7.1.6 未踏ダンジョンへの挑戦
31階層は、壁が少し黄色くなっていた。黄金色ではなく、カレーのような色だ。
出てくる魔物は20階層とそれほど変わらない。
30階層の階層主だけがレベルが高かったのか?
そのまま特に何の障害も無く35階層に到達した。
「どうする?」
「30階層から35階層はそれほど難易度は高くなかったけど、地図無しで進んだから少し疲れたよ。戻ろう」
「そうだね、戻るか」
そうして僕らはダンジョンの入り口に戻った。
ダンジョンから出る時に門番から声をかけられた。
「30階層をクリアされたのでしょうか」
「ああ、クリアした。35階層から戻ったよ」
「さすがです、できればそのまま冒険者ギルドに顔を出して頂けると助かります」
「冒険者ギルド? なんで」
「ギルド長が30階層の階層主の魔石を確認したいそうです。後は地図を売って欲しいそうです」
「ああ、なるほど。わかったよ」
僕らはそのまま冒険者ギルドによってギルド長に魔石を提出して地図も渡した。
魔石は売って欲しいと言われたのでダンジョンで入手した魔石も含めて納品した。
「それでミノタウロスはどうやった倒したのだ」
「魔法でダメージは与えられませんでしたが、全身を凍らせて行動を止めることができたので、後は剣で切りまくったら倒せましたよ」
「なるほど、倒し方は解ったが、普通の冒険者が簡単にできるのかは不明だな」
「もしかしたらですけど、今後のミノタウロスはもう少し簡単に倒せるかもしれません」
「なぜだ?」
「ミノタウロスを倒したら鎧と斧も残りました。つまり特殊な装備品なので、次の階層主は身に着けていない可能性があります。その場合、魔法をはじく効果は鎧に付与されていましたので、魔法が通用するかもしれません。そして斧ももっと小型のものになるかもしれません」
「そうか、初回のみだった可能性があるのか、念のために装備を整えて調査に行かせてみるか、有益な情報をありがとう、情報料も込みで報奨金を出しておく」
僕らは、冒険者ギルドを出て再び宿屋へ向かった。
翌日、僕らはさらに下の階層を目指してダンジョンに入った。
そして40階層の階層主と相対する。
40階層の階層主は馬顔だ。
ケンタウロスらしい。
ケンタウロスって、上半身が人で下半身は馬じゃなかったのか。
今回の魔物は顔が馬なだけで30階層のミノタウロスと体型はそっくりだ。
防具は一緒に見えるが、持っている武器が鞭だ。かなり素早く動き攻防一体の武器になっている。エイミーもクリスタも近づけずに防戦側になった。
バーニィの氷魔法も弾かれて殆ど到達できず凍らせることができなかった。
「イシス、大量の水をぶつけて、僕が凍らせる」
「わかったのじゃ」
イシスがミノタウロスで使った時よりも大きな水球を作り出して攻撃する。
当然だが鞭では迎撃できずに大量の水がケンタウロスに到達した、僕が近づいて水を凍らせ、中に閉じ込めた。
後は、それを外から切って小さくする。
最後に溶かして魔石だけをゲット。
今回は余裕があったので、鎧をゲット。残念ながら鞭は途中に絡まっていたので細切れになってしまった。
「まあ、無事に倒せたかな、エイミーどうしたの」
「2戦つづいてあんまり役に立ってない気がする」
「そんなことないよ。気を引いてくれているから魔法が撃てる。前衛が居ないと魔法を撃つ余裕がないよ」
「そう。なら良いけど。でももっと華々しく活躍したかったよ」
「この傾向が続くと、どんどん厄介な敵が出てくるよ。華々しく活躍して散られると困るから、泥臭くてもちゃんと生き残ってよ」
「それはもちろん。これが終わったら結婚式だしね」
クリスタとエイミーは8月に結婚予定だ。
お互いに別々のお相手を見つけるのが面倒だったからと言うわけではない。
ちゃんとシルビア様に確認して進めたのだ。
クリスタがエイミーを受け入れるのは簡単だったのが、エイミーがクリスタに興味を持つようにイベントを用意するのはとても大変だった。
おそらく貴族ルールを持ち出して適当に相手を見つけて結婚させる方が楽だったと思う。
そうしていろいろな困難を乗り越えて二人がようやく結婚の意思を決めたのだ。
僕が学園を卒業後に結婚と決めていたが、僕が1年早く卒業となったので、結婚も前倒し、この夏に結婚となったのだ。
結婚後は二人ともエルドラ王国に行ってしまうがしょうがない。
だがシルビア様の予想では子供が生まれて数年したらエイミーと子供はラルクバッハに戻るそうだ。
なぜなら、クリスタは剣神を目指すからだそうだ。
剣神になるには、まだまだ修行が必要で長い間家を留守にするからエイミーがエルドラにいてもラルクバッハに居ても一緒なので、シルビア様のところにいるよりもラルクバッハに居ることを選ぶはずとのことだった。