2.1.2 3歳の誕生日
「ジルベール、このイヤリングを着けているならば、他人と会っても大丈夫だ。イヤリングをつけていれば外にも行けるからな」
大人同士の会話はよく聞こえなかったが、メリルディーナ公が僕に向かって言った言葉はちゃんと聞こえた。どうやらこれで外に行けるようになったようだ。
「イヤリングを着ければ外に行けるの? やったー! やったー! 外だ、外」
僕は、つい大はしゃぎで喜んでしまった。
今まで、屋敷の庭それも決められたところしか行ったことが無い。
もちろん家族と侍女以外とも会っていなかった。
外に行って人に会えるなんて、嬉しい。
「アメリ姉様、外だって外。どこに行きましょう。
まずはアメリ姉様やリリアーナ母様が行く役所を見たい。
それに畑や領民達の生活も見たい。近くの湖にも行きたい。
行きたいところがたくさんです。一緒に行きましょうね」
余りに嬉しくて普通にはしゃいでしまった。
それを見たメリルディーナ公から一言。
「ジルベール。お主、幼児言葉ではなく普通にしゃべれるのだな」
メリルディーナ公から冷静な突っ込み。
そして勝ち誇った顔。
「あ」
しまった。
我を忘れて3歳児の演技を忘れてしまった。
「まあ良い、年齢相当に見えるようにしておったのだろう。
理由はわからんが、ワシを騙すのは無理じゃということじゃ。」
にっこりと笑顔のメリルディーナ公。
そしてそのまま次の一言。
「うむ、ではリリアーナ。そろそろ出かける時間じゃろ」
「はい。行きましょう」
どうも、僕は過去の知識はあるが、現在の年齢にかなり支配されている。
精神年齢的には3歳よりも上だと思うが、こんな風に少しのことで喜ぶ子供なのだ。
どうやら精神年齢的には5,6歳ぐらいではないだろうか?
家族とメリルディーナ公で教会へ出かける。
この世界では3歳で教会へ行きお祈りをする。
3,5,7歳に女神様に成長の報告に行く。
そして最後に10歳で仮成人となる最後の報告。
人によって10歳で女神様から加護を貰ったりスキルを貰ったりするらしい。
この領地に教会は2箇所ある。
これから行く教会は領主館に近い方の教会だ。
この教会は少し小さい。
領地のもう一つの神殿は、この領地内での本神殿でもう少し大きいらしい。
5歳の時からそちらに行くらしい。
本神殿は低地側にある教会でかなり古く歴史のある教会だ。
本神殿には転移門も設置され王都の中央教会の隣にある転移門と繋がっている。
メリルディーナ公は、その転移門を使って領地に移動してきたそうだ。
本神殿に行くにはこの高地から低地まで移動するので馬車で行くには途中でこぼこが多くそれほど速い速度では走れない。
この近い教会までなら道も整備されていてなだらかだ。
アメリがひざの上に乗せてくれようとしたが、メリルディーナ公から声がかかった。
「おじいちゃんのところにおいで」
アメリの柔らかいひざの上を諦め、じいちゃんのところに行った。
なだらかと聞いていたが、想定よりも衝撃があった。
アメリの上に行くとアメリが痛かっただろう。
メリルディーナ公は、思った以上に優しい人だとわかった。
それでも、30分も走らずに教会に到着した。




