7話 火属性魔法の適正
「うげー、いつ見ても気持ち悪いなぁ。」
ルフツはビッグフロッグの生息地に到着すると、顔を歪めた。
ビッグフロッグは名前の通り大きなカエルで、大型犬ぐらいの大きさのアオガエルだ。
それが十数匹点在しており、カエルが苦手な人が見ると卒倒すること間違いなしの光景である。
「でも、狩りやすいから憎めないんだよなぁ。」
ビッグフロッグはカエルをただ大きくしたような魔物で、一番怖いのは舌による攻撃である。
舌の速度は並みの冒険者では補足できない速さで、舌を出されたら最後、体に舌を巻きつけられてしまう。
しかし、人間のサイズものは許容範囲外らしく、食べられることがない。
舌を巻きつけた時の衝撃や巻きつける圧力による骨折などで致命傷を負ってやられてしまうことが主な死因だ。
舌の攻撃については鎧を着ていれば基本的には致命傷を防げるため、準備さえ怠っていなければまずやられる相手ではない。
「ハイハイ、舌を巻きつけた後、食べないのに自分のところに引きつけちゃうんだよね。よいしょっと。」
舌を巻きつけられながらルフツは順調にビッグフロッグを狩っていく。
――――レベルが8に上がりました。
スキルポイントを1獲得しました。
火属性魔法の適正lv1を習得しました。
待ち望んでいたアナウンスが脳内に響く。
「え?火属性魔法の適正?」
ルフツは慌ててステータスのスキル欄を開く。
スキル 剣術lv1
危険察知lv1
調合lv2
火属性魔法の適正lv1
確かに、先ほどアナウンスで流れた火属性魔法の適正lv1がスキル欄に追加されている。
今までのレベルアップではなかった現象だ。
ルフツの認識では、レベルアップで得られるのは偶数のレベルに上がった際に貰えるスキルポイントのみ。
他に習得しているスキルはすべて今まで得たスキルポイントを使用して得たスキルだ。
ちなみに、調合のレベルについては2で正しい。
どうもスキルのレベルの考え方は、勉強に例えると全教科で考えれば20/100点だが、その内の1教科で見ると70/100点というようなものらしい。
全体のレベルと細分化した項目のレベルとで別々に評価されているようだ。
ルフツは、ポーション作りを極めても調合スキルは極まらないものだと結論付けている。
しかし、調合して作成できるアイテムの数は大量にあるはずなのだが、大量の中の1つであるポーションをlv7にしただけで、全体のレベルがlv2になっているため、推測の域を出ない。
話がそれたが、ルフツはレベルアップで新たに得た火属性魔法の適正lv1というスキルについて詳細を確認した。
――――火属性魔法の適正は火属性魔法を扱うために必要な適正を養うスキルです。
火属性魔法の適正がlv10になると火属性魔法lv1へと昇格し、火属性魔法を使用できるようになります。
「つまり、魔法を使えるようになるってことか!?」
ルフツは歓喜した。
実はルフツは今まで魔法を使えずにいた。
MPがないわけではないし、魔法も使えるようにしてもらっているはずであったため、魔法を使えないことに不満すら抱いていた。
しかし、使えるようにしてはもらったが、初めから魔法を覚えていて魔法を使えるとは言われていないため、詐欺じゃんと半ばあきらめていたのである。
「しかし、めんどくさいスキルだな。いきなり火属性魔法lv1じゃダメだったのか?」
もし、これがゲームだったとしたら評価を落とすこと間違いなし。
ある必要性を感じない。
プレイヤーからしてみれば無駄に手間を増やしているだけのようにしか感じられない。
しかし、奇妙な話で、これはゲームではない。
適正のない人間が適正を得るためのスキルを獲得し、その適正を得てから魔法を覚える。というのは納得できない話ではない。
問題はこのスキルのレベルをどうやってを上げるのか。
試しに火属性魔法の適正lv1を使用してみた。
すると、脳内にムービーが流れ出した。
――――
――――
――――
――――火属性魔法の適正がlv2に上がりました。
脳内ムービーの終了を告げるレベルアップのアナウンスが流れた。
ムービーの内容を要約すると、各属性に神と精霊が存在し、神が人に加護を与え、精霊が加護を持つものに力を与えると言った話だった。
もう少しバックボーンとかの話や映像があったが、割愛する。
それで、その神の加護とやらがイコールで魔法適正となるらしい。
長々としたムービーや説明から考えるに、このスキルはどうやら、火属性魔法についてのチュートリアルだったようだ。
帰宅後にでもやっておこうと思う。




