7.2.9 再封印
その後、世界には少しの真実と、少し嘘を混ぜた宗教が広まった。
ラルクバッハでも3女神から4女神へと変更された。
ラルクバッハの加護持ち貴族と高位貴族には真実が伝えられ、加護の力が消失することも教えられた。
グランスラム帝国では当初反発もあったが賢者マーリンがエルフの村からエルフを派遣してくれ、その一団と共に帝国に訪れたら平和的に解決した。
なんと、グランスラム帝国の巫女だったハイエルフだが、滅ぼされた一族が生き延びていることを知って復讐をあきらめた。
ハイエルフの巫女はグランスラムを出てマーリンのダンジョンに住むようになった。
500年前にコハクを自分のモノにしようとした当時のラルクバッハ地方を治めていた王は本当にろくでもない奴だった。
500年前、コハクたちの事件が起きる数年前のことだ。
ハイエルフの住んでいた村が当時のラルクバッハ地方を治める王の命令によって攻められた。
助けを求めて村長の子だったハイエルフが一人でグランスラム帝国に逃げ、皇帝に助けを求めた。皇帝は、すぐに帝国兵士を引き連れて村に向かったが時遅し、そこには誰も残っておらず、全滅した後だった。
それからしばらくしてコハクの事件が起き、アロノニア様からの神託を受けて聖獣の封印に手を貸した。
その後、洪水で流されて、国が変わった。
それでハイエルフの復讐心は消えず、その後もその地に住む者を憎んでいた。
だが、実際にはハイエルフの村長とバハムートが知り合いで危険を感じて駆け付け、およそ半数に減ったエルフを脱出させていた。
エルフを竜の街に住ませることはできなかったが、人族の中に残すこともできなかったので、できたばかりのダンジョンの攻略を手助けし、村長がダンジョンマスターとなった。
その後、ダインジョン内にエルフの住む地を作り皆が移住したのだ。
ダンジョンマスターになるとさらに長寿になるのだが、永遠に生きられるわけではない。
元々寿命が近い状態でマスターになったため300年後に寿命を迎える。
ダンジョンマスターはマスターの能力によってダンジョンの格が決まる。
だが仲間にハイエルフが居なかった。
唯一ハイエルフになれた娘は脱出の際に行方不明のままだった。
ハイエルフの娘を探していたが、娘は見つからなかった。だが代わりにメリーナ様の大きな加護を得た賢者マーリンを発見した。
こうして、ダンジョンマスターが賢者マーリンに代替わりしダンジョンはほぼ同じ規模で継承され運用されていた。
こうして4女神の信仰は大きな障害もの無く広まって行った。
女神の封印から数年後、世界の変化は顕著になって来た。
女神の力が薄れ農作物は以前ほど収穫されなくなった。それに加えて魔獣が増え、力も強くなった。
一時的に世界の終わりと言い出す変な宗教が流行ったりもした。
そういった外界の変化に対応するため、人類が全て協力する方向に動いた。
農作物の不作は魔力を多く供給したり、肥料を与えたりなどで改善して行った。
そして、魔物の対策も魔法訓練方法や身体強化の教育方法が見直され対処方法が広まることで対応ができるようになった。
世界の混乱は徐々に収まって行った。
そして、人族の国は3つに集約され、戦争の無い平和な世界が作られた。