。まさか、と。だからこそ、私と彼の婚約と結婚は何の問題なく成し得たのですから……。


さて、私も明日の為に用意をしなければなりません。


……そう言えば、恋人はいないのかな?


居たとしても……うん、その女には諦めてもらうしか他にない。仮にそうだとしたら、今すぐにでも彼を襲って上書きしなければならないかな。


篝君はモテるから……彼の首筋や肩、お尻やアソコ(・・・)にも強く私の歯形(マーキング)をしなければなりませんねっ♪


昔は篝君の事が愛しすぎてそう言うことを毎日していました。血が出るのも普通です。むしろ血が出ない程の歯形(マーキング)等、歯形(マーキング)ではありません。


明らかにおかしいと思われるかもしれないけど、獣人にとってはそれが愛情表現の1つ。彼も私の身体、至る所に色んな(・・・)マーキングを付けてくれたんです……♪


ねぇ、篝さん。


私は、貴方を愛しています。


狂おしい程に、自分でも抑えきれない程に───。


だから、ね?


私以外の女なんて、見ないで……じゃないと、私……何するかわからないから。




皆様、感想・評価ありがとうございます。


感想は全部見てます。


けれど、変身すればポロっとネタバレ言っちゃいそうなので……ごめんちゃい_(._.)_

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― 新着の感想 ―
[一言] 返信はなくても大丈夫です。 ヒロイン勢揃いするのはいつなんだろう(笑) 篝が幸せになる道は本人は死んで終わること、ヒロインたちは生きて幸せになることなのでかなりハードルが高い。 ヒロインは全…
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