ルーズな高校
私は疲れていた。京都大学を受験するのだが、合格可能性は高いという模試の結果をすでに得てはいたものの、数学に手が出ない。国語・英語・日本史の配点が高く、これが得意だったので評価はよかったのだが、「京大オープン模試」など受けると、ほぼすべての回で1問も完答できていなかった。そのため、夜1時くらいまでは受験勉強していたのだが、多くの時間を数学に費やしていた(結局私は本番でも1問も完答できなかった。これを「ゼロ完」といい、文学部には結構ゼロ完がいた)。
それにしても、クラスの者の半分は私大文系志望で地学などやっている気持ちの余裕がないものだから、帰ってしまった。私自身、「センター近いし、天気図書くよりも今やるべきことは違うような気がするが」という違和感が強くした。川越高校はルーズではあったが、筋は通す。文部科学省の指導要領に沿って、すべての強化を忠実に生徒に教えていた。有名私立進学校のように、受験向けに時間をとって受験勉強を授業ではやらないし、文系/理系ともにすべての科目を教えていた。授業はセンター試験の前々日まである。そのセンター試験の前々日に、競技選択可能授業の体育が2時間あり、卓球を自由にやるという内容で、ダラダラと卓球をしながら、明後日センター試験を受ける級友と「オレたちこんなことしてていいのかな……」と言い合っていた。学校の側に受験への支援を頑強に拒む硬派な態度があったのである。