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俺を殺せる者はいるか!  作者: Tkayuki 冬至
第二章 狙われた女神の分身体達《ヒロイン達》
31/47

九十九篝は、奴隷を購入する

衝撃的な展開、になるかもしれないし、ならないかもしれない。



【悲報】:風俗街No1風俗嬢ツバキが引退する。


泣けるわ、マジで。


うわぁんっ!


まさかの、まさかのツバキが辞めるとか聞いてねぇよぉ。


何時もの風俗店のオーナーに聞いたら、ツバキは既に店から出ていったと。その理由は、ツバキに男が出来て、その男の元へ行ってしまったんだとのことでした。


そっかぁ……男かぁ。


泣けるなぁ……。


もう、ツバキを抱けないとか───マジか。


ショックが大きすぎだけど────ま、ツバキが幸せになれるなら、全然OKです。


幸せにしてくれよぉ、ツバキの男ぉ!


ツバキも何かひと言言ってくれたらいいのにね。ツバキを相手にしてあれから一週間。来てみたらそれで話題持ち切り。ほんと、ショックよショック……。


……まぁ、俺なんかと一緒になるよりかはいいだろ。



「にゃぁん♪」



そしてこの一週間で何かがあっと言えば、家に黒猫が住み着いた事だろうか。ベランダに住んでいたんだが……何時もそこでいるので部屋に入らせたんだ。そしたらメチャなついてくるし……。最初は素っ気ない態度で、俺は黒猫には興味ありませんよーっ的な感じで対応してたんだ。けど、少しお腹が膨れているのを発見してしまって、な。随分なついているので、興味本位───と、いうより、前世の夢だった猫を飼えるのでは、ってことで飼う事を決めた。で、その為にまず最初にモンスター専門病院に行ってきたのだが───やはり、この黒猫はお腹に子供を宿していたのだ。


だが、何時俺が死ぬかわからない。その時が来るまでは、前世で叶えられなかった夢を……。そして俺が居なくなっても、代わりにこの黒猫を見てくれる人も捜さなければな。


これは、自分勝手な自己満足だ。


無責任な飼い主だと思われても構わない。


あぁ、でも。


少し、恐れる自分がいる。


何時かこんな生活をしていて、何か自分にとって大切なものが出来てしまえば───死ぬのを、拒絶してしまうかもしれない。そんな馬鹿な、愚かな事を脳裏に過る、かつての大切だった人の姿を思い出しながらも考えてしまう。だが、もうその時の記憶は、死ぬ度に薄れるような、消えていく様な感覚は何とも言えぬ消失感もある。



「にゃぉっ♪」


「……ういやつめ」



本当にめちゃくちゃなついてるよな、この黒猫。


家にいると、服の中でよく籠るし。


あ、そうそう。


ギャル達、確か今日泊まりに来るんだったな。やっぱり、二年の後半は忙しいみたい。日本で言うと、この時期の二年は就活をしているんだ。貴族であれば、勉学メインからのお見合い話である。


因みにこの国の騎士団入隊を希望している者は、騎士団の訓練と共にそこでの勉学を泊まり込みでやっていくのだ。いやぁ、懐かしい。


すると黒猫は俺が着ているパーカーの中からひょっこりと窓の外を眺めている。……ぁ、因みに名前はまだ着けてない。



「にゃぉ?」


「……外、歩くか?」


「にゃんっ♪」



服の中から顔を出して俺の顔を見ながら嬉しそうに鳴く黒猫。もう、黒猫でいいや。今日はバイトとか何もないし。あったとしても明日にヴァッカスの元に行って『戒めの鎧ネメシス』を貰い受ける位。俺はそれくらいだったが、ヴァッカスは色々と対処に大変だったらしい。因みに女軍人さん、リュテーさんは相変わらずである。特に進歩はない。


さぁて、少し外をぷらぷらするかーっ!




▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼




……で、外に出てみたのはいいんだけどもさ。



「にゃぉあんっ♪」


「……機嫌が良いな、黒猫よ」



シャツの中から顔を出して鼻歌を唄いそうな程御機嫌な黒猫さん。いや、可愛いよ?可愛いんだよ?可愛いから、もう正義なんだよ?だから、黒猫さんの事を悪いようにする奴等、全員処刑する。そもそもモンスターとは言え、妊婦さんだからな。


じゃ、なくて───。



「あ、あのっ!その猫さん、触っても宜しいでしょうか?」


「ねぇ、お姉さんも触らせて」


「こんなおばさんだけど……いいかしら?」



……何だろう。


特に最後の人妻とは思えない20代前半の人よ。何か意味合い違くないか?え、普通?そう、なのか?


