表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/47

九十九篝は風俗へ、イク!

おはこんばんわー。


感想・評価ありがとうございますm(__)m


風俗街。


そこは男だけではなく、女も心身ともに欲を満たし性を発散させる憩の場。性というものは基本的に厭らしいイメージが強いだろうが、それは生理現象だ。人が生きるため、子孫を残す為の行為に不純や不潔・厭らしい等あるのだろうか。我々人類───いや、全ての生命の殆どがこの性行為によって誕生したかけがえのない命の誕生の行為。これを不純・不潔・厭らしい、と断言するならばその行為によって産まれた我々も不純・不潔・厭らしい存在と言えてしまう。


しかし、そう思われても仕方がない実態はあるにはある。だが、それは人の考え方によるものも多数あるのだ。


そんな風俗街は意外とこの世界では癒しの場とされており、必要な空間として認知されている。だからこそ、人々の行き交いは特に夜に多い。けれども、治安はどの地区よりも厳重である。それは貴族達も利用するからであり、普通の地区よりも安全とも言えるだろう。


そして、今日。


高級風俗店に大きな仕事が舞い込んできた。



「はいは~いっ!ウチ一人でヤりまーすっ」



一人、店内で15前後の新人である顔黒のギャルが控室という化粧室で挙手していた。服装も胸や太股が酷く露になっており、少しでも風が吹けば下着は確実に見えるドレスを着ていた。


彼女の様に新人の女性達は多くいたが、彼女以外全員不安そうな表情である。そしてその中の一人が顔黒ギャルに止めさせようとするのだ。



「止めといたほうが……」


「何言ってんのさ。60万だよ、60万!」



本日やってきた客は100万を出したのだ。


本来、一人相手するのに大体10~20万程が相場である。しかし、相手によっては設定されている金額よりも倍に出す客もいるのだ。基本的に一回相手で10万に対し6万の稼ぎ。大体七割風俗嬢の懐に入るのだ。しかしながら馬鹿げた大金を出すのは大抵この店だけでなく、他店の超人気風俗嬢位だ。だからこそ、新人がこの様な大金を得られる機会は滅多いない。


しかし、今回の場合はどの風俗店でも予約制が基本。当日にやって来て指名するのは新人の子達のみ。人気であれば人気である程、大抵は予約で一杯だ。時間が合えば良いが、今回はその客の求めていた風俗嬢は全員他の男とお相手中である。しかも店の決まりとして一度相手をすれば必ず数時間は休憩時間を儲けられるのだ。相手をした風俗嬢自身の健康のチェックやメンタルケア等も行われているので、そのまま続行は出来ない決まりだ。これは国の法律でも決められているので、そこは店側としても違反を起こすのはできない。



「……本当に、いいのかしらん?」



この店のオーナー、2mを越す筋肉マッチョなサングラスの厳つい男性はその顔黒ギャルに確認を取る。事前にそのお客様からは『この際、誰でもよい』・『迷惑料を含めて出そう』ということで何時もより二倍の値段を出したのだ。本当ならば、一人ではなく三人程で相手をしてほしいところ。最初は皆、喜んで挙手していたが、相手が底無しなので覚悟してほしいと神妙な顔つきで言ったら顔黒ギャル以外恐れたのか手を下げたのだ。



「大丈夫っしょ!ウチ、何度もお客さんを満足させてるからさっ!」


「彼氏さんの為、とは言ってもね?正直お勧めはしないわ。彼、ヤバいから」



顔黒ギャルが大金を稼ごうとしているのには理由がある。彼女の彼氏だ。その彼氏は働かない野郎で、彼女は生活の為に風俗嬢となった。しかも彼氏はそれを公認しており、彼氏は己の夢の為に色々と頑張っているんだとか。それを聞いたオーナーは怒り心頭であるが、確かにそこらで働くよりかは稼げる。そして何より彼女自身の生活の為に致し方がなく働かせているのだ。もし、この世界が日本であれば働かせていないのだが……。オーナーもオーナーでそこはかとなくこの様な残念な子に他の仕事を紹介させたりしていたりするのだ。



「……わかった。貴女がそこまで言うのなら、止める訳にはいかないわ」


「は~いっ♪」


「(……大丈夫かしら、本当に)」



切実にそう思うオーナーだが、顔黒ギャルはヤル気満々である。



「(60万とか……今度、彼氏と旅行だよねぇ♪)」



彼女は控室からシャワー室に向かい、そこから身体を清める。そして診察室へ向かった時にバイタルチェックを行い、性病が無いか等もしっかり調べられる。これは相手側も男性用よ診察室で同じく行われているのだ。


