7.2.6 再封印
しばらくすると、ティアマト達が戻って来た。
誰も怪我はしてないようだが、エイミーの白い鎧はところどころ壊れ、スザンヌもボロボロだった。あれ大怪我したのか?
「スザンヌ、痛くない。大丈夫なの?」
「かすり傷だったけど、ティアマト様の治療をしてもらったので大丈夫よ」
「スザンヌちゃんの腕、ちぎれたよ。守り切れなかった。ごめん」
そんなにすごい戦いだったのか。
「みんなも無事には見えるけど、そんなに激烈な戦いだったの?」
ステパンが話し始めた。
「最後の方で物理攻撃に効かない悪魔が4体出てきたでござるよ。剣で攻撃してもすり抜けてしまってはどうしようも無かったでござる。我とクリスタ殿はそれでひどい目にあったでござる。近くに聖魔法が使える竜殿が居てくれて助かったでござるよ」
「エイミーとスザンヌもそうなの?」
「まあこっちもそうだったかな、悪魔がでて防げなくてスザンヌ様は片手を切られた。でもシルビア様はそれを切っちゃったよ。その後で、ティアマト様が来てくれて治療してくれたよ。そこで油断しちゃって、僕は別の魔物に吹き飛ばされてさ、衝撃であの世がみえちゃった。あはは」
結構危なかったのか。こっちは神力で戦っていたから大丈夫だったけど。
「それでコハクちゃん達はどうしたの?」
「今から話す」
話は賢者に現状の封印の説明をしていた時からだった。
バハムートはアロノニア様から簡単な神託を受けることができるが、もっと多くの情報が必要だったためにアロニア様から直接体を貰ったコハクと通した方が説明ができると言われたそうだ。
それでコハクと虎鉄を呼びに来た。
コハクを通してアロノニア様が顕現し、賢者へと詳しい説明がされた。
内容は再封印だけでなく、それをベースにアークロンから神格の一部を取り出して同じ神であるラキシス様とメリーナ様に移動させるための仕掛けだったそうだ。
神格の移動はメリーナ様がすでに作っており、賢者に直接渡されたそうだ。
再封印ではなく神格の移動をする理由は、再封印を施しても数百年で再び封印が解けるかららしい。
その時にこのような整った状況を用意できると限らない。
状況が整ったとしても、再封印を繰り返すことになり、さらに間隔も狭くなってくる。
結局のところ封印は解除され解放される。
神格の移動は封印当初から考えたいたことらしい。
こうして、再封印の上にさらに術式を重ねて神格の移動が行われた。
神格の移動は時間がかかる、女神に力をなじませながら徐々に術が発動するため時間がかかる。そのために100年の時間が必要になった。
聖女の力によって神格の移動。
ただ、それは聖女の力だけでできるモノではない。
アロノニア様の力も必要となる。
結果、アロノニア様も神格を落とすことになるそうだ。
それでも元の力がおおきすぎるので他の3神と比べてもまだまだ強い力が残って居るそうだ。