時が来たれり。汝は其の者に祝福され、呪われた者なり。
⚠注意⚠
ちょいグロ&下?ありです。
※読む前に確認してください。
「―――――――――――時は来た」
【神王】ゼウスはそう語った。
その言葉に反応する様に他の【神王】等も異論はなく、中央に浮遊する22の小さな輝く欠片がある。多種多様の大きさと色だ。輝きも反射的に目を瞑ってしまう程の強い輝きだったり、目に優しいも確かに強い輝き、そして怪しく輝くものや妖艶な輝き。更には欲望に満ちた輝きもあった。
“対人”精霊―――――――――通称【妖精】、十柱。
“対獣”聖霊―――――――――通称【神獣】、六柱。
“対神”神霊―――――――――通称【天災】、四柱。
“対星”星霊―――――――――通称【星震】、二柱。
これが今回の成果であった。
「“対星”星霊――――――【星震】…………成るのは“ルージュ・シュヴァリエ”一柱のみと思っていたが、よもや“対神”神霊の【天災】で止まる筈だった“九十九篝”が更なる変化を遂げるとは――――――」
「この気配…………恐らく冥府の者ですね。しかも弟の気配もするのですが」
「―――――【須佐之男】…………いや、【月読尊】か」
「【神王】天照、貴殿の弟君だけではない。我が知る似た気配の介入もあった」
「良いではないですかッ!何をしたかはわかりませぬが、【星震】が二柱誕生したのですッ!!!これは、快挙ですぞッ!!!当初はあの女が提案したことですがこれほど上手くいくとは」
「やはり、あの女も【星震】の一柱ということか。しかし、妙にあの九十九篝に興味を示していた。いや、アレは力を注いでいたか」
「確かに。わざわざ九十九篝の仮想世界に幾度も介入していたようだ。幾度ではなく、必ずか」
“対人”【妖精】・“対獣”【神獣】・“対神”【天災】・“対星”【星震】。それぞれ名の通り役目はあるものの、やはり“対星”【星震】が最上位の存在である。しかし数そのもの―――――――つまり、今までに誕生したのはここ数年で一柱。しかしそれ以降は何千年も誕生していない。そもそも“対星”【星震】の数は今回で片手で数えられるほど。
「これで“対星”【星震】は四柱となった。【星震】の数は十分だろう。それにあの方も新しい【星震】二柱をお気に召した」
【神王】等は、“対星”【星震】四柱になったことに安心し更には他の“対人”【妖精】・“対獣”【神獣】・“対神”【天災】も増えた事に暫くは厳選をする必要はない。
「さて、我々は彼等の監視をする事に専念しよう。時には助言を、あの方の意思を告げる事に専念だ」
「【神王】ゼウスよ。各仮想世界にて培われ優秀な魂はどうする」
「有効活用させてもらう。無論、人として生まれ変わることになるがな。あとはこの厳選に活躍した神々に褒美を与えるとしよう」
そして今回協力した神々に【神王】等が可能な限り褒美を与えることになる。神々の中には怪物らも含まれており、次はそこに時間を費やすことになるだろう。
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地球のある山々の奥地。
そこに“対星”星霊―――――――――通称【星震】の一柱が存在していた。
「アハハっ♪漸く会えるね、燎――――――ううん、篝。まさか私と同じ【星震】になるなんて……………想定外だけど、まあいいわ」
その者、数多の怪物を生み出す生物の頂点に立つ女帝と呼ばれる【星震】。しかし、“対星”の【星震】でありながら“対人”【妖精】・“対獣”【神獣】・“対神”【天災】でもある極めて異質な存在だ。
かの者を【女帝】や【堕落の化身】、【色欲の女神】、【怪物の母】などの異名を人間や動物、神々、そしてその他の“対人”【妖精】・“対獣”【神獣】・“対神”【天災】・“対星”【星震】等から様々な別名を有する存在。あらゆる存在が畏敬を込め、或いは恐れ、或いは侮蔑した意味をそれぞれ持つその女は愉しそうに笑う。
悪魔の翼に、尻尾を持つ老若男女問わず魅了する身体には傷一つ無い酷く艶めかしい。目に毒、と言うのはまさしく事のこだ。何か比喩することすらも難しい程の美しさ。ただただ美しいと言わざる終えない容姿である。
【女神ティアマト】・【女神エキドナ】・【女神ガイア】などの力を有するまさしく女帝と称するに相応しい。
【神王】らは口を揃えてこう語るのだ。
彼女こそ、最高傑作だと。
「さてと?やっぱり美味しいよねぇ〜〜〜。人間の睾丸は」
この場は古びた神殿だ。既に過去の産物なのだが、当時ならば神聖な場所として巨大な建造物だったのだろう。
その神殿の最深部、古びてはいるものの過去の遺産として神々しくある場所なのだが―――――――――辺りは男の遺体が幾つも乱雑に置かれていた。
しかし、彼等は性器そのものを失っても尚幸せそうな表情で亡くなっている。だが、一部は苦痛の表情に感情が抜け落ちて亡くなっていた者もいた。
「性欲が高い子はいいわぁ………………でも、子種はイマイチなのよ。やっぱり人間は美味しいけどダメね。子種だけならやっぱり人外よねぇ」
そこにいるのは彼女だけではない。
傍らに現れたのは、禍々しい角を二つ生やした赤き鬣と鉛の様な強靭なる巨体な肉体を持つ馬であった。その馬は倒れている男の遺体をグチャグチャと踏み潰しながら甘える様に彼女へ擦り寄る。
「あら、お腹が減ったのね。いいわ、ここに散らばってる肉片をお食べなさいな」
そう言うと嬉しそうに鳴き、近くにあった10代後半の男の亡骸をむしゃむしゃと食べていく。異型な姿の馬が、馬ではない行動をしていれば恐ろしい光景になるだろう。
しかし、それだけではない。
心配そうに欠けた神殿の柱から心配そうに覗くは、牛の頭を持つ3メートルの巨人。あらゆるモノを喰らい、傷を追わせられる牙と爪を有する白き狼。そして、バスケットボールの様に跳ね飛び回るスライムが彼女の元へ集う。
彼等はあの彼女の子供達である。父親は多種多様ではあるものの、確かに彼女が産んだ子供達であった。
「さあ、探しましょうか。私の――――――――私だけの幼馴染みさん。何時、何処に顕現するかはわからないけど――――――――」
かの者、【リリト・ライラック】。
決してこの世界の表舞台には出てこない強大な存在が動き出そうとしていた。それは彼女自身の欲望のまま――――――――或いはまだ彼女がまだ人間だった頃の、残された唯一の想いの為なのか。
己が人間か怪物か―――――――神か。
彼女自身も理解はしていない。
ただ、この地球の頂点・支配者の一角として君臨する彼女にとってそれは些細なもの。しかし、その些細な想いを酷く執着する様は何かを飢えたケモノそのものである。
「それにしても、漸くだわ。ふふっ♪あの邪魔者達は居なくなった―――――――――彼は私のなんだから。他には絶対に渡さない。奪うなら……………………それ相応の対処をさせるだけ。あの七姉妹達と同じような目を、ね」
次回、新章予定