それを終えスタッフから渡された薬を飲み、避妊具等を持たされて指定の部屋へ向かう。指定されたのは人気風俗嬢でしか入れぬデラックスルーム。デラックスルームは高級ホテルを思わせる豪華で広々とした部屋であり、キングベッドにガラス張りのシャワー室も完備されている。泊まるだけでも十分でもあるのだ。


部屋のキングベッドに腰を掛ける者が一人。


彼こそが100万もの大金を出した人物だ。


顔黒ギャルはそんな彼をお気に入りになってもらえる様に甘い猫声で話しかけた。



「お待たせしました~♪」


「来たか」



後ろ姿で獣人の少年だと思っていた顔黒ギャルだったが、素顔を見た瞬間思わず呆けた声を出してしまいそうになる。鮮やかな金髪の髪にキリリとした鋭くも愛らしいぱっちりした目。そして自分よりも若そうな容姿は、顔黒ギャルとは真逆の肌白清楚に感じる少女の様な狐の子だ。しかし、その言動や態度、そして黒スーツは中々様になっていた。もし、彼が娼年であれば容姿だけで絶大な人気を誇っていただろう程。


そういう趣味だったらイチコロであったが、顔黒ギャルからすれば想像とは全く違う容姿に拍子抜けであった。



「(ヤバいっていうからどんなガキかと思えば……何よ、こんな細っそい奴なんて、カモじゃない♪)」



完全になめきっていた。


一応客は客なので、マニュアル通りに彼の近くまで行き自己紹介をする。



「はじめましてぇ♪ウチは───」


「自己紹介など要らん。一人だけか?」


「ソーですよ?ウチ一人であなたを満足させますから~」


「ほぅ……期待させてもらおうか」


「(何よコイツ。まあいっか、今からコイツを骨抜きにして、ウチの虜にしてやる♪)」



この偉そうな少年が快楽に堕ちる瞬間を想像しながら、顔黒ギャルは風俗嬢として仕事を始めるのであった。




▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼




俺は何とも言えぬ朝を迎えた。


何と言うか……物足りない感じ?


夜から朝までノンストップでハッスルしたんだけど……やっぱり、何時もの風俗嬢じゃないとダメだなぁ。反応とか全然ないし、呻いているだけだから……まあ、ヤるのはちゃんとさっきまでヤったぜ?


服は風俗に行くためだけにオーダーメイドで作ったんだよ。約5万位。それなりの身嗜みはしないといけないからなぁ。


さて、服を着替えて家に帰宅するか。


朝帰りは基本風俗に行けば当たり前だからな。次回からはちゃんと何時もの風俗嬢さんを御指名しないと、満足できぬぞ。



「あらんっ?」


「オーナーか」



帰ろうとして受付に行くとオネェ───ではなく、この店のオーナーがいた。この人、何処かの有名ハリウッドに居そうなサングラス筋肉モリモリ、ナイガイな人だ。しかし、残念ながら心は女である。



「九十九ちゃん……あの子は」


「……すまん。部屋で伸びてる」


「そう、なるわよねぇ……(良い機会だったかしらね)」


「もう帰るが……あの女の介抱をしてやれ」



俺は少し罪悪感もあったが、これも彼女の商売だ。一人で大丈夫と言い切るから期待していたが……拍子抜け。



「わかったわん」


「次回からは、もう少しマシなのを頼む」


「勿論よ。でも、予約は必ずね?」


「わかっている。今日はすまぬな、オーナー」


「いいのよ。何時も貴方には感謝してるんだから」



まあ一度に50万出せば、か。


前世では高いかどうかはわからないが、この世界では桁外れらしい。だからこそ、俺は相手してくれる感謝も込めて相場よりも高い値段で払っているのだ。……本当のところ、前世ではどうなんだろ?



