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最強ロリッ娘魔導士はそうして復讐を誓う  作者: はしばみ
第三劇 意味と起源と新世界
12/18

教師のいない学校Ⅲ

「教師のいない学校」は今回がラストです。

僕も高校生以降になってから、牛乳を飲まなくなりました。

ロビーが乗ってきたのは先ほど創が運ばれてきた軽トラより少し大きくなった中型トラックだった。三人がグラウンドに降りてきた時にはちょうど荷を出している最中であった。


「決まった時間に必ず来るのよ」

対応をしている佳希から離れた位置で様子を見ていた創に話してきたのは水谷だ。


「一日三度。誰もいないときは教室に運んでくれるの」


「すげえ親切だな」

さながらデリバリーのバイトのようだ。というかこいつがいれば人間のバイト君は用無しになりそうだ。

人間の職が奪われまくる未来をぼーっと考えていると、佳希が手招きしてきた。


「え、なに俺の分もあるの?」

行ってみればトレーを渡され驚く創。


「この学校の配給分は、毎回十食分なんだ。ちなみに私たちは二人前食うぞ」

得意げに語った佳希は両手にトレーを持っていた。掌で落とさぬよううまくコントロールしている。


「創もしばらく食ってないだろう。二セット頂いたらどうかね?」

ふむ、とメニューを確認すべくトレーの上を覗き込む。

きな粉をまぶしたコッペパン。ししゃものフライが5つ。辛しあえ。キノコポタージュ。それとパックの牛乳。


「給食かよ」



**********



「なあ、メニューって選べないの?」

再び教室に戻り食事を始めた三人だった。日が暮れているので蛍光灯をつけている。


「なんだ不服か?」


「嫌いなものでもあったの?」

給食のメニューは人によっては結構好き嫌いが分かれる。創は給食だった小中学生の当時、あまり苦手としているものはなかったが。


「……ミルメークとか頼めないのかな」


「ははあ。貴様、牛乳がダメか?」

したり顔でにやつく佳希。隣では水谷が「えー」と信じられないようなものでも見るような目つきで見ている。


「給食だったら毎日でたでしょ」


「中学生まではまあ、飲んでたけどさ。高校生になって給食がなくなって弁当とか購買とかになったら自主的に飲む習慣が消えた」


「家には置いてなかったのかしら?」

不思議そうな顔で尋ねる水谷。


「あったと思うけど……。あの口の中に残る感じがムリ」


「はーっ」

やれやれと首を振るご両人。ちなみに二人のパックは四つとも空だ。


「自販機とかないの?」


「下まで降りればあるが。金はあるのか?」

そういえば財布を確認していなかった。今ここを別世界と仮定したとして、元の世界で所持していた品がいくつか見当たらない。


「…………」

懐をごそごそ。上着を脱いで払ったが財布は出てこなかった。


「……財布がねえ」


「やっぱりな。ここに来た最初は皆一文無しさ」


「……まじか」

項垂れる創にこれが飲めないなら水道水でも飲むんだな、といって牛乳を差し出した。


夕食が終わると創は衣装室に連れてこられていた。

「なんでこんな部屋があるんだよ」


「さてな。しかし我々も服が一着しかないのでは不便だからな。気を利かせてくれたんだろう。ほらこれなんかどうだ」

渡されたのは学ランだ。


「なんじゃこりゃ」


「見た通りだが」


「俺はそっちのポロシャツでいいよ」

奥にあるのを指す。無地でおもしろみがないが、創のファッショにおける信条はシンプルイズベストだ。


「せっかく私も着るつもりだから合わせるべきだろう」


「……サイズあんの?」

二人前の給食が入った腹を摘まむ。

……やわらかい。


「抜かりはない」

どすどすと試着室に消えていくと、布がこすれる音が聞こえてきた。

時々ぶちっという音となにかが飛んで当たる音が聞こえて非常に嫌な予感がする。

手持ち無沙汰になった創は適当な制服を引っ張り出すと、手早く着替えてみた。


「あらブレザーにしたのね」

先に廊下で待機していた水谷が創が選んだ紺色の制服を見て唸る。


「そっちはセーラーか」

丈が長く清純派だ。体系は佳希と似たり寄ったりの彼女だが、セーラー服はそれをあまり感じさせなかった。


「どう? 似合ってる?」


「それは最初に旦那に聞いたらどうすか?」

そういった瞬間、旦那が衣装室から飛び出してきた。


「どうだー! 創! 行けたろ?」

旦那は無理にくるっと回って登場した。


「おい、今の衝撃でお尻破けたぞ」



**********



翌日、創は再び軽トラに送られていた。

運転席に座るロビーには予め先払いでチケットを渡してあった。そのチケットは通称ブルーパス。

ある圏内までなら、どこまでも送迎してくれるという便利なフリーパスだ。

主に都市に行かないと得ることができないレアな代物だが、創は佳希から譲り受けた。

目的地は海岸。海を見に行くつもりだった。


「あと何分くらいでつくんすかね」


「…………」

話しかけてみるも相変わらず不愛想な奴だ。

それから間もなくして海岸線が見えてきた。

一台の軽自動車はしばらくは海岸沿いを走っていたが、やがて側道に入ると人気がないビーチで止まった。

創は礼をいって助手席から降りる。


「果てのない海か……」

次回投稿予定日は5月22日(火)です。

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