にしても、黒猫さんは人気である。だが、何故女性ばっかだ。明らかに俺より年下の様な見た目だが、お胸は立派な少女に、大人で危ない感じのお姉さん。そして先も述べたが、美人な人妻。雌なのに女性にモテんだな、黒猫さん。


で、「構わん」と言えば問答無用に恐る恐る触る女性陣。それほど撫でたいのか身体を密着させるのはやめれ。昔の俺なら「えっ、この人達ボクに興味とかあるんじゃ!?」とか思っちゃうから。だって、馬鹿だし。


黒猫さんと言えば最初は仕方がなく撫でられていたのだが、ものの数分で俺の服の中に避難してしまう。まあ、そりゃぁ嫌か。まっいいか、と思った俺を許せ。妊婦だし、好き勝手に撫でられるのは嫌だもんね。



「これ以上は止せ」



とりあえず、服の中に避難した黒猫だが……女性陣は黒猫さんを狙って俺の服の中まで手を伸ばしてくる。なんだい、そこまで黒猫さんを撫でたいとか……魔性の猫だねぇ、チミィ。さすがに黒猫さんを探すために身体をべたべたされるのはそろそろ嫌なので止めさせたさ。正直、全員レベル高いから反吐が出るとかはないから。むしろごほうび?


だが、人妻よ、オメーは駄目だ。


夫と子供、家族がいるならそこを守れ。夫と子供を愛せ。夫と子供を想え。


ただそれだけで、いい。いや、多いし大変か。


……はぁ、なーんか。めちゃくちゃ弱くなってね、メンタル。なんか少しでもそういう関係(・・・・・・)に触れると駄目になるなぁ。んー、今までゲーム感覚だったけど……何故、か。七姉妹女神と、その分身体があの七人のヒロイン達。しかも今までの物語、そしてヒロインが俺を愛してくれていたのも作り物、と来たらまあ、ねぇ?


なーんか、むやむや?モヤモヤする。なんだろーね?


……もっと、狂った方が楽になるんでしょうか。


そうすれば、何もかも、何もかも……面白おかしく考えて、頭の中をシリアルに……。



「にゃん?」


「何でもない。お前は大丈夫か」


「うにゃんっ♪」


「……全く、ういやつめ」



うん、黒猫さん見たら元気出た。


だが……考えなければなるまい。


今回は特殊だ。


女神と言う存在が現れた。


それはわかっている。しかし、何故俺を育てたのか。けれども、仮の話七姉妹の女神全員を相手にするのはまだいい。だが、やはり……。



「ヒノカグヅチ」


《何だ、我妻よ》


「ぅっ!?」



……ぁ、起きてたのね?


今まで、全然起きてないからどうせ……なんて思っていたけど、今は間が悪いな。このまま話せば独り言している馬鹿な奴じゃぁん?



「後で聞きたいことがある」


《ふむ、仕方があるまいな》



何様だよ、こいつ。いや、俺も中々何様な態度を取ってるけどね?帰ってから隅から隅まで聞かせてもらうぞ、ヒノカグヅチ。お前一応神なのだから、多少の事情は知っているだろう。


さぁて、あまり外に出続けるのは黒猫にもあまりよろしくないかもしれない。まぁ、俺の服の中で籠っているから大丈夫だとは思うけど。


家に戻ろうとした矢先に、奴隷の館が目に付いた。


奴隷、か……。


興味が無い訳ではない。噂ではここの奴隷は綺麗な女性達が売られているんだとか。勿論、犯罪奴隷が殆どだけどね。だが、犯罪奴隷だけではなく何かしらの事情があってそういう奴隷になった者もいるらしい。


男なら労働。女なら使用人か性奴隷。


犯罪奴隷は、まぁ仕方がないとは言え、犯罪もしていなく事情によってそういう風になるのは可哀想にも感じてしまう。犯罪奴隷にも事情ってのがあるからなぁ。


特に買うつもりも全く無いが、俺個人的にどんな犯罪奴隷が売られているのか、見てみよう。



「これはこれは、『奴隷の館』へようこそいらっしゃいました。本日はご購入で?」


「見に来ただけだ」


「左様で御座いますか。どうぞ、ごゆっくり御覧くださいませ」



そう支配人っぽいちょび髭ぽっちゃりな男は他に来ていた客の方へ行ってしまう。まぁ、見るのは自由みたいなので見て回ろうか。黒猫さんも顔を覗かせて見えていたが、何にも言わないところからして問題なしと見た。



「にゃ?」


「うむ、参ろうか」



奴隷って確か、奴隷の首輪されてるんだっけ?しかも色によって危険度が違うらしい。何故色が違うのか、というのは奴隷の首輪による効力だ。色によって奴隷の身体を封じたり、魔力や能力を封印する魔法等が施されている。具体的にどんな色がどんなんなのかは忘れたけど。



「ふむ……」



確かに、美男美女揃いだ。


そういえば、行き付けのあの店のオーナー曰く他の風俗店では犯罪奴隷を風俗嬢にしているとか。だが、給料は出るし休みもあるので犯罪奴隷からすれば頑張りによって成果出やすいのでいいらしいとか?実際はわからんけども。



「ぐるるるぅ……」



おや?


一番奥、つまり危険度が高い檻から唸り声が……。


幼くも、獣の様な声。なんだなんだ?



