2.3.1 魔法の確認
メリーナ様が許可してくれたので弱いながらも少しだけ魔法が使えるはずだ。
そして今まで禁止と言われていた本の中から、アメリが学園で使っていた教科書を渡してくれた。
「ジルちゃん、読める?」
僕が本をぱらぱらとめくった時に、アメリが心配そうに聞いてくれた。
大雑把には読めるが知らない単語がチョコチョコと登場する。
さすがに今まで読んでいた物語の本とは違う。
アメリに見慣れない単語の意味を教えてもらいながら魔法のところを中心に読み進める。
この国の文法は日本語に近い。そして文字は50音に"ひらがな"と"カタカナ"それにローマ字のアルファベットの組み合わせが使われている。
漢字という概念がないからなのか、元々いろいろな国の言葉を混ぜて作られたからなのか、名詞や動詞が種類によって"ひらがな"と"カタカナ"、"ローマ字"で使い分ける。
単語の数は非常に多い。
500年前に洪水があり、その後のグランスラム帝国による奴隷化などによって過去の文字が完全に消失した。
ラルクバッハ以外の周辺国もグランスラム帝国の侵略によって重要な本を焼かれいろいろな文献が消失したのだ。
今のラルクバッハ王国やその周辺国が使う言葉は、グランスラム帝国を追い払い、治世が安定してから新しく作られた共通言語なのだそうだ。
そして、魔法について書かれた本を読んで少しわかった。
魔法には、属性魔法と特殊魔法の2つがある。
属性魔法は魔力をその属性に変質させて使う魔法だ。
属性魔法の中を分けると2種類に分かれる。
一つは、生まれた時に適性がなくても訓練によって使えるようになる魔法。
土魔法や錬成魔法、成型魔法、水魔法などがそれに該当する。
それに対して、火魔法や氷魔法、風、光などは先天的な才能がなければ使えないと言われている。
皆が使えると言うが人数が多いだけで全員が使えるわけではないらしい。
魔法を研究する人々の中には魔力を物体に流すことができれば、起こせる現象で実は一つの魔法だという派閥。
使える人と使えない人がいるので、細かくわかれるという二つの派閥があるそうだ。
聞いた感じ、どっちでも構わない気がするのだけど。
研究する人にとっては重要な問題なのだろう。
その辺は興味が無いのでスルーした。
特殊魔法は属性以外の魔法。
魔力を代償に望みの事象を得る魔法となる。
特殊魔法が使えるのは先天的にスキルを持っている人に限られる。
だが、まれに成長の途中に起きた精神的なショックにより、突然芽生えるものもあるらしい。
それぞれの魔法に攻撃、防御、生活の3種類があり、個人によって攻撃、防御、生活の得意さが異なる。
魔法特性は、苦手分野に関してはすべての系統の魔法に反映される。
そして得意な魔法の種類でも得意な系統の魔法が使えないということがある。
つまり攻撃魔法が得意でも特定の魔法だけ攻撃魔法が使えない。
魔法毎に相性があるのだ。
例えば、火と水が相性を持っている場合は、火の攻撃が使えるが水の攻撃が使えないということはよくあるらしい。