2.8.7 5歳ごろ
農地の他に、孤児たちのいる孤児院と婚姻男性のいない成人女性が暮らしている施設を見た。
孤児院は教会に併設して作られている。
領主からの寄付だけでなく教会を訪れる皆からの寄付で運営されている。
この領地の孤児院で生活する子供たちは食事が足りないこともなく、特別酷い環境で育っているわけではなかった。
領地内には2つの孤児院があるが、2つとも同じ規模だ。
孤児院の管理責任者は神官様になっている。
神官様の下に母親代わりとなる子育てが終わったおばあちゃんが5名いて彼女たちは寮母と呼ばれている。
その寮母一人が40人の面倒をみる計算になっているらしく、この孤児院では、およそ200名の孤児が住んでいる。
子供たちは成人する16歳までここで過ごせる。
基礎の算数や読み書きは教えることになっている。
だが教材が無く庭で文字を書いて練習をするぐらいに何もない。
寄付では食費以外の予算に回せる余裕は無い。
一般の平民は13歳から働き始めるが、孤児たちは10歳ぐらいから軽い仕事を引き受け始める。
男の子は近くの農場や、商人の荷物運びとして働き出す。
農民の子供たちが手伝いで覚えることを経験させるために10歳で仕事を始めるのだ。
女の子は13歳までは外で働くことは無い。孤児院の小さい子の面倒を積極的に見させ、教会や孤児院の掃除や食事の手伝いをして侍女として外で働けるように教育を受ける。
そして13歳から貴族や商人の家の侍女として働き始める。
孤児たちは働きに出ても16歳までは夜には孤児院に戻ってくる。
働き先で虐待がないかなど確認するためだ。
この国の成人は16歳だ。
それまで結婚できない。
いろいろな決まりごとで16歳までは守られている。
16歳を過ぎると、男の子は農家や商人の荷物運びの仕事に就職する。
領地からの支援も農家になった場合は長屋の一室をあたえられる。
商人の場合は雇い主が部屋を用意することになっている。
苦しいながらもなんとか食べて暮らしているようになっているのだ。
問題は女子だ。そもそも全員が16歳までに働き口が見つかるわけではない。
16歳までに仕事の見つからなかった女の子は、農家や商人の男子と見合いをして大半が嫁に行く。それでも残っている子はこの領地内では女子の働く場が無いので領地外へ出される。
そのまま領地の外に行ってウエイトレスや貴族や商人の家で侍女として働けることが最良だ。それでも残った女の子は酒場で働く。




