7.4.1 余談:剣神アッシモの戦い
ジルベールとバハムートが結界の外で戦い、その内側で聖獣たち、最後にいた戦士が剣神のアッシモ。
ジルベール目線では余裕だったが、彼はとても大変だったと言う話です。
その日もいつものごとく、修行をかね剣神に管理が任されている小さなダンジョン内で戦っていた。
このダンジョンにはアークロン神の一部が封印されているため、たまに魔物が発生する。
それを退治し、封印を守るのが剣神に任された仕事だ。
このダンジョンは聖獣によって特殊な封印がされているため普通の者は入れない。
その日、出現した魔物を倒して休憩していたら、入り口から人が入って来た。
封印を破って侵入して来たのだ、最大限の警戒をして迎え撃とうとしたがかつて会ったことのある人物だった。
「ティアマト殿か?」
自分が剣神になるかならないか、若き日に一度だけあったことがあるとても綺麗な女性。
「ここに居ると言うことは、そなたが当代の剣神で良いのだな」
「ええ、そうですね」
「バハムート様が呼んでいる、転移で連れて行く。聖獣殿はどちらだ」
バハムート様が私を呼ぶ?
聖獣のクロムともども連れて行くと言われても、彼女がこの地を遠く離れると封印が解除されてしまうぞ。
「クロムは奥にいますよ」
「では向かおう」
そうして数分歩くと最奥の間に到着する。
「クロム殿、今からアークロン様の再封印をするのでバハムート様が呼んでおられる。すべての聖獣が揃う必要があるそうだ」
「わたくしもですか?」
「そうだ」
「1日も経たずにここの結界が消えますよ」
「そのための国外にいる剣帝3人と他の戦力も連れて来た。おそらくだが私と他にも竜族数名が派遣されるはずだ」
「では、ラキシス様が計画されていたあれを実施するのですね。わかりました、アッシモ行きましょう」
「ああって、いや妻たちに一言ぐらいは言っておきたいんだが」
「ええ、彼女には伝えてありますがそのぐらいは良いでしょう。再び戻ってこられるとは限りませんからね」
「え、やっぱり。軽く連れて行くって言ったけど、やっぱり命かけるの」
「そうなるでしょう」
急いで村へと帰り、数名の妻と幼い子供達に別れを告げ、大きく成長したクリスタとその妻を激励してティアマト様と一緒に転移した。
直接竜の村には入れないらしく、何もないところを歩くと、急に視界が変わり他の人が見えた。彼を連れ立って一緒に竜の村に入った。
意外なことに、竜がごろごろと寝そべっているようなところかと思っていたらティアマト様のように人化した者達が普通にする街だった。
私が治めている所に住む住人は木でできた1階建てばかりだが、ここは石できた2階建て、3階建ての家が沢山あった。
意外なことにちゃんとした街だった。
奥に行くと巨大な神殿だろうか、バカでかい王宮のような建物があり、そこに入る。
なぜか建物の中にこじんまりとした建物。
そこにバハムート様が。
そこで作戦を聞かされ、有無を言わさずメンバーとなった。
しかし、一緒に入るジルベールと言う少年。
シルビアから聞いていた通り、人外の存在だった。バハムート様並みの化け物じみた力を感じる。よく人の中で生活できるモノだと不思議に思った。
そうして、翌日を迎える。
眠ってからと言われたが、眠れなかった。
ジルベールと言う少年と、小さい聖女様、二人とも気にすることなく眠ってしまったが、こんな化け物ばかりのところで眠れるものだ。
そう思っていたら、聖女のコハクさんが、眠れないのに気が付き安息の魔法を使ってくれた。そしてクロムが特殊な結界を作ってくれ、外と遮断されたので、ようやく眠ることができた。