2.1.4 3歳の誕生日
『さて今日はもうこれ以上のプレゼントは無いけど、一つだけ情報を提供するわ。あなたが助けた女の子のことよ。残念だけどあなたが死んだ後すぐに殺されたわ』
『え、そうなんですか。やっぱり、あの子を最後まで守ることができなかったか。油断しなければもっと上手く助けられたはずなのに』
『うーん、それはどうかな。可能性はあったかもしれないけど、相手の殺意がすごかったから、難しかったと思うわ。それで、ここからが提供したかった情報よ。彼女もこちらの世界に転生したわ。彼女が希望する転生条件がなかなか見つからなくて、あなたと3年近く差が開いてしまったけれど先日無事にこちらに転生したわ。彼女とはあなたが大きくなれば必ず会うことになるわ。この人生ではちゃんと守ってね。それまで、自分を大切にするのよ』
『わかりました。2度と同じ失敗はしません。今度こそきちんと守ります。絶対に』
『そうそう、そうしてね。じゃあ、楽しい人生をすごしてね。次に会うのは5歳。楽しみにしていますからね。ふふふ……』
ふっと目の前からメリーナ様が消えた。僕が両側を見ると、皆が前方を見て呆けた顔をしている。
隣のアメリが僕のほうを向いて目の高さを合わせるためにしゃがみこんだ。
「ジルちゃん、なんともない? 大丈夫だと思うけど、大丈夫?」
アメリが心配そうに声をかけてきた。
メリーナ様の降臨はどうやら周りのみんなも見えてたみたいだ。
「えっと、アメリ姉様も神さまが見えたの?」
「私の勘違いじゃなければ、ジルちゃんの目の前にメリーナ様なのかしら。神々しすぎてはっきりとお姿はわからないけれど、一対の羽を持つ神様が降臨されて貴方の頭をなでなでしていた気がするわ」
うーん、どう答えるべきかわからん。
「うん。メリーナ様が、がんばれって言ってくれた」
年齢相当のかわいい返事ができた。よし完璧かな?
「そう、良かったね」
そして、アメリはかがみ込んで僕の両肩に手を添えた。
「あなたが、女神様から祝福されているすごい運命を持った子ってわかったけど」
一息置いて、続きの言葉。
「私を置いて勝手に遠くに行かないでね」
そう言って、アメリにやさしく抱きしめられた。
今の言葉からすると、自分はもしかして普通ではない能力持ちというのが既に認識されているのか?
おかしいな。極力普通の子供だったはず、魔法も使えてないし文字を読むのが少しはやかったぐらいで普通にしていたつもりだ。
もしかして転生者とばれているのだろうか。
僕はどきどきしながら、抱きしめられたまま何もできなかった。