1.3.1 転生者B
私は大学1年生の女子大生だ。
田舎から都会に出てきた。一人暮らしを始めたのはもちろん大学1年からだ。
田舎にいる時は黒縁メガネをかけた真面目学生。
だがそのおかげか、都会の有名大学に受かった。
あこがれの有名女子大は時代の流れで男女共学の総合大学となってしまった。それでも小さい頃からのあこがれの大学に入学できたのだ。
とても嬉しかった。
私は、親元を離れ一人暮らしになり、自由を手に入れた。
今まで親から厳しく言われていたがようやく監視の目が無くなった。
最初にコンタクトレンズを作った。
次に美容院にいってストレートパーマをかけた。
鏡を見ると、あのダサい少女はどこに行ったのか。
これが自分なのかと信じられないような子がそこにいた。
さすが都会の美容師、ここまで変身できるとは魔術師か?
そして最新の化粧品もすばらしい。
服も必要だった。
高校までは制服とジャージにパジャマですごしていた。
私はほとんど私服を持っていなかった。
親からも派手な服は買ってもらえず、持ってきた服もTシャツにジーパンだけ。
とにかく大学に着ていく服が無かった。
資金はそれほど潤沢ではなく、高い服は買えない。安めの服を着こなさねばならない。
都会の高級店は無視。
借りた安アパートの近くにあるファッションセンターという名の店やイ○ン、G○などを巡り、着ていく服を見繕った。
それでもあっと言う間に持っていたお金が無くなった。
食材も高い。
都会暮らしはとにかくお金がかかる。
私の家は、貧乏と言うほどではないがそれほど余裕があるわけでもない。
お年玉で貯めた一人暮らし用の軍資金はあっと言う間に枯渇した。
アルバイトをしなければ仕送りだけでは足りない。
アルバイトと言えば家庭教師。
だが家庭教師はもっと有名な大学に通うイケメン男子学生が優先だった。
現実は厳しい。
しかたなく接客業でもするかとアルバイト情報を探す。
だが、店の雰囲気や実際の業務内容がピンと来ない。
ネット時代にあるまじきかもしれないが、スマホ片手にアルバイト情報に掲載された店を直接見て回った。
すると、こんな私にアイドルのスカウトが声をかけてきた。
もちろん詐欺だろうと思い無視しようとした。
だが声をかけてきた男性はとても丁寧な口調だった。
内容は流行のグループアイドルの誘いで、普段も街で声をかけて回るような仕事の人ではないらしい。
たまたま私を見かけて気になり声をかけたと言って名刺をくれた。
肩書きは大手のプロダクションの偉い人だった。
騙されているようで不安だった。
後日会社の受付に電話するとちゃんと本人に繋がった。
説明を聞くと結構時給が良かったし、なんとなく楽しそうだったので一度だけと大手の事務所に足を運んでみた。