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2.8.4 5歳ごろ

「え、そんな。史実と違って領主だけを悪くしたのに、これでも民が殺されるのですか」


「もちろんよ。

国に反抗する民は必要ないわ。

たとえ領主1人の過ちで起きた不幸な事件でも反抗した民は全て制裁を受けなければならないわ。

領民たちもそれを覚悟して反乱を起こしているはずよ」


 ちょっとショックだ。


「では、民を救う方法が無いのですか?」


 そう聞いたら、リリアーナ母様はきちんと答えてくれた。


「領主以外にも貴族がいるでしょ。

民を思う貴族は必ずいるのよ。

だから民はその貴族を頼るべきだったわ。

この場合は主人公の執事ね。

彼を動かして国や隣の領主に助けを求めさせる手紙を書くべきだったのよ。

確かに身分制は絶対だけど誤った支配者を正すのはその上の身分を持つ者の義務よ。

領主の腹心からの連絡ならば上もすぐに動くはずよ」


「上。領主の上はハードルが高いですよ。公爵や国王陛下に進言となると、物語が複雑になって長くなるような。子供にはわかりにくくなりませんか」


「だから、このままでも良いわと言ったでしょ。

小さな子供用と、少し大きくなってから読む本では内容を変えた方が良いのよ。

元伯爵のベイズリー様は、聞き手によって話を少し変えているのよ」


「お話は、聞き手によって変わるのですね」


「そうよ。でも、エレノアとニナシスティのために書いているならそこまで深く考えなくてもいいわよ。成長に合わせてゆっくりと話を作ればいいわ」


「はい」


「では、話を深く考えられるように幾つかの報告書を手に入れてあげるわ。それを読んで話を考えてみると良いわ」


「はい。お話はおかあさまに確認していただけるのですか」


「ええ、もちろん。

きっとアメリも読んでくれると思うわ。

こういった話はあの子も大好きだから。

さっきも言ったけど、すぐに難しい話は書かなくてもいいのよ。

エレノアとニナシスティは喜んでくれたでしょ。

このくらいの内容でいいからもっとお話を増やしてあげなさい。

私も、幼い時から文字を読み書きして、あなたとおなじように物語を作ったわ。

私は6歳だったけど。

そんなところも似るものなのね。なかなか興味深いわ」


 な、なんと、おかあさまもスーパー天才児だったのか。

「はい。とりあえずはエレノアとニナシスティが喜びそうな話を書いて勉強します」


 物語の奥は深い。

 世代ごとにニーズが異なる。

 それはそうだ。


 しかしこの世界には書物で書かれた物語が少ない。

 だからなのか、子供向けの絵本はあまり置いてない。

 エレノアとニナシスティを喜ばせるには、もう少し本を増やす必要がある。

 頑張ろう。


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