2.6.2 4歳ごろ
工房長は腕を組みながら指示を出して部品をはずさせた。
幾つかの部品を作りなおすようだ。
似た大きさの材料を持ってきて短時間で部品を削り出した。
あまりに速く削り出したので魔法なのか聞いたら、平民はほとんど魔力を持っていないので魔法は使えないそうだ。
偶に魔力を持った平民もいるそうだが、貴族に比べると圧倒的に少なくて使えても生活魔法を少し程度だとおばちゃんが解説してくれた。
つまり魔法ではなく、技能であのスピードでできるらしい。
馬車の修理はあっと言う間に終わり、調整をするからと馬車は外に出ていった。
僕らは待ち時間で工房の中を見学することになった。
やはり木を切ったり削ったりするには鉄の道具が必要で平民にとってはとても高価な道具なのだそうだ。
工房という規模で鉄の道具が高価なのだから、一般の農民が鉄の道具を使うことはまずないそうだ。
どうやら農具などのさまざまの物が木で作られた物を使っているらしい。
鉄のクワはとても高価で、領主が指定した新規の開拓地でしか使われていない。
そこまで鉄が高いのかと驚きだった。
どうやら平民の農耕器具は江戸時代のレベルのようだ。
この工房でも鉄の精製や加工はできず、曲がった鉄部品を叩いて戻したり、鉛を溶かして結合させたりするぐらいらしい。
鉄の精製に大量の石炭などの燃料が必要になるせいかと思ったら、魔法で精製するらしい。
隣の領地には貴族落ちした魔力を持つ人たちの村があり、そこで鉄を精製する仕事をしているらしい。
クロスロードはおじいさまが領主になる前を含め何度も魔物の襲撃があり魔力を持つ貴族は余っていない。
技術職は、役人として働く貴族よりも収入は良い。
だから現状は貴族落ちの人が携わる職業になっているらしい。
この世界で鉄の精製をどうやってやるのかわからないので、説明通りに受け取るしか無い。
だが魔法で物を作れるという情報はとても有益だった。
そして少し疑問が残った。
"魔力のある貴族落ち"が少ない。
では魔力のある平民は?
貴族は魔力を測る。
だから規定に足りない貴族落ちは魔力があることを知っている。
そして魔法の知識も多少なりあるのだろう。
では魔力のある平民は。
どうも話を聞く限りでは、学校に行くような商人や技術者の一部が学校で生活魔法を習うらしい。
お金を持っていれば魔力量を測れる。
ではお金を持っていない平民は、魔力があっても気が付いていない。
自分に魔力があることを知らない可能性が高い。
僕が調べればわかるのか。
この領地は10万人の領地と言われている。
子供だけでも数万人。
貴族の規定値に達しているか調べる魔道具は領地に一つ。
魔力のある平民を調べるのは無理なのか。




