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自尊心の欠落

 x2+y2=a2の実際には描いて見せることのできないほどの正確さを以て、人間を測り、タテに並べ、序列化することが可能になって久しい。そのようなことが広く行われるようになった1980年あたり、校内暴力が多発したことを私も記憶しているが、確かに絶対的に正確な数字の尺度で「あなたは100人中100位の成績です」というテストの結果を、何度も見せられ、刷り込まれる少年/少女、青年がいたら、自尊心が欠落するのは当然ではないか。京都大学の土井真一先生が市民向け講座で話していたことを思い出す。「残忍な犯罪を犯す子供の顕著な特徴は自尊心の欠落なんです」。世界を認識すること、ひいては他者を認識することは、自己の行為であり、自己の実績である。その認識の主体である自己の価値がほぼ無に等しい、と絶対的正確さを以て告げられ続けたら、自分が見ている社会も他者も、そして自分自身さえもが、無に等しく認識されるのはむしろ当然ではあるまいか。こうして価値を喪失した他者を傷つけてしまう青少年が多発する。


 人間の数字化の怖さは、前世紀的な優生学を異別すればわかることだが、この恐怖から、現代人も決して埒外にいるわけではないのである。


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