九十九篝は、監獄へ向かう
新章突入
はーろーえぶりわんっ♪
九十九篝ですことよーっと!
【祝】俺、男に戻ったZE!
しかもヤってる途中になっ!
焦ったZEっ!
とりあえず、現在監獄に向かってまーす♪
……え、お前何かしたのかって?
いやぁね?
実は昨日、この国の王様に呼ばれてね。勿論非公式なんだけど。要するに起こった災害(嘘)の話。『火の神殿』は壊滅して、その経緯を話したんだ。ヴァッカスが話したんだろうねぇ……しゃーないけど。
そして、その主犯としてあのグラマラスな女軍人さんを拘束して投獄されたのサ!他の野郎共は殺っちゃったけどネ!情報を聞き出すにもその女軍人さんしかいないけど、当の本人は中々口を割らないらしい。で、その女軍人さんの祖国は自分達は知らない。その女、独断の行動であり我等国は一切関係ない、と。
完全に裏切られたのかね?それを言っても女軍人さんは一切喋ることはなかったそうだ。
で、そこで俺は言ったんだ。
女軍人の尋問、それ手伝わせてってね!
最初は渋っていたけど、監獄官と共に取調室等を行動してねってことで話は終わった。多少は期待されているみたいだけど、手はあるんだよね、手は。
それが────。
「おはようございます、『リュテー』さん」
「……また来たのか」
女になって、女軍人リュテーのお世話係りになってます。自由に女に変身できる様になったんだぜ!実は、男になると火が使えなくなるんだよなー。何でだろ?
ま、いいけどな。
とりあえず、数日前から女になってリュテーのお世話をしているのには理由がある。相手が男だと絶対警戒するから、なら同性で少しずつ仲良くなればいいのでは?と考えたのだ。そして王様には無事に情報を吐けば、命だけは助かる。けど、奴隷落ちなのは確定だけどね。奴隷って、基本犯罪者のみ。或いは何かしら事情のある子供かな。
王様に、情報を聞き出せば俺の奴隷にしていーい?(本当はそんな風に言ってない)て頼み込んでオッケーが出たから、ヤル気増増である♪勿論、そういう……ね?
さーてさて、リュテーさんは何時も通り両手を鎖に繋がれて、お胸が厭らしく強調されてえろいでございます。ごち、です♪
おーっとっとっ♪そんなエッチな風な目は気付かれやすいから、気を付けて、気を付けてっと。
お世話と言っても、やることは身の回りの掃除とか食事を食べさせるとか位。因みに国を滅ぼしかけたリュテーは危険極まりない犯罪者なので独房である。加えて鎖を繋げられて、身動きが取れないので下手な事は出来ないだろう。
「あっ、また身体に傷……拷問されたのですね」
「……」
無論、俺以外にも監獄官や尋問官によって尋問あるのは仕方がない。エロい事は……され、されてる、のか?……いや、それはないだろう。だって、女の犯罪者には女の監獄官と尋問官が担当するんだから……たぶん、大丈夫な筈。
「じゃぁ……髪、洗いましょうか」
「………………いら───」
「はいはいっ、髪洗いましょうね~♪」
「……好きにすればいい」
最初は滅茶苦茶拒絶していたけど、ほぼ無理矢理強引にやってきたから何を言っても無駄だと判断したんだろう。初めて会った時、くっ、ころ状態だったから大分マシにはなったんじゃない?
……どうやって、髪洗うかって?
