7.2.5 再封印
「ジルベール、女神たちはここを動けぬようだ。聖獣は女神を守るために作られた。ゆえに我らはここに残る」
え、ガルダが話したのか?
「ジルベール、そなたとの時間は僅かだったが楽しかったのじゃ」
「ジルベール、コハクも残らねばこの儀式は成功しない。我もコハクと共にここに残る」
イシス、虎鉄が話してきた。
「アッシモ、あの地でアークロンの分体を封印する必要はなくなりました。私もここに残ります」
「クロム」
「さようなら」
その言葉の直後、周りの景色が一変する。
そして落下する感じ。神力が供給されず体から魔力が強制的に抜けていく感覚。
瞬間的に神格化を解除して重力魔法を使って足場を確保。
周りを見渡すと足元の大量の竜たち。
戻って来たみたいだ。
中央部の舞台は空で何もない。
そこめがけて降りていく。
他の皆も中央に集まった。
どうなったんだ。コハクと虎鉄は? イシスもガルダも。
聖獣とのリンクも感じられない。
「バハムート、賢者、コハクと虎鉄は? 封印はどうなったの」
「皆よ」
バハムートは人族の姿のままで大きな声で話し始めた。
どうやら僕の質問に答えるのではなく、他の人への説明から始まるみたいだ。
その中に僕の求める答えが無いかじっと聞くことにした。
「今、女神たちによってアークロンの弱体化をする術式が完成した。今後は100年の時間をかけアークロンの神格を落としラキシス様とメリーナ様の神格を上げる、残念ながらそのための術を行使する代償として主神アロノニア様も少しだけ神格が落ちてしまうが、これによってアークロン様もアロノニア様に対抗する悪神ではなくなる。100年後には
主神アロノニア様を中心として3人の同格の女神がその下に存在する形へと変わる。我々の新たな役割はこの神殿を100年守り通すことだ、だがあと100年だけだ。我らはその後、解放されることになる」
「では、これで神殿を閉じる。100年は現状維持だ」
どすどすと竜が扉から出ていくわけではなく、すべての竜が人の姿に変わり、出口から出て行った。それを呆然と見守る。
求める答えとは違う。
だけど、理由は何となくわかった。
全員が居なくなってからバハムートが話しかけてきた。
「ジルベール、説明しよう 家の方へ移動してくれ。じきにティアマト達も戻ってくるはずだ。出来れば全員が揃ってから話したい」