「ぅがっ!」



近付いてみれば、手枷を付けられそこから鎖によって身動きが制限された幼女がいた。しかも獣人で、黒い獅子の幼女。可哀想なことに、右腕の無い隻腕だ。身体中傷だらけで、恐らく酷いことをされたのだろうと直ぐに想像が出来る。その瞳は、俺に対して───というより、近くに通りかかった人全てに対して酷く憎しみを持ち、殺意のあるもの。頬は涙を流した痕も残っていた。


今までの、というよりこの幼女だけだ。こんなに反抗気味で、殺意バリバリなの。この子だけ、ヤバい雰囲気感じるな。親に捨てられたのか、或いは連れ去られたのか……。



「お、お客様。その奴隷を御所望で?」


「……なんだ、この奴隷は」



慌てた様子でやってきたちょび髭の男は、この幼女について話す。



「実は……その奴隷。貴族様から強引に押し付けられたのです」


「ほぅ?」


「どうやらこの奴隷、かなり酷い事をされた様でして……。奴隷も奴隷で、売られた貴族様の御子息との行為中に陰部を食い千切ったらしく……それで」


「……だから、傷だらけ、と」


「何度もその奴隷を殺そうとしたらしいのです。ですが、何度も剣を刺しても強靭な生命力で中々死なず……途方に暮れた後に、この奴隷の館に押し付けたのです」


「しかし、売れるのか?」


「ええ、売れてはいます。ですが、強引に行為に及んで、その時に抵抗されて怪我をされる方が頻出していまして……一日で三度も買われては返され、と」


「こんな餓鬼に……馬鹿なことを」


「えぇ、全くです。しかし、犯罪奴隷(・・・・)である以上、仕方がないのです」


「……何か犯罪を起こしたのか」


「それが……恐らく、貴族に内通する盗賊によって誘拐されたのでは、と。本来、その可能性があれば事情聴取をして奴隷から解放出来るのですが……あれでは」


「ふむ」



店側からしてあの幼女を奴隷から解放したいのだろう。そして犯罪を犯していないのにも関わらず、犯罪奴隷に落とされたとすれば解放の余地はある。が、その幼女は現在鎖が悲鳴を上げる程の力で、この場にいる人を確実に皆殺しにするだろう。そして話をする気もないようだから、支配人の願いは叶わないのだろう。


しかし、幼い体を様々なクソ野郎共に犯されても決して折れない強い意思は素直に称賛をしよう。そしてその首輪は───最高位の拘束魔法か、それとも呪いが施されている。それさえなければこの場にいる人を皆殺し出来る程、その脅威はあるな。だが、悲しいかな。恐らくそれでは俺を殺すことは出来ない。



「うがぁっ!!!」



「なぁぁっ!?」


「おぃっ!鎖が壊れたぞ!?」


「はやくはなれろ!?」



おっと、どうやら自力で鎖を引きちぎったか。中々の腕力じゃないか。多少はやるではないか!



「お客様!そこから───」


「構わん」



幼女は俺に向かって突撃してくる。両手でその檻を強引にねじ曲げて、俺を殺しに来たのだ。明確な殺気を持って。


───素晴らしい。


実に、素晴らしい。


まるで、この暴風の様にぶつけられる殺気に、俺は初心に戻った様だ。あぁ、馬鹿め。何を考えていのだ、九十九篝。己の目的を、忘れてはならぬ。


全て女神に仕組まれていた?だからどうした。俺の目的はただ一つ、全身全霊で戦い、殺し合って、その中で死ぬことだろうがッ!!!


はは、


ふ、ふははははははは!!!



「にんげんっ、ころ────ぅがぁっ!?」


「無謀と知りながらも、俺を殺そうとするその執念。素晴らしい。が……圧倒的に足りないな。純粋に力が」



俺は片手で、その幼女の首を鷲掴みをする。幼女は苦しみながらも左手で一矢報いようとするが、俺はそのまま地面に叩き込んだ。



「がっ!?」



あ?


最低?


幼女に対して、酷いだと?


殺しに来た相手に、女子供等関係あるのか?


殺しに来るのならば、それなりの対応をするまでだ。


しかし、俺を殺せる逸材なのだがな、この幼女。気絶しかかっているが、未だに意識はある。あと数年すれば俺と同等……それよりも、という可能性が……!


さぁて、良いことを思い付いた。



「支配人」


「はっ、はいぃっ!?」


「この奴隷、この俺が貰い受けよう。幾らだ?」


「ほ、本当に、ご購入を───」


「くどいぞ、幾らだ」


「───わっ、わかりました!」



ふん。


どんな奴隷でも、商品は商品。通常より少し安いが、まあいい。無事購入出来ただけでも良いとしよう。


この幼女を、育てて俺を殺せる位に鍛えて鍛えまくるか。その為には、今は無いその右腕の用意をしなければならない。仕方あるまい。


かつて幾つもの武器を作り上げた神出鬼没の伝説の鍛治師"ヘファイストス"を探すか。或いは、素材を集めて俺が作るしかない。あぁ、これはこれで退屈しのぎに出来るではないか。



「にゃん」



……うん、とりあえず帰るかな。



黒猫さんの正体、勿論わかりましたよね?



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[一言] ネメアちゃんしっかり躾しないとね!!ぐへへ
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