美容室とかでやってる感じだよ。試しになってみたらリュテーさん、滅茶苦茶気持ち良さそうにしてたからね。その反応が一々ちょいエロい声を出すものだから、俺個人的にも中々くるものがあるんだよねぇ~♪
「……なぜ」
「どうしました?」
「なぜ、私にここまでする」
だって、お前を俺専属の奴隷にしたいから☆(ゲス顔)。
奴隷といっても、性的な方を要求します♪と、いうのは冗談で彼女から強いやつの情報を得られる可能性大だから。情報をさえ提供してくれれば、何とかして奴隷から解放しよっかなーなんて☆
そーんなこと言える筈がなく俺はニッコリ笑ってこう答えることにした。
「私がしたいから……じゃ、ダメですか……?」
「……」
あらまぁ、頬を赤く染めてそっぽ向かないでリュテーさん♪流石の女体化した九十九篝の笑顔は効果抜群か?やはり、プレイヤーがヒロインと勘違いする程の男の娘が、女の子になれば───そりゃ、可愛いもんねぇ♪
「ほら、行きましょっ」
「……あぁ」
俺はリュテーの腰に手を回して身体を密着しながらシャワー台のある場所へ向かう。監獄とは言え、週に一回女性限定で美容師が来るからね。その為の場所なんだけど……っと。
リュテーを座らせて、背凭れをシャワー台の方へ倒すのだが、その前に万が一の為、共に着いてきた女監視官さん二人がリュテーの手錠を椅子に固定して身動きが取れない状態となっている。ま、仕方がないけどね♪
「……っ」
「どうかしました?」
「なんでもない」
まあ無理もない。
だって、髪をお湯で濡らす為に胸をリュテーさんの顔に押し付けてるからな。それほど大きくは無いので、身体全体で押し付けてる感だから、少しは窮屈かも?でも、目のやり場に困りつつ、顔を真っ赤にさせてるリュテーさんの様子から大丈夫だろう。流石、女体化した俺。恐ろしいっ☆
「気持ちいいですか?」
「……まあまあ、だ」
「そうですかっ」
皆さんそろそろ思うでしょうが、何故リュテーだけこんな特別扱い?と思うでしょ?やっぱり希少な『五大属性』の水の能力を有する人ですからねぇ。少しでも可能性があるなら、この国の戦力にしたいのさ。要するに、殺すのは勿体無いから命取らない代わりに仲間にならない?ということ。こんな事が出来るのは、この国が強いからに他ならない。ま、うちの祖国は違う意味で論外なんだけど。
「リュテーさん、リュテーさんっ」
「……なんだ」
「ご・は・ん、作ってきましたっ♪」
髪を洗い、乾かした後は独房に戻って俺は手作り弁当を差し出す。無論、両手が使えないので俺が食べさせるんだけどなっ☆本当は毎日して、さっさと懐柔させたいのが山々だがバイトとか風俗があるから出来ないし。そもそもリュテー、彼女は堅物だ。中々口を割ろうとはしないから、まだまだかかるだろうね。むしろ望むところなんだけどっ♪
「はいっ、あーんっ」
「……ぁむ」
うむうむ♪
やはり美味しそうで何より。
まだ数日しか経っていないが、リュテーの好みはわかってきた。伊達に料理を食べさせてはないぞっ!初日は全く水も何も口にしなかったから強引に捩じ込んだっけ。
そして怒ったら食べるようになったな……。
この食べっぷりを見ていると、看守が言っていた通りここの食事してないな?全く、強者ならばもう少し食べる様にしなければ。まあ、警戒して毒とか自白剤とか入ってるかも、って考えてたら無理かな。大丈夫って証明する為に看守も一口食べたらいいのにね。
「……」
もちゅもちゅっとおかずを食べるリュテーは相変わらず目を反らしたまま。
……今度、熱々のおでん持ってきてやろうかな?それとも俺大好物な麻婆豆腐がいいかなー?熱々のおでんを芸人の様に唇に当てたり、激辛麻婆豆腐を食べさせてひーひー言わせるの……見てると楽しそうなんだよなぁ。今度、罰ゲームか何かでギャル達にやってみよ♪
「よく食べましたねー♪」
「……」
どうしても唇とか口回りにおかずのタレとか付いちゃうよね、手が使えないと。だから離乳食を食べた赤ちゃんの様で……ぁ、泣けてくる。
「どうした」
「あっ、いぇっ!少し思い出して……」
ほぼ託卵だったけどなぁぁあ!!!
ちきしょーーー泣けるゼ!
何リュテーに気を使われてるんだよ、マジで。
思ったよりも、意外とショックだったみたい……。うへぇぇ……全部計画とか、どんだけ振り回されたんだよ、俺。それについても皇に直接訪ねようとしたけど、何処に行ったか全然わからないし。まだ皇はいいけど、他のヒロインがなぁ……。
……うむむっ、気持ち切り替えよう。
とりあえず、リュテーだ。
て言っても、やることはほぼないんだよねぇ。
ご飯も髪も洗った。一応俺は身の回りの掃除をするしかないが会話がねぇ……。直ぐに仲良くなれるとは思ってないし、まだ数ヵ月は間違いなく掛かる。実は期限が決められていて、あと半年なんだよなぁ。詰んでるかも、これ。
どうするか……と考えた末、リュテーに好き好きアピールをしたり誘惑紛いなことをしているけど。女性からして、同性から積極的なアプローチってどうなんだろ?多分……だけど、女性って他の同性が異性に熱烈なアピールとかぶりっ子をしていると嫌がる女性いるとは思うけど、逆にそのアプローチが自分に来ると……イケるんじゃないっかなーっと考えていたりする。上手くいくかな?
