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最強ロリッ娘魔導士はそうして復讐を誓う  作者: はしばみ
第三劇 意味と起源と新世界
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イーストシティⅢ

「これ以上サボってるとまたマスターにドヤされるから戻るね」

慌てた様子で立ち上がる新凪。


「ああ、頑張って」

創が手をひらひらと振って返すと、「後で少し話があるから店に顔出してね」と言い残し仕事に戻っていった。



**********



「しかしご馳走して頂いてすみませんね」

店外に出るなり手織に頭をさげる。創は相変わらず一文無しだった。


「いえいえ、いつかしっかり耳を揃えて返していただく算段になっているので感謝されることではありませんよ」


「え?」


「まさかわたしが慈善事業をする人に見えましたか?」

そのとき確かに小さな身体からただならぬオーラを感じた。

思わず冷や汗が伝う。


「まさかいずれ何らかの形でお返しできればと思っていますよ」


「だったらよろしい」

手織が楽しそうに笑った。


同じような建物が並ぶ街並みの角を曲がった先で、箱を持った女の人が声高に呼びかけを行っている。

嫌な予感がした創は来た道を戻るように進言しようとしたが、ときは既に遅く呼び止められた後だった。


「ちょっとそこのキミ。今度この町で選挙があるのは知ってる?」


「はあ。知ってますよ。さらにいえば既に協力をさせて頂きましたよ」

名前を述べ、調べてもらうと取り乱した様子で箱を後ろに隠した。

どうやらご理解いただけたようだ。


「大丈夫なのかな?」


「さあ、どうでしょうね」

手織の返事はにべもない。

あまり深く考えてはいないのだろう。

そうは少し考えると、女性に向きなおって尋ねた。


「ねえ、一つ協力者の権利について聞きたいんだけど」


「はあ、なんでしょう?」


「俺たち立候補者に実は直接面識がないんだ。是非お会いして応援の言葉を伝えたいんだけど、選挙事務所まで案内してもらってもいいかな?」


「……いいけど、あたしは外せないから代わりの者を寄越すわね」


「よろしくお願いします」

恭しく創がさげると、ちょいちょいと肩を叩かれた。


「どういうつもりですか?」


「ただ純粋に興味があるだけだ。天宮のとこに戻るまで時間もあることだし」


「……好奇心が強いんですね」


「そんなんじゃないけど」

ただこの世界において能動的に行動する人に対して、目的というものを聞いてみたいというだけだ。


「ではこの山西に案内させるから」

メガネをかけた柔和な印象な男性が連れてこられ、自己紹介をした。




**********



「おーい、マスターが今日はあがっていいってよ」


「あ、はーい」

やっと解放されたという安堵のため息をつくと、新凪は手早く着替えて再びフロアに出た。ここで働くものには、暇な時間帯なら賄い飯は席で食べることを許されている。


「こっちこっち」

有根が呼びかけた先のテーブルには既に賄いが用意されていた。

「準備がいいですね」


「できる男だろう」


「……はあ」

適当に愛想笑いを浮かべ、手を合わせた。

マスターはマナーにもうるさい。


「そういえばいつ戻ってきたんです。さっきまで姿が見えませんでしたが」

一応年上なので普段は敬語で話す。


「ああ、野暮用」


「…………」

この男がこういう答えときをしたときは詳しく教えるつもりがないことは分かっていたのでそれ以上追求はしなかった。


「それにしても昼のあれ。知り合いだったの?」


「あれ呼ばわりしないでください。一応仲間なんですから」


「仲間……ね。珍しいモノ言いをするもんだ」

減らず口がいちいち鬱陶しい男だった。


「そういや、あいつらもお上りさんだろ。なら検問も食らっただろうな」

最近、現れた都市部の境界地域で通行料を集める連中に絡まれることを通称「検問」と彼は呼んでいる。


「なんでも選挙費に充てるって話でしたよね」


「まったく強引な連中だぜ。下っ端があれじゃ、リーダーの格も知れてるってもんだ」


「それって例の立候補者のことですか?」

当選確実と巷の噂の今ちょっとした有名人だ。


「わたし顔見たことないんですよね。選挙ポスターもないし」


「作成中っていってやがるが、どうせ作る気もないんだろうな」

そんなものを作らずとも勝つ自信があるということだろうか。


「まあいい気になるのも勝手だろうがな、そんなことじゃ最後に突然のアクシデントにでもあうかもな」


うってかわって選挙事務所まえにて。


「なあ、山西さん。ここが確かにその事務所なんだよね」


「ええ……!」


「…………!」


創たちの目の前でそれは業火に包まれ、黒煙が天上に昇り上がっていくが如く立ち上っていた。

次回投稿予定日は6月6日(水)です。

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