「あ~っ!つーちゃんじゃんっ!」


「何で予約取らねーんだよ、旦那」


「あらあらまあまあ……あの子ったら無茶したのね」



後ろから声を掛けられた、と思い振り替えれば人気風俗嬢の女性三人。ダークエルフ・ミノタウロス・天使の女性陣。何時もは彼女等三人に相手してもらってたから……ほんと、残念。特にミノタウロスの彼女とはかなり肉食なので、中々身体の相性が良いので一番のお気に入りだ。胸もでかいからな♪



「おい旦那♪来週予定空けてるから、予約入れといてやろーか?」


「それは、素直に嬉しいな。楽しみにしておこう」


「やりぃっ♪」



さて、ここで来週の予定が入りました☆


やったゼ♪


今日はバイトも無いし……採取でもしていくか?


最近良い採掘場所も見つけたし。


一度家に帰らないとな♪




▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼




「……あ、れ?」



どれ程眠っていたのだろうか。


私はいつの間にか仮眠室のベッドで横になっていた。


確か……あの狐の少年相手に、ウチは……。



「やっと目覚めたか、新人」


「せん、ぱい……」



横にミノタウロスの先輩が不機嫌そうな表情をしてウチを見下ろしていた。……あぁ、そうだ。ウチは途中で気絶したんだ。



「調子乗るからだよ、ばーか」


「ごめん、なさい……」


「本当だぜ。見送りも出来ねぇなんて、普通なら怒るぜ?」



お客様を部屋でお迎えして、店前までお見送りするのが役目。それを出来なかったウチは、未熟者以外何者でもない。先輩からはあのお客様も満足に出来なかったと苦言を呈していた。


あ……そっか。


確かに、満足はしていなかっただろう。あの反応では。それでも、ウチは十分に満足してしまったのだ。お金は確かに稼げたけど……ウチ自身の商売としては大失敗。


悔しい、なぁ。



「調子乗るからだ」


「はい……」



それ以外言えない。


自信があった技術も全て無意味だった。むしろ逆にウチが彼の技術の虜になってしまう。本当にどっちが奉仕しているかわからない。


……本当に、気持ち良かったなぁ。



「もう止めときな。アイツはまだはやい」


「……先輩」


「なんだよ」


「ウチ、今度は彼に……ちゃんと、奉仕したい、です」



却下される覚悟で先輩にお願いする。


ウチ自身、これじゃダメだと思った。


こんなに楽に稼げると、完全に舐めていた。だからこそ、次は彼が満足できる様に、奉仕したい。───いや、違う。また彼とヤりたいんだ。もう身体に彼のものが深く刻まれている。だから、もう一度だけ。もう一度だけ……。



「んなの、無理に───」



「ええんちゃう?」



「!ツバキさん!?」


「!」



この店で……いや、この風俗街の中で最も不動の人気を誇るNo1風俗嬢『ツバキ』さん。新人であるウチなんかが話すことなど出来ない存在だ。


ツバキさんは夜を思わせるおかっぱの黒髪に、花魁の黒き着物を纏ってきた。何十年前からいる古株なのだが、容姿はウチと同じ15歳位しか見えない。種族は猫の獣人らしいが、耳と尻尾は何時も隠していると聞かされている。


ツバキさんは煙管を片手で吸い、口からふーっと吐くとウチの方を面白い玩具を見つけた様に妖艶の笑みで見下ろしてきた。



「あんた、わっちの事知ってる?」


「ツバキ、さん……」


「なら話は早いわぁ。来週、わっちも彼の相手に参加するさかいにあんたも来たらエエわ」


「つ、ツバキさん!?」


「安心しい。彼に相応しくあんたの身体に教えたるさかいに……覚悟があるんやったら、やけどなぁ」



ツバキさんがウチを見定める様な瞳で除き込む。


もし、この手を取ればウチは彼氏の元には戻れない。


けれども、よくよく考えてみれば何故ウチは働かないあの男の為に身体を売っていたのだろうか。恋は盲目、とは言うがウチはそれと同じなのだろう。何をするでもなく、ウチのアパートに寄生するだけ。夢に向かって何かをする訳でもなく、ただテレビやゲームにネットをしているだけだ。そんな男に毎月、ウチが稼いだ半分も渡しているのは今更ながらバカバカらしくなってくる。今になって、正気に戻った感覚だ。


それに、もうウチは何十人もの男と相手をしている。


今更、だ。


だからこそ、ウチは───────。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] あら、篝が無自覚に寝取っちゃった。まぁ、ろくでもない男から寝取ったようなものなので彼女にとっては良かったんでしょうが(笑) あと、篝はギャル、狼女、ビッチとか風俗嬢たちには大人気ですね。寝取…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