夢のみ過ぎかね?
「お前……」
「はい?」
「名は」
……どうしよう。
名前……名前か。
女体化した時の名前って全然考えていなかった。
うーん……えーっと……。
あっ、そうだ!
「焔です」
【祝】女体化時は"焔"と決まりましたっ!
テキトーだけど、まあいいだろう。
リュテーさんは「焔……」と言った後、何事も無かったように目を閉じてしまう。
絶対言う気ないね、こりゃぁ。
うーん、今更だけどほんとに情報を吐いてくれるかな。最悪リュテーさんの祖国の強い人等さえ教えてくれれば万々歳なんだけども!多分居るんだよなー、大分前のループで、俺をヤった女。彼処の軍の強者共は色々の狂ってる奴が多いから楽しみなんだけどもね。
「おい」
「は、はいっ!ではリュテーさん」
「……あぁ」
看守に呼ばれて待合室に向かう俺。
時間も限られてるから、ムズいよね。
「どうだ、九十九様」
「相手は……」
「さあな。口を悪のもまだ時間がかかるだろう」
待合室にいた監獄官と監視官の女性二人に訪ねられるが、まだ数日しか経ってないから無理言わないで?女体化した姿から、元の男に戻るのだが……それほど差異は無いんだよな体型とか。無論胸と下はあるけどね☆
服装も何処ぞの修道士っぽい奴だからどっちに性別を変えても見た目は……変わるな、大分。雰囲気とか特に。因みにリュテーさん、男の時の俺とは気付いていない様子。まあ、胸だな胸。あと、自分なりに仏頂面を緩めてほんわかモードにしてるから。加えて髪型もか。
「明日だ」
「了解した」
「畏まりました」
ま、何とかなればいいけどー!
とりあ、風俗にレッツゴー♪
俺は監獄を後にしたのだが、この時、魔の手が伸びていることを知らなかった。
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「女神達が、姿を現したのぅ」
真っ赤な血のような赤き紅に満ちた空間のそこに、一人の女性が身体をくねらせて妖艶な笑みを浮かべる。
その女性は、上半身だけならこの世で最も美しいと評価されるだろうが、下半身なモンスターを締め上げられる程長く、そして太い大蛇の様な尻尾が王座の下から髑髏を巻くように蠢いている。
「おぉっ母よ!漸くなのですねっ!」「漸く、封印された父をこの世から解き放つ事が出来るッ!!!」「そしてっ、あの憎き女神達を───」
「落ち着け」「弟よ」
興奮気味に三頭の炎を纏う狼に双頭の黒犬が制止させる。頭が3つ2つ合ったとしても意識は統一されているらしい。そんな様子を眺めていた魅惑の蛇女は、三頭の狼同様に歓喜に沸く異形の者達は他に四体もいた。
百の頭を持つ枯れ葉の様な焦げ茶色の巨竜。
幾つもの獣を組み合わせられた獅子の顔を有する獣。
九つの頭を持つ、毒々しい棘を生やした水蛇。
刺々しく、鋭く尖った嘴と爪を持つ鷲。
それぞれが、その巨体を揺らし、鳴き声を上げて、咆哮を放っていた。
母と呼ばれた蛇女は、王座に座ったままかつてこの世の主神を下した強大な存在の妻として高らかに宣言したのだ。
「あの女神達を捕らえ、私の夫を!!!貴方達の父を封印から解き放ちッ、次こそは───この世界を我々の物にッ!!!」
子供達は母に賛同する様に咆哮する。
そして母である蛇女は、ある者を呼び出した。
「ネメア」
「はい。おかあたま」
現れたのは、黒き獅子の少女。何処か獰猛さを感じつつも、幼い姿から獣人の女の子にしか見えないだろう。しかし、モンスターからすれば今この場にいる化物共と殆ど遜色無い程の狂暴さである。
「わかっているな?あの忌々しい女神達の分身体を捕らえてこい」
「わかりまちた」
「場所は───『トラジェディア王国』。私の目では、賢竜を連れた女だ」