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7.4.2 余談:剣神アッシモの戦い

 アークロン様の本体が封印されている場所に飛んだ。


 そこは、聖地と呼ばれるにふさわしいところだった。

 自分が守っているダンジョンは暗く、じめっとしている。

 だがここは光があり、奇妙な力を感じる。そんな場所だった。


 賢者が結界を作り始めたが、雑談だと言って話し始めた。

「ここは神力であふれているけど、魔力は無い。だからここでは魔力は回復しない。使い切ったり終わり。バハムート様や聖獣は神力を受け取れるからある意味使い放題。神の力を使える者にとってはいくらでも力が使えんだ」

「じゃあ、聖女は」

「聖女が使う力は精霊を通して神の力を使ってる。エリンって子がいると精霊の力を借りやすくなるらしい。僕はダンジョンコアと繋がっているからそこから回復できる」

「じゃあ、俺は、使い切ると終わりなのか?」

「君は、君の聖獣から力を貰えるよ」

「ああ、あれか」


「さあ、できて来た。動かすよ聖女様達」


 再封印の魔道具が完成したのか、装置が光り始めた。

 それと同時に魔物が湧き出て来た。

 バハムート様は黒い竜の姿で戦い始めた。

 ジルベール殿もいつの間にか金色に輝いて意味不明な力で戦っている。


 2人ともS級だかSS級だか解らないが、めちゃくちゃ強そうな魔物を軽々と滅している。

 聖獣たちも同じような感じだ。

 四方に発生した大型の魔獣は彼らが倒し、そこを抜けて来た小さめの魔物は、光の速さで移動する雷の聖獣が倒している。

 なるほど、外からの攻撃は来ないのは確からしい。


 そうしているうちに、聖女たちの術が始まった。

 そうすると、アークロン様の女神像から黒い霧のような物がにじみ出てくる。

 それが人のような形を取り、聖女に襲い掛かろうとする。

 霧の化け物だ。

 この霧の化け物は、いつものダンジョンでたまに戦ったことがある。

 物理的な太刀筋では倒せないが剣神となるときに取得した『人ならざるモノ』を切る技を発動させれば倒せる。

 霧の中に突っ込み『人ならざるモノ』を切る技を発動させる。

 1体を倒した。一撃で消滅させたが、霧に突入した時に全身に細かい傷ができた。

 肩で息をしながら呼吸を整える。

 これでも聖獣から身を守る結界を付与されているが、『人ならざるモノ』の霧はその結界を突破して細かい傷を生じさせる。

 切るべきモノが見つけられず時間をかけると傷が増える。


 小さい聖女様が魔法で治療をしてくれ、傷がふさがっていく。

 賢者がポーションを投げて来た。

「次もすぐに出てくるよ。魔力は回復しないけど、体力と精神力を少しだけ回復する。疲れたと思ったら飲みな」

「なんだって、こんなのがまだでるのか。この技は何度も使えないぞ」

「頑張って、僕の魔法じゃあ対抗できないし」

 

 賢者の宣言通り、再び黒い霧の化け物がにじみ出て来た。

 それを倒してポーションを飲む。

「この感じだと数分に1回は出るね。まだ30分ぐらいかかると思うんだけど」

「まだ5,6回は出るのかよ」

 そう言いながら賢者が私に身体強化を補助する魔法をかけてくれた。

 多少効率は上がったが、それでもきつい。


 突入するたびに怪我の症状が重くなる。倒すのに時間がかかっているからだ。

 すでに4体も倒したが、体はすぐに修復されるがかつてないほどに疲れている。


 そして次に現れたのは霧ではない何か。

 影?

「うげ、デーモンを召還したな。剣神、あれ倒せるの」

「無理だ。人ならざるモノの範疇を超える。さっきまでの奴は完全な精神体ではない。僅かながらに実態を持つから切れた。あれは完全な精神体だ」

「マリアちゃん、聖女の魔法使って」

「エリン、祈りを」

「はい」

 エリンちゃんって子が祈りをマリアちゃんに集中させたような気がする。

 同時にマリアちゃんの体が強烈に光り、なにかよくわからない種類の力が彼女に流れた。

 そうして魔法なのか、魔法じゃないのかよくわからない力でデーモンが消えた。


「まじか、あんなのを一発で消せるのか」

 おそらくは1体で国を亡ぼすことができるほどの強力な何かが、一瞬にして消えた。

 こんな小さな子が。

「まあ。ここにはそういった種類の力があふれてるからね。マリアちゃんならさっきの霧もすぐに倒せるけど、それをやってると再封印の術が完成する時間が大幅に遅れるからね。さあ剣神さん、次が来るよ。もうちょっと頑張んな」

 くそ、すでに限界なのに、私はクロエのところに行き、手を繋いで失った魔力を回復させた。

 

 それから黒い霧の化け物は2体。最後は霧と共に小さな魔物までが同時に出現した。

「魔物は僕が。剣神はあれが最後のはずだから頑張って」

 ほんとか、ほんとうに最後か。ちきしょう。

 魔物は賢者様も魔法で応戦してくれた。

 私は最後の霧にむかって突入する、そして呼吸を殺し切るべきところを探る。

 くそ、最後だと言ったが見つからない。

 仕方なくそれらしいところをいったん切ってみる。

 だが違ったようだ。そのかわりに余計な物が消えて実態をつかむことができた。少し時間が長くなったために全身の傷が痛むがそれを押して最後の剣を振るう。

 全身から血が噴き出したが何とか倒せた。

 さすがに体が重い。霧が晴れると共に倒れた。

 すぐにマリアちゃんの聖魔法が飛んできて怪我は治った。


 数十分の攻防で、ポーションも飲み過ぎてもう飲めない。体力がない。

 怪我も治ってはいるが、繰り返しが傷を受けた弊害で感覚が戻ってこない。

 もう無理。

 だが、本当に終わったみただった。


 その後は、倒れそうな状況で無理やり意識を保っていた。

 突然のクロエとのお別れ。意識が飛んだら後悔する。

 無理やり意識を保って、別れの一言が限界だった。

 そして急に景色が変わり現世に戻ったが、そのまま気を失った。



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